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神様になった  作者: 小原河童
冒険者編
32/501

流行り病



朝は何時ものようにルイネがゴズと共にあいさつに来た。

「ルイネさんとゴズは、今日は御札の配布をお願いしますね。

ゴズの希望でイーストランドで、それで良いでしょうか」と瑠璃が聞く。

「昼食までとし、昼食はここのレストランで食べてくださいね」と付け足した。

ルイネさんには力がありますから、大抵は大丈夫と思いますが、ゴズはお願いしますね。

今朝の受付はレスターの番だった。

レストランの混み具合を聞くと、いつもと変わらずほぼ貸し切り状態と返ってきた。

「ルリ様ご存じですか。

イストール魔王国の王都が無くなったという話で、今は大騒ぎになっているのですよ」とレスターは話してくれた。

「そうなのですか、今初めて聞きました」と瑠璃は返す。

何時もの窓際の席で、今日のメニューは角切り肉の入った朝の定番のシチューと黄色いレンコンが入ったサラダにコンソメスープと固焼パンのセットを2つ頼んだ。

厨房へ瑠璃の注文を知らせに行くガフを呼び止め、ガフに食後の紅茶を思い出し、追加した。

朝食が終わり紅茶が運ばれてきた時にルイネに聞いてみた。

「ルイネさん体の変化、特に味覚に変化とかはありませんか」と。

「いえ、ルリ様何時もと同じです、今朝もおいしく食べる事が出来ました」といい笑顔を向けるのだ。

これでルイネさんへの心配は殆どなくなくなりましたが判断に困った時は、ゴズか私に連絡してくださいね。

直ぐに、私が転移しますから」とルイネに伝えた。

「一旦自室に戻りましょう、チョットやっておきたい事を考えましたから」の瑠璃の話にゴズの待つ自室に戻ってきた。

ゴズとルイネを前にして瑠璃は、ネットワークを作ると言い出したのが、ルイネにはさっぱり分からないのだ。

そして、瑠璃がこの前ルイネに渡したものと同じようなペンダントを1つ取り出し、黒いペンダントトップに手をかざしている。

もう一つは、黒色のペンダントトップだけだが、瑠璃は同じ作業をする。

そして、ペンダントをゴズに掛け、ルイネにペンダントトップを渡した。

「これは、私たちがいくら遠く離れたところにいても、お互いに会話が出来る物です。

これまで私とゴズは話せましたが、このネットワークで、私とルイネさん、ゴズとルイネさんの間で話が出来ます。

勿論3人で話も出来ますよ。

話す時は、特に声に出す必要は要りません、心の中で話してみてください。

ゴズはアイテムボックスだけなのでペンダントの形にしました。

ルイネさんはアイテムボックスの中に仕舞ってください、装備の欄に入ると思いますから」と瑠璃が言い、ルイネがアイテムボックスに入れると、装備欄の中で一番目に付きやすいところに有るのが分かった。

同様に、この前瑠璃から貰った赤色のペンダントトップが付いた、ここに転移が出来るペンダントも装備欄に入っていた。

「どうですか、少し話してみますか」の瑠璃の言葉にルイネは心の中で感謝を伝えると瑠璃に通じたと感じた。

ルイネさん伝わりましたよ、それから、普通に思っている事は伝わりませんから安心してくださいね、と瑠璃が話してくれた。

では、行きましょうか。

ここ最近の行動で、若葉の朝露亭を少し出てダウンタウンに転移し、ルイネ達と別れ、瑠璃は衛兵本部の方へ、ルイネとゴズはイーストランドへと進む。

衛兵本部でリンツ隊長に執務室前に久しぶりに来ると、少し緊張する瑠璃に、後ろからエステ班長が抱き付かれた。

その勢いそのまま執務室に入った。

おはようございます。

ギルドから指名依頼を受けてきた、言い終わらないところを、リンツ隊長が「うん、二日遅れたがよく来てくれた。

今日から忙しくなるがよろしく頼むぞ、ルリ」と笑顔で歓迎してくれた。

「もう、何入り口で緊張してるのよ、ルリちゃんは本当にかわいいんだから」とエステ班長にからかわれるのだが、瑠璃は嫌いではない。

前いた世界の会社の事を知らずに思い出し、緊張していたのだろうが、ここはルーノン、私の世界なのだからと、思うことにした。

他には、2班班長のラーダと7班のエリソン班長が揃っているという事は、今朝の司会はエリソン班長と思われる。

「ルリを今朝の朝礼でまた紹介するが、またあの挨拶をするのか」とリンツ隊長が笑った。

「あの挨拶は私の班では好評だったから、出来ればまた頼みたいのだが」とエリソン班長が笑いながら言うのだ。

「ダメ、ルリちゃんにそんなことをさせちゃ、絶対にダメなんだから」と笑いながら抗議するのはエステ班長だ。

「まぁ、ルリが良いと思う方法で頼むよ」とリンツが言い、難しい顔をしているのが2班班長のラーダだけだ。

おっ、時間のようですね、の言葉で訓練場へ行くのだ。

朝礼がはじまり、瑠璃の紹介の後瑠璃の挨拶がはじまるのだ。

「衛兵のみっなさーん、瑠璃だよぉ。

また、来ちゃったぁ」とあいさつの途中で合いの手が入る。

「知ってるよー」に続き「待ってたよー」と。

「じゃぁ、今回もサービスしない訳にはいかなくなっちゃったぁ。

皆さーん、宜しくねぇ」と言い、ローブをパンツが見える本当はパンツではなくスクール水着なのだが、見えるギリギリのところまで上げて貴族風の挨拶をした。

これには、列の前にいる副班長と班員には大好評で、アランを探しで一緒に徹夜した班長にリンツ隊長は苦笑するしかなかった。

瑠璃の挨拶が大好評の中で朝礼は終わり、隊長の執務室に戻り最近の出来事を聞く事になった。

「そう言えば、アン班長を観ていなと思うのですが、特別な任務か何かでしょうか」と、問う瑠璃に隊長は困ったという顔で、出来事を話しだした。

アンをはじめ5班の者は、流行り病の影響で看護に忙しいのだが、まだその発生源が特定できていないし、効く薬もない状態なのだと、要はお手上げの状態だとリンツ隊長が話してくれた。

「と、言う事は、発生源の究明という事でしょうか」と、瑠璃がリンツ隊長に聞く。

そうだな、ラーダ班長は何か意見があるか。

あのウッドマンの件のやり残しもあるが、今は発生源でしょうね。

2班としてはルリを含め、あのメンバーを予定しています。

「ルリが言う様に、我々は流行り病の発生源の特定だ」とラーダ班長が言う。

これにリンツ隊長も同意した。

瑠璃は今回の流行り病については思い当たる事があった。

「ラーダ班長、ナルディ市内全域の地図がありますか。

まずは、地図に流行り病の患者発生を確認しているところに、印をつけていきましょう」と言う瑠璃の提案に2班のメンバーが揃って待機している、今日はあの尋問室へ向かった。

さすがに1カ月も経つと瑠璃が壊した扉も新しくなっていた。

今回はそこを使うようで、中にドールトとポーラーにネリナが待っていた。

そこへ入る瑠璃に、当時の被害者のドールトは瑠璃を見ると緊張するのが良く分かった。

「早速ですがドールトさん、ナルディ市全域の地図を用意してください」

「本来地図は重要な機密図書に含まれるが、ルリに見せる分に問題は無いと思いますが、班長如何でしょう」と、ドールトがラーダ班長に許可を求めた。

そこへ、リンツ隊長から患者の住所が記載された台帳を職員が持ってきたので、早速行動に移る。

ラーダ班長とネリナが台帳を読み上げ、ポーラーとドールトが地図に丸印を書き込んでいく。

全て書き込んでみると、発病患者はイーストランドの中、それも3番門近くスネール川沿い、対岸に演習地が見える辺りに集中していた。

「これは」とラーダ班長が驚いた。

同様にドールトに至っては半信半疑だったが、これは見事と言うしかありません。

「ねぇ、やっぱりルリちゃんだ。

うん、本当にルリちゃんは凄いよ」とポーラーとネリナが感嘆する。

瑠璃は続いて「この地区にある水源地の記入をお願いします」と言うと、ポーラーとネリナが大まかに記入した。

そこへ、ド-ルトがここにも、それとここもと、点をつけ足した。

瑠璃のこれ以上漏れはありませんか、の問いに無いと思うと答えラーダの言葉で、その水源地へ行ってみる事にした。

「遠いので船があると便利ですが、衛兵は持っていないのですか」とラーダ班長に問う瑠璃なのだが、あの辺のスネール川は水深が浅く船は使えないのとの答えが返ってきた。

この場合は馬車でしょうね、とポーラーとネリナが言い、一同はネリナが用意した馬車に乗り込んだ。

ラーダ班長は何でもそつ無くこなせそうに感じるが、このメンバーで御者が出来るのはネリナしかいなかったのが瑠璃としては意外だった。

馬車の中で5班について聞いてみると、5班は先ほどに地図に示された中に2つ有るギルド所有の倉庫で病人の手当てを担当しているとドールトが教えてくれた。

今は手当だけで特効薬が無いのが痛いと、悔しげに話すドールトに初めて瑠璃はドールトの感情を見たと思った。

ラーダの説明で水源地はどれもが、地下水を利用したもので、高所にあるというのだ。

ネリナの御者の案内で、初めに行った水源地は綺麗そのもので、何者かが争った跡を瑠璃は見つけたが、2班の者に見つける事はまず出来ない微かな物だった。

ゴズがマルチナと対決したのがここだったという事か。

瑠璃は神眼で見るが、菌の存在は無かった。

次に行きましょうか、の瑠璃の合図に次の水源地に馬車を走らせるが、人通りの多いところで瑠璃がネリナに馬車を止めさせた。

不思議に思って2班の皆が馬車を降り、瑠璃に続いて歩くと、その先に1匹のネズミの干からびた死骸を見つけた。

瑠璃は神眼でマルチナ配下のネズミと知り、馬車にでも轢き殺されたのだと想像する。

ドールトに聞いてみると、馬車の車輪が死因だと教えてくれた。

このネズミが病原菌をまき散らしていた証拠に、病原菌がまだ付着していた。

「あっ、ドールトさん手では触らないでくださいね。

これが病気の原因ですから。

桶に入れて後で焼きましょう」と、瑠璃が言う。

非常に疑わしいのだが、瑠璃のこれまでの実績を考えると、反対する者はいないので、まだ時間が早いが馬に飼い葉を与え空にした桶に死骸を入れ、水源地へ向けて移動を開始する。

その途中で11分署に寄り、ネズミの死骸に触らないよう飼い葉桶ごと焼くよう指示を出し、丘を目指した。

この水源地も初めに行った水源地と同様の広さで、水は青緑に澄み病原菌は見つからないし、ネズミの死骸も無かった。

移動中に瑠璃はアン班長にお告げを告げる。

「アン班長に告げる。

其方は急ぎこの付近の水源地の水は使用禁止とふれ回れ。

さすれば、これ以上の感染は抑えられるであろう。

なるべく急ぐのが良かろう」と。

お告げを出した後、直ぐにアンから御札の効果で願いがきた。

重篤患者は私が治療するので、何とか勤務が終わる夜まで我慢してほしいと伝えた。

それから、会わせたい人がいるので夜一緒に来てほしいと、アン班長に伝えた。

さて、昼食時になるのだが、瑠璃がここで食べるのは止めようと言った。

ドールトが、それは病気を心配しての事かと聞くので、そうだとだけ答えた。

隠すよりもその方が良いと瑠璃は判断し、昼飯よりも仕事だと、皆納得してくれた。

それから、地図の印の残り7か所をすべて回り本部へ戻った。

リンツ隊長に原因はネズミであると知らせ、ラーダ班長が所持する地図を広げ、この地区の者に生水を飲まないよう注意を知らせ徹底する事が、事態を大きくさせないためには大事だと説明させた。

「さすがにルリだな。

で、そのルリは何処へ行ったのだ」

「ルリは5班のアン班長の治療に付き合うと言いまして、帰るとすぐに出かけました」とラーダ班長が説明する。

そして、ルリからの説明は以上だと。


評価よろしくお願いします。

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