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神様になった  作者: 小原河童
冒険者編
19/500

アン班長1

外は朝日に照らされ、今朝も清々しい潤った空気を胸いっぱいに吸い込む瑠璃には、昨夜の一見が無かった事のように感じる、この朝の雰囲気に嬉しく思う。

外から戻り、レストランに入ると直ぐに何時もの窓側の席に案内してくれる、ピンデールに感謝だ。

「あれ、ピンデールさん髪少し切ましたか」と、瑠璃が尋ねると、ピンデールが嬉しそうに、少しだけと言い、親指と人差し指を使い、切った長さを教えてくれた。

朝食用のメニューから今朝は、シチューと黄色のレンコンを使ったサラダを注文した。

やはり昨夜の出来事がまだ影響しているようで、軽いもので済ますことにした。

瑠璃は基本的に食事を摂る必要はないので、この様な気分の日は食べなくても良いのだが、美味しい物への拘りは、簡単に諦めることはしない。

今朝は何時もより早いのは知っているが、やはりアンジーの身が心配で、今まで以上に早く衛兵本部へやって来た。

会う衛兵に5班の兵舎の場所を聞き、アン班長にアンジーのことを聞きに行くが、班長の執務室にアン班長は留守だった。

衛兵に聞くよりもと、フードのディスプレイを使いアン班長の居場所を探すと、不思議なことにアン班長は本部北の空き地と確認でき、周りに人はいなかった。

と、言うことは、アン班長は一人なのだ。

リンツ隊長の執務室へ行くよりもまずは、アン班長の話を聞きたいと思い、ディスプレイが示す北へ向かった。

兵舎の北の壁際でアン班長は真剣に考え込んでいた。

アンジーの身の上に起きた一件が考え事の原因でないのは、何となく察しが付くが、一体何を深刻に考えているのか、不思議に感じるところを、アン班長に気取られてしまい、気まずい雰囲気になってしまった。

まずは、アン班長を探しにここまで来た事が、アンジーの様子なのでそのへんを聞いてみた。

アン班長は昨日までとは別人のように瑠璃に接し、アンジーは夜中に何度かうなされていたと、班員から聞いたと話した。

そして、アンジーの体に付いていた、傷と内傷は治癒魔法である程度は治したと瑠璃に話した。

が、そこまでで、なぜ人気の無いところで考え事をしているのかについては、アン班長は何も話さなかったし、これを聞くと、感情を押し殺しているのが瑠璃には手にとるように分かった。

朝礼の時間が迫っているので、二人は無言のまま訓練場へ向かうのが、無言で歩く時間が距離以上に長く感じるのだ。


朝礼では昨夜の鬼酒場の件は伏せられ、今日も昨日の続きで手分けをし、武器屋と防具屋の職人探しの続きなのだ。

そして、各班長と瑠璃はリンツ隊長の執務室で、瑠璃は各班長に昨夜の鬼酒場の一件を話した。

「なんて無茶なことをするのだ」と、各班長から無茶をし過ぎると指摘を受けたが、瑠璃の働きを皆が素直に認めるのだ。

そして、アン班長からアンジーの状態の報告があった。

「今日からお前らは、鬼酒場の周辺で冒険者風の赤い服を着た男を見つけてもらう」と、リンツ隊長が言った。

瑠璃もそれには賛成だが言葉を付け足した。

「決して、冒険者風の赤い服の男についての聞き込みはしないようにと」だ。

聞き込みが噂になり、探している男に感づかれ逃げられる恐れがあるからと、念押しを各班長にした。

それで「見つければ、身柄の確保です。

あるいは尾行し住居を突き止める」

「ですが、ここは慎重に見つければ捕まえる」で行きましょう。

最後は瑠璃がしめて会議は解散となった。

2班は鬼酒場付近を避け、はじめはスネール川からウエストランド地区の1門へ移動した。

ナルディ市の中で一番忙しいのが、1番門なのだという。

1日あたりの出入りが平均で4万人と聞き瑠璃は、元の世界の日本の一般的な都市にある駅の乗降数とほぼ同じ数と感じ、4万人という人の出入りがどのようなものか実感ができた。

それで、ただ赤い服を来た冒険者風の男だけでは、見つけるのは無理と痛感した。

担当の衛兵に、ここ最近の不審者情報を聞くと、その場にいた衛兵50人中31人は瑠璃を示し「怪しいのはあいつだ」と言ったほどだ。

それほど瑠璃の第一印象は、強烈だったらしい。

これには2班の4人は苦笑する他はなかった。

1番門付近は早々に諦め、ウエストランド地区から貴族街を経由しイーストランドの壁一体の巡回に切り替えた。

その途中で、アン班長が一人で居るのを貴族街で見た。

アン班長は身なりの良い貴族そのものと言った風の青年と何やら話していて、2班が近くに来るまで気が付かなかった。

美人であり貴族の次女というだけで、浮いた話があって当たり前のアン班長なのだが、ポーラーもネリナも聞いたことがないと言っていた。

それが瑠璃にしてみると、今朝のアンのとった不自然な態度といい、人気のないところで思案するアンと、今は職務中なのに貴族風の青年とアンの事に興味が出てきた。

そこで、神耳を使い内緒で何を話しているのか、聞いてみた。

途中から聞いた内容は、貴族街で偶然出会った同郷のアンに会って、侯爵の地位を使ってアンに言い寄っていた。

アン班長とは通りの反対側を歩き、何気なくアン班長にポーラーが声を掛けた。

ポーラーのアン班長にかけた声が、アン班長が離れる切っ掛けになり、それに怒りを露わにしたヨーゼフという青年の顔が面白かった。

アン班長は2班と一緒に行動することになり、イーストランド地区の壁際の巡回に加わった。

貴族街の外れ近くで一同は防具屋を見つけ、聞き込みに店内に入った。

店内は全ての壁が白木の木目が美しい落ち着いた感じの、高級品を扱う店と瑠璃は思った。

奥の棚に置かれている金属製の鎧は、どれもが実戦向きとは思えない、豪華な飾りが施されいて、値段は分からないが高価なもと判断がつく。

入り口近くの棚は微かに革の匂いがし、その全てが軽装鎧、素材は高価そうな革だ。

何れもが、縁は金属で補強が施されている、補強の金具の処理が絶妙で下に着る服を傷つけることが無く、奥の金属鎧同様に高価な物と想像ができる。

カウンターに店員がいる奥の一角は、簡単な作業場のような作りで、靴や鎧が体に馴染むように微調整と、簡単な修理をしてくれるのだろうと推察できる。

その作業場に近い位置に、カラフルな色をしたビキニアーマーが14点展示してある。

それを見て瑠璃が不思議に思う。

と、言うのは、この世界に来た時、直後に子供から裸と言われ、大人たちからも同様に言われたのだ。

瑠璃にしてみれば、ビキニアーマーの方が裸と思うのだが、この世界の人たちの、ビキニアーマーとスクール水着の違いが、何処にあるのかさっぱり分からない。

瑠璃からすると、肌の露出が多いビキニアーマーの方がより裸に近いと思うのだが。

それにしても、デザインといい、色違いと、この種類の多さには驚きなのだ。

対して、スクール水着の鎧はここで見る事はなかった。

恐らく、スクール水着の鎧はこの世界には存在しないのだろうと、瑠璃は思った。

他は、男女別の靴も、ブーツの様な長い物のもスニーカーの様な短いのと、サンダル風のもあるのだ。

その他は、無駄に丈が長いローブ、こちらも種類と色違いが豊富にあるが、防御効果は殆どない物とみてとれた。

冒険者と違い衛兵の装備は、全てが統一されている。

衛兵の制服は灰緑色の上下別れた物で、瑠璃のいた世界のイギリス、スコットランドヤードの制服に似たデザインによく似ている。

その上に、班長だけに許される同色の長いコートの着用となる。

このコートを見るだけで、班長と判断できる。

カウンターの店員に一通りの聞き込みをした。

主に話したのが、ラーダ班長で、彼の巧みな話術(脅し)で店主のデニスが殆どの金属製の防具を作っていると、聞きだした。

革鎧については、店主の友人ジョスリンが作っているそうだ。

「そのジョスリンという友人は、何処にいるんだ」と、ラーダ班長が若い気弱そうなオニスと名乗る店員に聞いた。

ちょうど其処へデニスが店に革製の胸当てを持って入った。

「あんたが店主のデニスか」と聞くラーダ班長と特に瑠璃を胡散臭げに一瞥する。

「そうだが、何用だね」と答える声に、警戒の意思を感じる。

「オニス、お前はおしゃべりが少し過ぎるようだな」と、余計な事は言うなという意味で、オニスを叱る。

「旦那様、おりゃ、まだ何も言っちゃいねぇませんですよ」と、おかしな弁解をした。

「オニスについて聞きたいのだが、お前の店で扱っている革製の防具の作り手、ジョスリンについて教えてくれないか」とラーダ班長が聞いた。

「お前は本当に口が軽いな」と、デニスが言いオニスを睨みつけている。

それから諦めた様に胸当てを置き「仕方ないな、ジョスリンについて何が知りたい」

「いゃ何、簡単なことだよ。

ジョスリンは何処に住んでいるのかと、それと、ジョスリン以外の革が扱える職人についてだ」とラーダ班長が聞く。

デニスは警戒を解き安心したように「なんだ、そんな事か。

俺はまた腕の良い職人、ジョスリンの引き抜きを疑ったんだ。

近頃は衛兵でも信用ならんからな」とデニスが言う。

そして、ジョスリンはジュード運河とジェストラード川が交わる、そこから上流に行き最初の橋を渡ると、家の前に今も皮を並べているので直ぐに分かると教えてくれた。

そして、知っている革職人はジョスリンの他は知らないと。

なので、他の職人を知りたければ、ジョスリンへ聞いてくれと話した。

ついでに言うと、ジョスリンは冒険者時代のパーティーメンバーなのだと教えてくれた。

店の出口で思い出したように、瑠璃がデニスに聞いた。

「店の看板が無いので、防具屋さんとは思えませんね」

「そりゃそうだよ、うちは一見の客はお断りだからさ」

と、自慢げに笑いデニスが言った。

ジョスリンに会いに行く道すがら、瑠璃がアン班長に聞いてみた。

「ジョスリンに話を聞いたら、時間的にお昼になると思いますが、アン班長は貴族なので、この辺で美味しい店を知りませんか」と。

アンは戸惑ったように、「確かに私は貴族ですよ。

けど、私はナルディア領の貴族ではなくて、この辺に住んではいないのですよ。

私の住処は隊舎ですからね」と、アン班長が話した。

「なんだルリは、もう昼食の心配か。

ここら辺で旨い物が食べたいなら28分署だな」とラーダ班長が言う。

「もしかして、ラーダ班長のお勧めは28分署の近くのあそこですか」とネリナが言う。

「私は少し遠くても、30分署近くの山賊食堂がお勧めですけど」と、ポーラーが異を唱えだす。

「私は味より食べられれば、何でもいいのです」とド-ルト、静かだったドールトも話に乗ってくる。

「ドールトは俺の見方だよな」とラーダ班長が多数決を警戒して、多数派工作に乗り出した。

と、こんな感じで和気あいあいと、目的の住所に着いた。

今度はアン隊長が先頭に立って、ジョスリンに話を聞いてくれた。

仕事場に入り「初めまして、私は衛兵第5班班長のアンです。

デニスさんの紹介で、ジョスリンさんにいくつか訪ねたい事があり来ました。

必要以上の緊張も警戒も不要ですよ」と。

「丁寧なあいさつ、それは、どおも。

で、私に何が聞きたいのさ。」

「ジョスリンさんは、この仕事について長いのですか」

「長いって言っていいのか、デニスにも聞いたように、同じパーティーで活動していたのさ。

私の職業はレンジャーで、何度買い替えても満足な革鎧が無くてね。

デニスの発案で自作するようになったのさ」

「と、言う事は、誰かに師事したとかではなく独学ですか、それは、また凄いですね」とアン班長が演技ではなく感嘆するする。

「いくら満足いくものを作っても私の職業はレンジャーで、スキルも物づくりに向いたものではないので、誰も相手にしてくれなかったよ」

「では、同業者の中で、腕の良い職人を知りませんか。

噂でも良いのですが」

「さぁね、私はデニスだけで他とは取引をしないのでね。

私なんかよりも、その手の職業にスキル持ちの方が、出来が良いのは誰も知っている、そういう事よ」。

「では最後に、革にこだわりを持ち、特に変わり種の革を集める人の噂は聞きませんか」と、皮を観ていた瑠璃が今度は聞いた。

帰ってきた答えは、「わたしゃ、他所とのつながりを持たないからね。

悪いね、嬢ちゃん」とジョスリンは言った。

「忙しいところ時間をとってもらい、ありがとうございました」と、アン班長が、話しを締めくくった。

昼飯はポーラーの強い推しで、ジョスリンの所からは相当離れた30分署に近い、山賊食堂で全員が山賊スペシャルを注文した。

何が出てくるか知らない瑠璃の期待は、いやにも高まるのだ。

何せ瑠璃が知る山賊と名の付く食事処は、料理全ての量が多いからだが、それに、スペシャルの名が付くから尚更だ。

はじめに出たシチューは、ごく普通の具材と味で、量も普通なのでスペシャル感が全くしない。

次に運ばれてきたのが、ミニパスタ入りのサラダ。

その量の多さに、瑠璃はこの世界の山賊も同じと思い、少しうれしくなったが、頭から出るかもしれない煙の件が、次に出る量を考えると不安になってきた。

最後に出たのが、これぞ山賊と瑠璃に思わせるような、大きな堅焼パンだった。

今日はアン班長が一緒なので、頭の煙をみられると不味いと思い、固焼パンは半分残した。

はじめて試す倉庫機能の性能確認と、皆の隙をみてローブへ納める様に見せ倉庫へ収納したのだ。

後は今夜の楽しみだ、と瑠璃は思うのだ。

昼からは、イーストランドとスラム街の境当たりの巡回し、特に鬼酒場付近を重点的に見回り、今日の仕事が終わった。

鬼酒場付近で不思議な噂を聞いた。

それは昨夜の事で、鬼酒場の店内で従業員が、客を含め皆が見ている中で忽然と消えたのだと。

噂話を聞いてきたネリナが話す、その話で皆が瑠璃を一斉に見る。

本部に戻り、リンツ隊長の執務室で今日の巡回の報告を行うが、どの班も成果は無かった。

リンツ隊長の方針は、しばらくはこの巡回を続ける、という事だ。

瑠璃はアンジーの事が心配で、退室をアン班長のタイミングに合わせ、アンジーに会わせてほしいと、アン班長に話した。

思い切って、アン班長自身困りごとがあるのなら、話してほしいと言った。

今日でもなくていいから、特に明後日からまた4日間は衛兵の仕事は休みになるので、休みが合えば若葉の新緑亭に来てほしいと。

リンツ隊長の時もだが、アン班長の半分の歳の小娘が言う事を言っている瑠璃自身が恥ずかしくなる。

アン班長は硬い表情のまま、アンジーに会わせてくれた。

そして、瑠璃と一緒に、アンジーの話を聞く。

「今日一日体調は如何でしたか」

「昨日は暗くてよく見えなかったのですが、体の傷を見せてくれませんか。

あっ、嫌なら構わないし、強要もしませんが」と言う瑠璃に、「私を助け出してもらった、私としては恩人ですから、どうぞ好きに見てください」と言うと、アンジーはその場で昨夜のワンピースを脱いだ。

脱ぐ服が擦れると豊かな胸が揺れ、白い肌が露わになった。

打ち身による外傷は治癒魔法で治っているように見えるが、神眼で見る瑠璃にはまだ完全ではないのが良く分った。

「少し触りますからね。

痛いところがあれば言って下さいね、私が治しますから」と言う瑠璃を、アン班長は不思議そうに見ている。

瑠璃の目で見ると、豊かな胸からわき腹に残るミミズ腫れの跡を少し押すと、アンジーは痛がった。

次に太ももに残るミミズ腫れの跡も同じように触ると痛がる。

そして、両の太ももを大股に開いてもらい性器も見た。

アンジーの性器は酷い状態で、痛みによく耐えたと思えるような、酷い裂肛からごく少量だがまだ血が流れていた。

この酷い状況を見た瑠璃は、甘谷専務に自分の性器もあのように、いや復元が無理と神様が語ったのだから、もっと酷かったのだと思い出した。

「では、胸の方から治していきましょう」と瑠璃が告げアンジーの胸からわき腹に手のひらを当て一撫でした。

瑠璃の手から漏れる金色の光にアン班長は驚き、開いた口に両手を当てただ黙ってみていた。

次に瑠璃は、今治した胸からわき腹を人差し指で、押し跡がつくくらいの強さで押した。

「アンジーさん、どぅですか、痛くはありませんか」

「はい、すっかり元に戻った感じです」

瑠璃は次に太ももにとりかかったが、こちらも問題なく完治した。

そして、問題の性器は瑠璃の指示で、アンジーにベッドに座り股を思い切り開いてもらった。

アンジーは、股を開く時に痛がったのだが、これも傷を治すためだと瑠璃に諭され、塞がりかけていた箇所がまた開き、泣きながら股を開いた。

開いた股から性器をみると、初見の印象より傷が酷く、股を開くのを嫌がるのも当たり前と思った。

アン班長は口に両手を当て呆けたままだ。

「では、治療をはじめますよ、直ぐに終わりますからね。

痛くはないので安心してくださいね」とアンジーに声をかけるが、アンジーは無言でうなずき涙を流している。

瑠璃は両手の指を使い、裂肛の場所がよく見える様に広げた。

そして、両の指から金色の光が裂肛の部分に流れ、一瞬で傷がふさがった。

「これで、完治ですよ。

どうですか、ご自分の指で触ってみてください」と瑠璃が言うとおりにアンジーが自分の指でこわごわ触り、痛くないのと指を見て出血も止まったことを本当にうれしく感激した。

「次が背中です。

特に左肩がおかしな方向に向いているように感じますから、ついでにそれも治しましょう」と言う。

「左肩は幼い時のケガで、もう治らないものと諦めていました。

それも治るのですか」とアンジーが信じられない、と瑠璃に聞く。

「大丈夫ですよ、大抵のケガは何とかしますから」

瑠璃はアンジーの左肩に両手を置くと、微かにアンジーの肌と手のひらの間に金色の光が漏れたが、それは一瞬だった。

「次は、背中の傷ですね」

と、わずか数分でアンジーは完治し、特に性器の裂肛が治り、ぎこちないよちよち歩きから普通の歩幅で歩けるようになり、左腕が耳まで上がり喜んだ。

一連の治療を間近で見ていたアン班長は、アンジー同様に瑠璃の治療に驚いた。

そして、昔からあるおとぎ話の中で出てくる神様は、人々を治療して各国を回り、厄災をもたらすモンスターを退治する物語の一部を今現実に見た気がしたのだった。

そのおとぎ話の中で語られる一節、「今から行う治療は、手当といい神様が手をかざすと、手から不思議な光が発せられ、ケガがたちどころに治る」、この話に大きな影響を受けたアン班長は、自身の職業の治癒士であることで、回復役が専門の班長になった。

瑠璃に対し自然と頭を下げるアン班長をみて、「アン班長御免なさいね。

ただ私はアンジーに早く元気になって欲しくて、気を悪くしないでくださいね」と、出しゃばった行為に謝罪する。

「ルリさん、とんでもありません。

あなたが今アンジーを治す行為は、おとぎ話に出てくる神の御業です。

それに、これまでの事を思うと、ルリさんはやはり神様なのですね」とアン班長が言った。

瑠璃はアン班長の神様認定を「私からは何も言えません、このことは秘密にしてください」と答えた。

そして、アン班長に瑠璃は不思議な文様が描いてある厚紙差し出した。

「これは?」と、問うアン班長に瑠璃は「これは、御札と言います。もし困り事があれば、この紙に向かって話してみて下さい。

大抵の事は解決できると思いますよ」と瑠璃は答えた。

同時にアンジーにも1枚渡した。

二人とも、今見た治療を奇跡と感動し、瑠璃から御札を受け取った。

その後アンジーに、鬼酒場でロンスについて何か思い出したことがないかと聞いてみたが、ウッドマンとのやり取り以外は知らないと話した。

また、何か思い出したら、アン班長に話してほしい、と伝え瑠璃は若葉の朝露亭に帰った。

評価よろしくお願いします。

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