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三題噺もどき5

昼休み

作者: 狐彪

三題噺もどき―はっぴゃくよん。

 




 がやがやと、賑やかな声が教室内を満たしている。

 所々にできた塊は、ほとんどが女子のグループだった。

 そもそも、この学校は女子率が高いので仕方のないことだが。まぁ、それに、女子というのは群れる生き物なのだ。

 かく言う私も、一つの塊の中にいるけれど。

「……」

 ふと、時計を見るとまだ掃除開始までには余裕がある時間だった。

 目の前では、あの子と、同じクラスの子達が楽しげに話している。

 つい先ほどまでは私も参加していたのだけど、ちょっと離脱。あまり会話をする側には慣れていない。聞いている方が楽でいい。

「……」

 それに内容が内容で……。

 残念ながら、私はあまり恋愛のお話は好きではない……というかそもそも興味があまり沸かない。そういうドラマや映画も見なければ漫画も読まないし小説も読まない。読んでいた本が突然その要素を持ち込んで不可抗力で読むことはあれど、恋愛と初めからラベリングされているものであれば、手を出さない。

「……」

 運命だとか、恋だとか。

 そういうモノは、よくわからない。

 でも、楽しそうに会話をしている姿は見ていたいので、こうして静かに声に耳を傾けつつ、息をひそめてスマホをいじっている。―ホントはだめだけど。持ち込みはいいが使用は禁止されている。無意味な校則だ。

「……」

 ぼうっと眺める先では、長い髪を揺らしながらニコニコと会話を楽しんでいる。

 ……しかし、いいよなぁ、この子達は。

 四六時中、この子と同じ教室で会話ができるのだから。

 私なんてクラスが違うから、昼休みとたまに会える放課後や朝しか話せないのに。

「……」

 お互いSNSはしているのだけど、相互フォローというのはしていない。そもそもアカウント名も知らなければ、教えてもいない。繋がっているのはLINEだけだ。それも別に使うことはあまりない。話したいことがあるなら、こうして会って話せばいいだけのことだもの。

 まぁ、それに、昼休みだけとは言ったけど、少し長めの休憩の時はその度にここにきているから。

「……」

 おかげで、自分のクラスの人間の顔なんて覚えてもいない。

 名前もおぼつかない……一応今のクラスで修学旅行に行ったのだけど。

 まぁ、コレに関してはクラス替えを担当した大人が悪い。1年の時に愛想よく周りと接していたのが悪かったのか、2年の時には完全にリセットされていた。1人くらい同じクラスの人間がいれば変わっただろうけど。

「―何見てるの」

「――、」

 眺めていた横顔と、突然目があった。

 少し大きめの黒い目に、整った目鼻立ち。美人と言われれば誰もが納得するような、でも学年に1人はいるよねって感じの。特別過ぎない、でも、手の届くような届かないような。

「見せて」

「なにも見てないよ」

 先日、趣味で撮った百合の花を背景に設定している、スマホの画面を見せる。

 なかなかに良い出来だと思うのだ。趣味とは言ったが、一応部活は写真部なので、まぁ、何か大会にでも出せたらいいなと思うくらいには。

「これ撮ったの?」

「うん、見る?」

「見せて」

 一眼レフで撮った写真だが、気に入ったものはスマホにデータを移している。

 自画自賛みたいで少々あれだが、まぁ、自分が好きなように撮っているのだから気に入るに決まっている。

「ん、この写真好きかも」

「これ?」

 自分の指で画面を操作しながら、私の撮った写真を2人で眺める。

 なんだかくすぐったいような気分になって、少し顔をあげると、持参していたクッキー片手に、周りがニコニコとしていた。

 つい先ほどまで恋愛談義に勤しんでいたくせに。

「……どしたん」

「何が?」

 呟いた声が、真隣にあった耳に入り込んだらしく、真横に顔が並ぶ。

「……いや、仲いいなぁと思っただけ」

「「??」」

 まぁ、よくわからないけど。

 この子がいれば、何でもいいのだ。











 お題:運命・百合・クッキー

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