君の背中しか見えない
いつも君をみていた。
顔を知らないわけではない、同級生だから名前だって知っている。
でも、僕は彼女の背中しか見れない。
運動部、それも陸上部で短距離走をしている僕と彼女は、友人でありライバルだ。
ただ、彼女は速い、とても速い。
今じゃ女子高校生の部の400メートル走で国体の代表選手に選ばれるぐらいに速い。
だから、走っているときの彼女の顔、一生懸命に走っているときの顔つきは、僕は知らない。
振り返らないじゃない、ただ彼女の背中、走っているときの背中しか知らないからだ。