瑠璃の休日
暑中お見舞い申し上げます
本当は外の仕事が溜まっているのですが、強い日差しを見るとやる気が萎えます。
読者の皆様、熱中症にはくれぐれもご注意ください。
その夜のリンツ家寝室、夫婦の会話。
「ねえねえ、私の背中を見て」とリンツにスーナが背中の奴隷紋が消えた事を本当に嬉しく思い、夫のリンツに良く見せるように、隣で寝ているリンツにすり寄って来た。
「うん、きれいに奴隷紋が消えている、本当に良かったな」
「これもあなたのおかげですよ、あなたがルリさんに出会ったからですから」と、嬉しそうに話すのだ。
「あなたから聞いていたが、ルリさんはもしかすると神様じゃないかと思いますよ」とスーナが話す。
「そうだな、もしかするとだな。
しかし、あの格好はな。
ワシが初めてルリを見た時は、裸同然だったからな。
それに、中央広場にある女神像に似ているようにも思うが、この世界から神がいなくなったと言う話だしな」
「今は誰も神の姿を見ていからな」
「そうですね、神の存在が確認されなくなって、300年は経つ」と言うことですが、私はルリさんを信じたいと思いますよ。
「エリスの白カードですが、エリスが触ると見えなくしたスキルがまた見えると言う事でしたが、今度はエリスに持たせても見えなくしてもらいました」
「それに、エリスが成人すると白カードの情報が見られるようになるから、不都合があるなら相談してほしいと」です。
「後ですね、これを頂いたのですよ」と言ってスーナは、おかしな模様の描いてある厚い紙切れの一枚をリンツに渡したのだ。
そのおかしな模様とは、瑠璃が元いた世界の日本、橘家の先祖晴友が再興した神社のお清めの御札で、氏子ならだれでも貰える物だ。
「これは?」というリンツに、スーナは「本当に困った時に、この紙に困り事を話してみてと」言われました。
何でも、大抵の困りごとは解決出来るかもしれないと、ルリさんは言われましたが、これは、おとぎ話に出てくる一節と同じと思うのですよ。
「そう言われると、昔子供の頃に読んだ本に書いてあったように思うな」とリンツも思うが、如何せんルリに初めて会った時の格好があれだからな。
と、リンツ夫婦は話し合った。
瑠璃が渡した紙切れ、1枚はリンツがもう1枚はスーナが、持つことにした。
スーナの背中の奴隷紋を近くで見たリンツは、スーナの奴隷紋があったところへ口づけをし、舌を使い愛撫をはじめた。
それから、スーナのうなじから耳たぶにと、十分時間をかけて舌を這わせるリンツにスーナもその気になってきた。
歳に抗うように隆起したスーナの胸とその頂点にある乳首を舌と口で愛撫を繰り返し、リンツは指をスーナの股へ滑り込ませる。
スーナの上にリンツが重なった時に若かった頃を思い出した。
出会った頃のスーナとリンツの歳の差は感じなかったが、時が経った今は大きく広がったように、リンツはスーナの白い肌を見て触れて感じる。
そして、一連の行為が終わるとリンツは、本当に俺には過ぎた自慢の嫁だとスーナのことを思う。
そして、愛していると。
朝いつもの時間に起きた瑠璃はナルディア領の歴史が知りたくなり、受付のリーズに図書館に置いてある本について聞いてみた。
リーズは歴史に興味がないようで、ナルディア領の歴史書は知らないと言い、大雑把なものならオーナーの趣味で持っている図書室にあるのではないかと教えてくれた。
午前中はナルディア領歴史について書かれた本を部屋で読み、昼からはギルドに行きリンツからの指名依頼を受けるため、依頼書を受け取りに行くと決めた。
初めて会うオーナーの執務室、その豪華さに宿の格を感じるし、まさに貴族のものと瑠璃は感じた。
瑠璃を迎えたスチュアートは、レスターよりも10歳くらい歳上の貴族の風格を醸し出す上品な紳士だった。
だがそこは商売人、客を相手にするその目は、会う人物の本質を見抜く、といった感じの抜け目なさを感じる。
「確か、ルリ様は当若葉の朝露亭は初めてのお客様と存じています」と、オーナーの執務室で、スチュアートが言う。
「はい、縁あってリンツ隊長の紹介です。
雰囲気といい料理が美味しく、受付をはじめ給仕の人たちのサービスに大いに満足しています」
「当若葉の朝露亭に対するお褒めの言葉、ありがとうございます。
それで、私に如何様な要件でしょうか」と、スチュアートが聞いてくる。
「はい、受付のリーズさんに聞いたところ、スチュアートさんの蔵書にナルディア領の歴史書があると聞き、お借りできないかと思いまして伺いました」と言う瑠璃に、スチュアートは少し警戒したのが分った。
「私は何処かの国のスパイではなく、ただナルディ市について興味があったからですよ。
例えば、この街の緑が多い事や数々の通りが舗装されているなど、他ではこれだけの規模は見ませんからね」という瑠璃に少し緊張を解いたのか、スチュアートは微笑んだ。
その顔の髭は、油を塗って後ろに撫でつけた銀髪とよく似合い、まさに貴族を彷彿させる紳士の姿だった。
「そう言うことですか、当宿は一見のお客様は本当に珍しいですからね」と言い、簡易的とはいえ立派な図書室に案内し、ナルディア領の歴史について記述のある本を3冊貸してくれた。
「これほどとは、大変に立派な図書室ですね」と言い瑠璃はお礼にとスーナに渡したのとは、一段落ちる御札をスチュアートに渡す。
貰ったスチュアートは紙切れを不思議に見ていたところで、瑠璃が紙について説明を始める。
「この紙は御札といい、大きな困り事が起きた時に、この御札に向かってその困りごとを話すと、大抵の場合は良い解決策が浮かびますよ」と瑠璃は話すのだ。
「そうですね、中央広場でやっている女神教とは違いますから」と胡散臭さの解消もさり気なく行う。
借りてきた本を読みすすめると、このナルディア領初代領主はジェストと言い、ルーデジア王国建国時の英雄と知った。
数ある部隊の中でジェストの牽いた部隊は精強で、初代ルーテジア国王から戦功で、侯爵の地位と今のナルディア領を任される。
ジェストの部下で戦功を上げた者たちが、今の4大貴族という事が分かった。
ジェストは今のナルディ市の基礎を作り、城壁の建設をはじめる。
同時に、武勇に優れた人物を重用し、ルーデジア王国最強の軍を作り上げた。
四代領主ジョットは内政に力を注ぎ、実力のある者は人種身分の差なくとりたて、今の支配体制を確立した人だ。
その四代目でようやく城壁が完成する。
八代領主ジェイは文化に力を入れ、当時は王国一の文化水準にまで引き上げ、ナルディ市の学校に入るのが、当時の貴族の間でステイタスとされた。
そして、領民の識字率を上げ、冒険者ギルドを作りあげた。
そして、十一代が現領主のサンランドで、今のところ彼に強いて挙げる功績はなく、庶民からは嫌われ無能と陰口を言われている。
と、ざっとナルディア領の歴史について読んだ感想で、今のサンランドは無能なのだと瑠璃は思う。
と、言うのは、瑠璃の感覚では、今のナルディア領は緩やかに衰退の方向へ向かっていると感じるからだ。
初日に冒険者ギルドへ行ったとき、文字の読み書きを受付から聞かれた。
思うに、八代領主ジェイの時が絶頂期のように感じるからだ。
ちょうど昼の鐘が鳴ったので、瑠璃は読書を止めた。
明日から3日間はギルドの仕事で、読書をする時間が無理そうなので、借りた本をスチュアートに返した。
その足で宿を出て、今日は宿のレストランとは違うところで昼食を取ろうと考えた。
ギルドに用があるので、自然に足がダウンタウンの方へ向く。
フードのマップ表示に切り替えレストランを探すと、近場で6件の表示が出てきた。
その中から、木漏れ日の雫という、爽やかな店名に引かれて店に行くことにした。
近くまで来るとすぐに分かるレストランの自慢は、屋外のテラス席のようだ。
瑠璃も他の食事客と同じで、自慢のテラス席に案内され、木漏れ日の雫オススメを注文した。
料理が来るまでの時間注意して給仕係をみると、席について注文をしない場合は、テラス席に案内されるように感じるが、テラス席が一杯になると、後は室内という営業方針のようだ。
給仕が持ってきたお勧め料理のメインは、数種類のきのこが入ったシチューで、ほかは、ショートパスタを使ったサラダ風のものと、黒パンだ。
きのこのシチューはスパイスがよく効いて、軽く舌が痺れる感じがするが、慣れるとこの刺激が堪らないものになってくる。
薄めの味付けとよく合う。
どちらかと言えば、淡白な感じのシチューに対し、ショートパスタが入ったサラダは、小さく切られたベーコン風の物の影響で、コッテリとした味がし、固いと思った黒パンはとても柔らかく、香ばしい風味もあって面白いと感じ、満足な昼食だった。
ただ、若葉の朝露亭のほうが、旨さという点では数段上だというのが瑠璃は評価だ。
昼食に満足し、何より頭から煙が出なかった、これが何よりうれし瑠璃は、上機嫌でギルドに入った。
いつもと同じ、表側の方へ。
今日のセリーナは受付とは違い、普通に机について書類仕事をしていたので、あそこがセリーナの席と瑠璃は認識する。
瑠璃の入室に気がついたセリーナは、眼鏡を外し両手で頬と軽く叩くと受付嬢の表情に変わり、瑠璃に衛兵本部発行の指名依頼書を瑠璃に渡し、「また明日から3日間ですが、頑張ってください」といい笑顔で言った。
ギルドからの帰り道で、瑠璃はふと思った。
ここナルディ市が世界各地にあるギルドの本部、当たり前だがそれなりの数の冒険者が所属し、活動していると。
ならば、その冒険者が使う武器と防具も売っているはずだが、2日各地域を歩いたが、武器屋、防具屋はまだ見ていない事に思い至った。
リンツ隊長と2班の了解が取れれば、明日は武器屋とか防具屋を回ってみようと思った。
来た通りから1本東の通りを帰り道にし、若葉の朝露亭を目指し歩きはじめる瑠璃は、今日はまだゴズを出していない事に気がついた。
この場でゴズを出し、認識阻害の神威を掛け実験もしてみたかったが、認識阻害の効果が十分発揮しないと面倒そうでやめた。
と、言うのが、神威で発動させる認識阻害は魔法で発動するものと大きく違う点は、人々の神への思いの強さが神威の場合は大きく影響し、この場合、一瞬でもゴズに好意を抱くと認識阻害の効果が薄くなるからだ。
対して、魔法も同様の効果を作り出せるが、魔法はゴズの存在そのものが、無いものと認識されるので、どちらかというと、透明化と同じで、持続時間に限りがあり、その不便さで瑠璃は使いたくない。
風に乗ってほのかに漂ってくる甘い花の香を瑠璃は気持ちよく感じ、この貴族街と共に、ナルディ市が本当に好きになった。
色々見て散歩感覚で歩き、若葉の朝露亭に戻ると少し早いが、夕食の時間が近かった。
今はまだレストランに夕食客は少なく、席もいつもの席が取れると思い夕食にする。
給仕係のピンデールに案内され、いつもの席に付きメニューの中から、ビーフシチューをメインに、付け合せはポテトサラダだ。
それと、お米と期待したあの豆のリゾット風のも注文した。
少食ではなかったが、頭から煙は出ることはなく、心配事が一つ解消されたように感じ、瑠璃は達成感を感じ食後のスイーツのことを考えていた。
部屋に戻ってもスイーツは選びきれず、迷った時は候補に上がっているスイーツを片っ端から食べる、これに限ると瑠璃はアイテムボックスから出した。
ガトーショコラにチーズケーキとアンミツを出し、ガトーショコラから食べ始め、最後のアンミツを食べ始めたところで、煙が盛大に出てきた。
その勢いは、今までで最高の出で、換気が間に合わないほどの勢いだった。
幸いなことに、瑠璃の部屋は角であるため、隣を心配する必要が要らない。
これでまた一つ、頭から出る煙と食べ物の量の関係が分かり、初日とは違いより多く食べられるようになり、それを瑠璃は嬉しく思う。
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