二話:接触
「…で、ここは一体」
どこ?!?!
超絶美形魔導士(秋月命名)が妖しげな呪文を唱えて、それから白い光がバーっと私達を包んで…それから…
それから目を開けてみたら…
なんか美しい森があるんですが!
確かに私の住んでる所は東京でも田舎で割と自然も溢れてたりはしたけど…
こんな…こんなアマゾンみたいな森私知らなーい!!!!!!
「いや、知らなくて正常だよ私。てか超絶美形魔導士は…?私置いてどっか行っちゃった?!」
やめてよ!私サバイバルの心得なんてないし!ま、まずは火かしら…
「火〜…火をおこすもの…」
体はサバイバル体制に入った私はたくましくも火をおこす為の材料を探そうと辺りを散策してみた。つくづく自分の順応性に驚ろく。
使えそうな木をいくつか胸に抱えこみ、適当な場所を探し当てると、テレビの見よう見まねで火をおこしてみる。
「フーッ!フーッ!」
ボッ…
「つ、着いたー!!!!」
ささやかではあったが、それは確かに火であった。
「火を起こせたならもう私はこの森を制したも同然だわ!鬼でも虫でもかかってこーい!」
「どの森を制したってぇ?お嬢ちゃん」
ガサッ
突然の声に驚き、振り向いた時には両手と口を封じられていた。
「んっんーっ!!!!」
力一杯抵抗を試みるが、大の男に捕まえられた体はピクリとも動かない。
「俺達ぁこの森を仕切ってる山賊でなぁ。許可なくこんな場所で火なんかおこされちゃあ困るんだよ」
どこにいたのか、あっという間に数十人の男に囲まれてしまった。
「こいつなかなかの上玉だぁ」
「なんだぁ?このチンケな服は」
「男じゃないのか?!胸がねぇ…!」
最後に言った奴…殺す!
山賊達は散々好き勝手言った挙げ句、お頭の慰めものに、と私を根城に連れていった。
とりあえず死なずに済むのか…
でも慰みものって…!!やだやだ!絶対嫌!
そんなものにされるくらいなら私…
そいつの●●●噛みきって私も死んでやるわー!!(下品高校生)
「おら、お頭が待ってる。いい声で泣けよ?」
ニヤリと下品な笑みを口元に浮かべ、私のお尻をバシンと叩くと、勢い余って部屋へ転がり込んでしまった。
「痛〜っ…」
「おい、女」
見上げるとそこには下品な山猿…ではなくて、ワイルドで洗練された顔つきと鋭い眼光、鍛え抜かれた美しい筋肉が、数本の蝋燭の灯りによって艶やかに体の溝を浮かび上がらせた。
先程の魔導士男とはまた違った美しさをもっている。
その圧倒的存在感に息も出来なかった。
「………」
「どうした?怯えなくてもいい、後は俺に全て委ねればいいんだ」
そう言うと男は慣れた手つきで私の着慣れた制服を着々と脱がしていく。
そしてその手が私の胸元を犯そうとした時、我に帰った。
パシーンッ!!!!
「ッ…!?」
「さっ、触らないでよッ!!!!」
体が勝手に動いてしまった。この後のことなんか容易に想像できたけど、このまま愛のない玩具にされるなんてまっぴらだし、何よりこいつの何でも手に入るというおぼっちゃまな考えが気に入らなかった。世の中には力づくじゃ手に入らないものもあるんだから!
屈したくない。
「こんなことして…どうなるか分かっているんだろうな?」
さほど痛くもないだろうに、しかし男は少女に叩かれた場所を何度もさすっている。
「殺したいなら殺せばいいわ。あんたの慰みものになるなんかより100倍マシ!!」
「ほぉ…この俺様より死を選ぶと…?」
「だからそう言って…んッ?!」
不意をつかれた。
男は大きな手で私の頭を抑えつけると、貪るような強引なキスをした。
私は頭が真っ白で、考えるよりも体が反応してしまい、すっかり男のなすがまま。
チュッ…クチュ…
(こいつ…キスうま…ッ)
「んぁッ…」
やっと唇を解放した男はその鋭い眼光で私を捕らえてこう言った。
「お前を俺の妻にする。もし逃げようなんて考えたら、殺さず永遠に俺の性奴隷にしてやるからな」
言うと同時に私は耳に激しい痛みを感じた。
男が指先に隠し持った針でピアス穴を開けたのだ。
「これは山賊伝統の求婚儀式だ。もう逃げられないぞ、この穴がある限りお前はもう俺のモノだ」
「お前…名は?」
「あ、秋月…憂…」
不覚にも、私はもうその男の眼に捕らわれていた。
「ユウか。俺の名は…」
ルード・アル・バリーだ。