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神様になった  作者: 小原河童
冒険者編
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リンツ隊長の配慮

衛兵本部リンツ隊長の執務室に戻ると、リンツ隊長は瑠璃をみて上手くギルド登録が出来たと感じた。

それから、この世界とナルディア領について簡単な説明をしてくれた。

ここ、ナルディア領が属するのがルーデジア王国、それはマニス大陸にある。

他にマニス大陸の国は、カリック王国、コークリーズ王国、自由都市連合パズなどがある。

ルーデジア王国には四大貴族というのが存在し、最も領地が広いのがナルディア領で、領主はサンランド・ナルディア侯爵様だ。

その次が、ベッサム領で王都についで人口が多く、領主はエラン・ベッサム侯爵。

ベッサム領は、白金鉱山と銀鉱山が多くあり、海路で他の大陸との交易で財政が四大貴族で一番豊かなのだと。

三番目がガリ領、領主はリンウッド・ガリ伯爵様。

ガリ領は鍛冶が主要な産業で、マニス大陸で一番多くの錬金術師を抱えていると。

最後四番目が、チレント領で領主はルチェ・チレント伯爵様。

チレント領は食糧の一大生産地だ。

ルーデジア王国で消費しきれない分は、マニス大陸の他四大陸に売っているのだと。

他にも伯爵に子爵や男爵領地が多数あるが、詳しくは知らないと言う。

このマニス大陸の共通の通貨はイェンと言う。

最小単位は1イェン白磁硬貨だ。

他は、5イェン銅貨。

10イェンは青銅貨。

100イェンは銀貨。

500イェンは大銀貨。

1000イェンは金貨。

10000イェンは大金貨。

50000イェンは白金貨。

その通貨の製造と管理をルーデジア王国が担っていると。

理由は幾つかあるが、マニス大陸で一番の大国であるとともに、通貨の基になる銀、白金を五つある大陸の中でも一番多く産出し、埋蔵量も多いのだそうだ。

凡そルーデジア貨幣は、世界中の大陸にある国でも使えると聞き、瑠璃の元居た世界のドルに似ていると感じたし、単位が円とイェンになんか笑えたのだ。

「ちなみに、お前ルリには指名依頼料として週3日で、150イェンだ。

安いとは思うが、ワシの裁量ではこれが精一杯だ。

ルリよ、許せ」

1週間は7日、1ヶ月は35日、1年は10カ月だそうだ。

普通は1カ月500イェンもあれば生活できるというが、そこに宿泊代は含まれていないらしい。

宿代を含め高級宿へ泊まろうが、旨い物をたら腹食おうが、生活費には困らないので、瑠璃は全く困らない。

ギルドへ行く途中に見たかもしれないが、マニス大陸は基本人族が多いが、魔族もそれなりにいる。

獣人族が一番少ないが、この比率は5大陸で違うのだそうだ。


リンツ隊長は思う。

バラバラ惨殺事件の犯人捜査が行き詰った状態、残る日数は今日を入れて6日になっていた。

机の引き出しに隠し持った酒を出し飲んだところで事件が進展するなんてことは思っていないが、不名誉な無能と烙印を領主から押され、職を失う事への不安、金が掛かる子育てへの不安、愛する妻スーナへ対するふがいなさを思うと、飲まないといられないのだ。

ワシの家は貴族の位では騎士階級、その中でも最下位の一代騎士であるから、ワシが死ぬと同時に平民に戻る。

自動的に国と領主からの給金は無くなる。

一代騎士としての給金よりは、中規模の商会主の稼ぎが多いのは、ナルディ市民になら誰でも知っている事だ。

それに、末娘のエリスの事もあるし。

エリスは特殊な生まれで、スキルを2つ持って生まれてきたのだ。

成人する15歳誕生日で、自然に職業とスキルが発生するので、王族や貴族と同等にスキルを3つ持つことになる。

生まれた時からのスキル持ち、それも2つ持つ事がわかると国王や有力貴族が放おってはおかない。

このことは絶対の秘密で、隠し通すことは妻スーナも了解している。

他の子どもたちに知られ、子供の事だから、うっかり他所で話されると大変不味い事になる。

王族にエリスの事が知られると、間違いなくエリスを差し出せと言ってくるだろうし、それは4大貴族も同様で、特にサンランド様は薄々感づいているように思えるふしがある。

もし知られると厄介な事になる予感がする。

と、考えると酒の量が多くなってくる。

「犯人は最悪、スラム街からそれらしい者を連れてくるか」と、考えていると、頭の中にウットリする様な美声が流れてきた。

酒にめっぽう強いリンツだが酔いが起こす幻聴を疑ったが、酒を飲み始めて未だ幻聴は聞いたことがなかった。

「リンツよ、犯人探しに焦っているとはいえ、無実の者を冤罪に陥れてはいけませんよ。

幼児バラバラ惨殺事件の犯人を教える代わりに、今から衛兵詰め所に急げ、そこにいる娘の身分を保証してやれ。

どうじゃ、さすればリンツ、そなたも職を追われることはあるまい」

「ただ、時間を何時まで掛けても良いわけではないので、返事は早めに頼むぞ」

咄嗟に出来ることは何でもやる、と決意し執務室を出て通路を走り、階段を駆け下りる途中で大きな爆発音が聞こえた。

その時リンツはこれで事件は解決すると確信した。

通路を全力で走りとある部屋にたどり着くと、ドアが跡形もなくなった入り口で、おかしな裸同然の格好をした少女と目が合った。

少女は俺を見て、班員のウッドマンを見たので、直ぐに犯人が分かった。

だが結果は大失敗、ウッドマンの逮捕に失敗した。

「エリスまで危険にさらす羽目になるとは、二班の奴らは使えない」と、腹立たしく思うが、目の前にいる少女は使えると、リンツの感が訴えた。

最低でもウッドマンを捕まえるまでは、手元に置いてウッドマンの奴を捕まえる仕事をさせるのだと。

それにはギルドへ行かせ冒険者登録だ。

あわよくば、エリスの事も何とかしてくれるかもしれないと、目の前の少女に願ってみた。


この世界での事でリンツが知る限りの事を瑠璃に話して聞かせ、エリスの白カードを瑠璃が手渡した。

「ありがとうございます、本当に助かりました」

リンツは瑠璃が返したカードを見ると、リンツが願ったとおりエリスの持つ2つのスキルが消えていた。

「これは、スキルが2つ無くなっとるぞ」と、うかつにも喜びが声に出た。

「あぁ、やはりエリスさんのスキルですか」

「エリスさんのスキルは無くなる事はありません。

ただ、見えなくしただけですから」

と、なんでもない事の様に語る瑠璃なのだ。

「リンツ隊長さんもそれを望んでいらしたと、思いましたからね。

ここだけの話として、私の白カードを見ますか。

エリスさんのカードを参考に作りました、こっちは、ギルドが作った冒険者カードです」

と言う瑠璃の2枚カードを見てリンツは腰が抜けるくらい驚いた。

まだ成人していない瑠璃のステイタスは、職業の発現とともにスキルが既に6つも発現していたからだ。

「見本があると白カードくらいは簡単に作れますから。

スキルの数ですか、驚くことはありませんよ。

スキルは簡単に増やすことが出来ますからね」と、簡単に言う瑠璃に、リンツは神の存在をチョットだけ信じてみようかと思ったが、信じる対象が裸同然の少女というか幼女なのが、やはり胡散臭い。

リンツは衛兵に最適な職業である戦士だ。

戦士職を得たことは、本当に幸運だった。

この世界でも職の選択の自由はあるが、成人と同時の授かる職業とスキルに対し、職業の自由と称し、当人が血の滲むような努力を繰り返しても叶わない程の違いがあるのは常識だ。

ただ、職業とスキルの組み合わせが良くても、スキルのレベル上げは相当な努力が要る。

なので、スキルが成人すると3つ持つエリスの場合は、職業やスキルが外れの場合は、王族や貴族からどの様な扱いを受けるか、を考えるとルリが見えなくしたことは、本当にうれしい。

長年の憂いが一気に晴れた、清々しい気分になるのだった。

今は一刻も早く家にいるスーナに話、2人で喜び合いたかった。

指名依頼だからと、ルリに寝泊まりに衛兵本部宿舎を使って良いと勧めてみたが、長期で泊まれる宿屋を紹介してほしいとの事で、少女が安心して泊まれて、尚且つ客層のいい宿を紹介した。

ただ、客層が良くなると宿代が高い高級宿になるが、ルリは金に問題ないというので、若葉の朝露亭を紹介した。

不思議な事にルリと名乗る少女は、若葉の朝露亭の場所を聞くでもなく、今は部屋の確保が先と明日朝早めに来る、と言い残して執務室を出て行った。


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