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第三章 悲しい過去

久々に書いたのでキャラ崩壊しているかもです……。



やめてほしかっただけなのに……。


こんなことしないでほしかったから、身代わりとして死んだのに……。


これ以上、こんなことを続けるというなら……。



――あなたの身に、不幸なことが起こると予言するわ……。





学校を出てしばらくすると、そこにはおしゃれだけど小さな喫茶店が一軒ポツリとあった。

その喫茶店に空と優那は躊躇いもなしに入っていったので、それに続くように海と光も入った。

海と光が中に入ると既に空と優那は隣り合わせで座っていたので、海は空の、光は優那の向かいの席に座った。

4人がそれぞれ料理を注文すると、最初に空が事件と関係ない疑問を口にした。

「光はともかく、海は一緒にいて平気なのかよ? このままじゃサボリになって評価下がるぞ?」

「その言葉、空にそのままそっくりお返しするわ」

「んだと!?」

空がそう言うと、海は皮肉げに言い返した。それに苛ついて空は席を立ち上がる。

いつものことだったので光は止めずに無表情で見ていたが、慣れていない優那は慌てて空と同じ様に立ち上がり、ギュッと空の腕を掴んだ。

「空君っ、落ち着いて! えーっと、海君? も言い返さないのっ!」

「「うっ………はい…」」

空と海は優那に上目遣いで見られ、若干顔を赤くしながら返事をした。

それを見ていた光は「どっちが女たらしなんだか」と呟いてから、真剣な表情で優那を見た。

その視線に気づいた優那は、1度深呼吸をしてから話し始めた。

「まず、結論から言うと……学校でも言った通り、犯人はもういない……いや、いなくなった、が正しいのかな?」

「いない、いなくなった…? どうしてや?」

優那の言ったことに疑問を持った海は首を傾げながらそう問うと、とんでもない一言が優那の口から飛び出した。


「その犯人は――――……飛び降り自殺したのよ。屋上に『私が殺人犯です』という遺書を残して」


呆然――その言葉が、今の空達には合っていた。一瞬、優那の言った言葉の意味がわからなかったのだ。

『犯人は飛び降り自殺した』という優那のこの言葉が本当なら、神無月学園は殺人事件がなくなって平和なはずだ。だけど現状はまだ犯人は捕まっておらず、未だに殺人事件を続けているのだ。

訳がわからなかったので、光は詳しい説明を求めた。それに優那は頷き、神無月学園であったことを話してくれた。

「あれは……殺人事件の被害者が5人にも至ってしまった時くらいだったかな? 目撃証言に『赤色のセミロング』というのがあったのよ。神無月学園の生徒でそれに該当するのは私と私の親友――多田出紀香(ただいでのりか)しかいなかったの。だから無実だと言い張っても相手にしてもらえなかった。しかもそのせいで毎日虐められて……正直、心が折れそうになったわ」

そう言って優那は苦笑しながら肩を竦めたが、空達は言葉を発することができなかった。

もしも自分が優那達の立ち位置(ポジション)になったら、毎日を強く過ごせただろうか? もしかしたら……そんな考えが、空の脳裏を横切った。

海はただ目を見開き、光は無表情を保ちつつも眉を寄せていた。

そんな空達を見て優那は更に苦笑したが、一気にフッと表情を暗くした。

「でもね、ある日学校に登校したら、今まで私を虐めていた子達が皆私に謝ってきたの。いきなりどうしたのかって聞いたら………まさか、夜にあんなことがあったなんてね」

「何が……あったんだ?」

優那がそこまで言って呆れながら、だけど悲しそうにため息をついたのを見て空は思わず聞いてしまった。

そんな空を見て優那は優しい、だけど悲しげな笑みを浮かべて衝撃的な言葉を言った。


「紀香が、遺書を残して飛び降り自殺をしたのよ。しかも遺書の内容は『沢山の生徒を殺めてごめんなさい。すぐに言えなくて無関係な優那を傷つけてごめんなさい。許さなくていいです。だけど、謝らせてください』っていう私達への謝罪と神様への懺悔」


優那は付け加えるように小さな声で「自分しか責めていない、紀香らしい遺書だったわ」と呟いた。

それを聞いて、空は掌に爪がくい込むくらい強く手を握りしめた。

空の感情は、紀香が自殺する前に海と光に事件を解決しようと声をかけなかった悔しさと、そんな悲しい出来事があったのに殺人を始めた犯人への怒りが一杯になって、頭が混乱してきたのだ。

掌から血が出てしまうほど力強く握りしめた後、海と光を見て言った。

「この事件……俺達で解決しよう」

「ああ」

「もちろんや」

空の言葉に、海と光は口角をつり上げながら頷いた。

そんな空達の言葉を優那は、感情の籠っていない瞳で空達を見据えていた。



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