悪い奴
掲載日:2026/09/15
誰もいない夜の道、冷えた缶コーヒーの温もりすら遠く感じるような時に、この詩を贈ります。本当の悪人にもなれず、傷つくことを恐れて自分で自分を閉じ込めてしまった「誰か」の小さな叫びに、そっと耳を傾けていただけたら幸いです。
『悪いやつ』
夜の街灯の下で
ボロボロの影を抱きしめている
あいつは口癖みたいに笑って
「俺は悪いやつだから」と嘘をつく
傷つけてしまった過去ばかりを数えて
誰の温もりも拒むようにポケットに手を突っ込む
失うことが怖くてたまらないくせに
最初から何も持っていない振りをする
街の喧騒からひとつ外れた暗がりで
冷たい缶コーヒーを握りしめた手
滲んだ星空を見上げながら
誰も追ってこない足音を待っている
本当の悪党になれもしないのに
優しい記憶をひとつずつ消して
一人きりの世界で静かに凍えている
世界で一番愚かで、寂しい悪いやつ。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございました。
誰もが持っている小さな身勝手さや臆病さを、ただ「悪」と呼んで諦めてしまうのは少し寂しい気がして、この詩を書きました。本当はただ誰かに見つけてほしいだけの「悪いやつ」の姿が、あなたの心の中にある言葉にならない思いと、ほんの少しでも重なる部分があれば幸いです。




