表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様になった  作者: 小原河童
冒険者編
3/418

プロローグ3

長かったプロローグを終わらせたくて無理してみました。

瑠璃を怒らせると言葉遣いが非常に乱暴になります

気が付くと、無機質な黄光が灯る薄暗い空間に大勢の人の列の中に並んでいて何か、その先にゲートのようなものが見え、何かの手続きを行っているように見えた。

この光景をどこかで読んだことがあるのと似ている、と瑠璃は思い出した。

それは、瑠璃が学生の時にネット検索で偶然見つけた、ホームページの中にあった釣りコンテンツだ。

その中に、私の家の直ぐ下を流れる渓流についての記載があったから興味をもって読んだ。

ちなみに私の家は見事な庭に滝がある旧家と紹介されていた。

他のコンテンツに初めてのアメリカ旅行と言うのがあった。

作者は日本からアメリカに向かう機内で、ビザ申請用紙に滞在する宿泊先を書いたメモをスーツケースに入れたため、宿泊先を記入することが出来ず、客室乗務員に相談したところ、曰く「分らないところは書かないでもいいですよ」との事で、未記入のままアメリカはニューヨーク市のジョンFケネディ国際空港で、ちょっとしたトラブルになったことをおもしろおかしく書いてあった。

今の瑠璃がおかれた状況が非常によく似ている。

列に並んだ人たちは、何かカードのようなものをもっていて、入国審査に似たカウンターから指示に従い順次奥に消えていく。

列の中には、古風な服を着た一般人から映画で見たような古代ギリシャやローマ軍のようにも見える集団、ペルシャ軍のように見える集団や大河ドラマに出てくる戦国武将の一団も見える。

鎧の胸の印からして、あれは十字軍かもしれないし、あっちの列は何?

その中に何故か四井明美の姿もあったが、声を掛けようにも列が離れすぎていて、明美も気づくまでは至らなかった。

気が付くとあのホームページに出てくるそっくりな、相撲の関取を連想させるとてもふくよかな女性係員が後ろに立ち、私だけを人の少ない、いや居ないカウンターへ行けと指示して後ろを付いて来ている。

別にそこまで見張なくても逃げたりしないのに、と瑠璃は思う。

近くに見えたそのカウンターに行くまで、意外なほど時間が掛かり、ただ歩いて移動しているだけで、その不思議な空間に私だけが取り残されていた。

カウンターの中にいる美しい青年は、にこにこ微笑みながら、「ようこそ、お待ちしていました、橘瑠璃様」と呼んだ。

「えっ!何で私の名前をこの人は知っているの」、と驚く瑠璃に青年は「軽く週4日はいけるんですね」と笑い飛ばした。

「今度機会があれば週4日お願いできますか?」と笑って言っている。

「えっ~!なんでそれ知っているのよ。

けど、それ私じゃありませんから」、と怒って良いなと思う。

なおも、その青年は「週5日は軽く行ける瑠璃様、奥へどうぞ」と笑いながら私に言ってくる。

怒った私は、「あぁ、なんじゃぁ、わりゃもういっぺん言うてみぃ」と怒鳴ってしまった。

瑠璃の祖父はヤクザ映画が好きで、瑠璃も大好きだった祖父と一緒に、何度も何度もよく観てヤクザ映画が好きになっていた。

以来、怒ると映画の中でやくざが凄むセリフが次々に出て周囲から引かれるので、普段はなるだけ怒らないよう、怒る様な場所には近づかないようにと努力していたのが、この名前が読めない好青年によって努力が台無しになった。

からかわれているのは分かるが、何気に回数が週4日から1日増えている。

私が怒鳴っていると、急に仕事モードになった青年、名前は読めないが「奥の8と書いてあるところのドアから中に入ってください」と言う。

8と書かれたドアは直ぐに見つけることが出来た。

1から順に数字が並んだドアがあるのではなく、8と書かれたドアしかなかったので、この場合間違いようがない。

どうやら8は数字ではないようだ。

いつの間にか、ストレッチャーに手術着を着たまま乗っていた。

次に気が付くと、ストレッチャーに手術着のまま乗っていたはずが、よくわからない薄着は透けて丸見え裸状態のままで、青年が言った8のドアを開いた。

中に入ると途端に意識が無くなり、次に気が付いたときは、またストレッチャーのようなものに寝かされていた。

誰もいないはずなのに、私に向かって大人数の人の声が聞こえてく

る。

その中で私に話しかけてくる声が「瑠璃よ、よく来たな」と言った。

するとほかの声が皆私を歓迎しているように、よく来たと言うふうに聞こえる。

そして、瑠璃が今いる場所は神界だと言い、聞こえる声は神々の声だとその声の主は言う。

日本には八百万の神がいると言うから、神様が一人ではないだろうと単純に瑠璃は考え納得した。


その声の主は、瑠璃の先祖、橘晴友が豪華に再興した神社の神体だと言った。

そして御神体は、再興するさいに領主の晴友殿から橘家安寧を託されたのだと。

なんでも、あの豪族はまれに見ぬ戦上手な怪物で、1万5千程度の兵力差で勝てるものではい程の戦上手だったとか。

だから、晴友殿は和睦の条件に、この先何があっても橘晴友の一族と家臣の安泰をと神様が見届けその豪族と約定が結ばれた。

双方合意のこの約定が破られたときは、どちらかの一族が絶えることになる。

それから、橘家一族の中で有望な者が出ると、ワシの下で使ってほしいと。

以来橘家と猛者として恐れられた、家臣団橘百騎と呼ばれた者を今まで、この先も守り続けるだという。

それで、そなたの父晴延殿にお告げと称し、そなたのことを告げたのだが、晴延殿は結婚と勘違いされたようだな。

本来は、そなたが天寿を全うした後に、この神界に迎える予定だった。

すまぬが今回はわしの不注意で瑠璃を死なせてしまった、と神様が謝った。

そなたへの犯罪行為と数々の嫌がらせに加担した全員をお告げとして甘谷社長へ知らせたのだが、まさか甘谷社長の嫡男、専務が首謀者とはいくらワシでも知らなんだ。

ここへ来る前に界門で四井明美を見たであろう。

あ奴がそなたへの犯罪行為の扇動の首謀者であるから、その罪を償ってもらうため呼んだ。

今頃は何処か別の世界で厳罰を受けているところじゃろぅて。

甘谷社長からそなたの結婚話を聞きつけた専務は、予てから目を付けていた瑠璃が自分のものとなると思い込み、結婚相手が自分でないと知り狂ったのだと。

そなたの体がほかの者に任せることを良しとせず、系列の病院に手を回し、そなたの身を切り刻みコレクションにしていた。

私は一連の神様の話を聞いて気分が悪くなり、眩暈と吐き気を催すが吐くことも出来ず、呆然としてその後の話を聞いていた。

聞いているふりだ。

専務には風呂の中で死んでもらったから、既にどこかの世界で死んだ方がいい、死なせてほしいと思えるくらいの責め苦を受けているじゃろぅて、とニコニコして話す神様に瑠璃の意識が戻った。

「あの神様、甘谷社長と会社の方はそのままにしておいてください」と瑠璃が言うと神様は、もちろん、わしは晴友殿との約定を破るつもりはないので安心せよと言われた。

確か甘谷殿の次男が優秀であったから、跡継ぎの件も問題は無かろぅて、とニコニコと瑠璃を安心させるように話す。

ところで、わしが出来ることはここまでじゃ。

これから先のことは、わしの様なポット出の神ではなく、名の知れた神が担当するからな。

ここ神界は何処よりも時間を尊ぶからのぉ。

すると、何処からか現れたのか、瑠璃を覗き込んでいる距離が近すぎる好青年と思える神様がいた。

一体どこから出てきたのだろうか、と思っていると、名の知れた神様は、瑠璃の着ている手術着の様な薄い布を捲って遠慮なく直に肌を触りはじめた。

「チョット!神様、どこを触っているんですか、そこはダメ!絶対ダメだから!

神様セクハラですよ!」と瑠璃が叫ぶと神様は「なに気にしない、気にしない、ここがかぁ、そう。

ふむふむ」と、お触りを止めてくれない。

「あのぅ神様、そんなところを触られると、私変な気分になるんですが」と瑠璃が顔を赤らめて言う。

「いいから、いいから気にしないで」

瑠璃の体を時間にしてどの位触りまくったのか神様は「よし、これで完成」という事で、やっと神様のお触りが終わって瑠璃はほっとした。

「瑠璃、起きてみようよ」と言う神様の言葉でストレッチャーのようなものから起きて、足で床を踏ん張る。

と、ここで瑠璃は真っ裸であることに気が付いた。

みるみる瑠璃の顔から全身が真っ赤になり、恥ずかしさで瑠璃は気絶してしまう。

瑠璃が恥ずかしがる仕草を八百万の神様たちは甚く気に入り、その後とんでもないことになるのだが。

周りが騒がしくなり瑠璃が目を覚ますと、ストレッチャーのようなものに寝かされた瑠璃を八百万の神様たちが近くで様子を見ていたのだ。

「あぁ、気が付いたようだね。

今度は良いでしょう、ちゃんと布を付けていますからね」と名が知れた神様が得意げに言うのだ。

瑠璃は床に立って、その服とやらを見てまた顔が真っ赤になった。

神様謹製の服とは水着、それも俗にいうスクール水着というやつで、瑠璃も小学校でお世話になったやつだ。

その濃紺一色のスクール水着の胸元に、白地の布に大きく5年生と無駄に立派な刺繍入りだった。

「なにコレ~~ッ」絶句し青い顔をした瑠璃に、すまなそうにポット出の神様が答えた。

神様曰く、瑠璃の体は専務によって切り刻まれていて、元の戻せなかったと。

肩こりを自覚するくらい豊かな形の良い胸は、同性異性を超えた憧れが専務のコレクションから廃棄になり、その他諸々が廃棄になって元に戻せなかった。

顔に上半身と下半身、特にひどい壊れ方をしていたのが性器だったという事だ。

専務は瑠璃の性器に何をしたのか。

それで、参考にしたのが小学校5年生の時のスクール水着の記憶だったという事で、グラビアモデルにとスカウトされたこともあった、チョットだけ自慢の体が、幼児体形に逆戻りしたのだった。

「すまんのぅ、瑠璃。

小学校の時に会った記憶しかなくてのぅ、この先この体は変わらんのじゃ」と神様に言われた。

瑠璃は眩暈がするようなショックを受けるが、借りものではなく昔の自分自身の体、と渋々納得するしかなかった。

名の知れた神様が瑠璃の体について説明してくれる。

曰く、これから瑠璃が担当する世界ルーノンではこの体型、そして服はスクール水着の一択だと。

スクール水着は破壊不可の逸品で、仮に破壊されてもその都度瞬時に強化・自己修復を行い、傍目からは破壊も修復も認識できないという優れもの、自慢の一品なのだと。

靴はなく我々神同様に瑠璃も神なので素足だと。

靴など所詮人の履くもので、我々高貴な存在には不要なものだと。

頭脳は初期段階では、瑠璃がいた世界最速のスパコンと同等の処理スピードを持つが、その後は訓練次第で此処に居る八百万の神々同様の能力を使えるというのである。

目は神眼と言い、物質の鑑識・鑑定はもちろんの事、透視と読心術は初期から使用が可能なのだと。

次は体の説明だ。

前にもふれた様に成長しない、という残念な体だ。

だが、物理耐性、精神耐性、化学耐性、食事と睡眠は不要と聞かされる。

「あの、不満を言うようで申し訳ないのですが、食事が要らないんじゃ何の楽しみがあるのですか。

私は美味しいものが食べたいのですが」

と、言う瑠璃の不満に神様は、「すまん、すまん、説明不足だったようだ。

食事も睡眠も不要なのだが、普通に食べる、眠る事は出来るんじゃ」

神様の説明に安心する瑠璃にさらに、「ただ、満腹感は無いのでいくらでも食べることが出来るから、その量に注意するように」だそうだ。

「それから、その体には排泄器官はないから」と、さらっと怖いことを告げられる。

「じゃ食べたものは何処へ行くのですか、その太るとかはないのでしょうか」と、恐る恐る神様に問うと、異空間で処理されると答えが返ってきた。

じゃ、お菓子にケーキも食べ放題で一切太らない体って、ある意味で瑠璃の理想とするところであるが、神様に見抜かれたのか「くれぐれも食べ過ぎに注意じゃ」とくぎを刺される。

一瞬瑠璃がまぶしく感じると、目の前に目つきの鋭い少年の神様が立っていた。

「耐性とかケチ臭いことを言わずに、いっそ無効にしてあげようよ、その方が面白いから」とその神様は邪悪を含んだ笑いを瑠璃に向ける。

「なので、私邪神は精神耐性を精神無効にしまぁす」と名の知れた神様に宣言する。

すると次々に神様が特化した能力、物理無効、化学無効といい、他にも金運とか豊穣とか製作創造などなど、収拾がつかなくなった。

結果、名の知れた神様がまとめて、身体的脅威全てが無効になり、万物創造と予知の他、神界で有数な力を多くの神様から神威を分けてもらった。

瑠璃に力を与えるきっかけを作った邪神に理由を聞くと「瑠璃が担当するルーノンって世界は超平和、暇で退屈なので、瑠璃もきっと退屈になると思うよ。

だから少々は騒ぎになるほうが面白いから」と、今度は純真な笑顔で言われ、答えに困ってしまった。

と、この様ないきさつの結果城壁都市の門に並ぶ列にいつの間にか瑠璃は並んでいるのだ。


次回から本編がはじまります。

その前に簡単な初期の人物紹介を予定しています。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ