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神様になった  作者: 小原河童
領主代理編
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貴族街を散歩する

ゴズがいつの間にか立っている事に瑠璃は気が付いた。

「はい、楽しそうな話声が聞こえて、何時話しかけようかタイミングを掴みかねていました」と、ゴズが苦笑する。

と、言う事は、夕食の準備が整ったという事ですね。

ゴズに案内され、使用人専用の食堂へ入っていくと、皆が起立し瑠璃達を迎えてくれた。

まぁ、これ位は良いかと、瑠璃は思った。

「お待たせしました、では夕食を食べましょう。

これはまた豪華ですね、私はあなたたちが普段食べている物でいいのですよ」と、瑠璃は言うが、瑠璃の要望は聞いてもらえないようだ。

今夜のも美味しかったです。

ゼイロにビスケ、ありがとう。

今日は領主様が庭の素晴らしさに感心されていましたが、オースチンとジョンはよろしく頼みますね。

それから、メイドのリバとジーンはいつもありがとう。

私達が越してきたので、今は負担をかけますがメイドの補充を考えていますから、もうしばらくは辛抱してください」と、瑠璃が話す。

料理人と庭師は瑠璃の労いに感謝する。

「私達に負担などありません。

勿体ないお言葉に、私たちはそのお言葉で充分です」とリバは言う。

「私は無理はしてほしくないのですよ。

無理はここ一番という、どうしようもない状態ではじめて発揮されるもので、普段から無理をさせるつもりはありませんからね。

もっとも、私の邸にここ一番の非常事態は来ないと思いますけどね」と、瑠璃が話す。

「もう少し我慢してくださいね」と話し使用人皆のありがとうと言い、瑠璃達は自室へ向かう。

今夜も瑠璃の部屋でスイーツタイムを楽しむ中でルリが明日の予定を話す。

「明日は今のところする事がありません。

明日は自由にだらだらして一日を過ごしたいと思います。

今までが忙しすぎたという事ですから丁度良いですね」と、瑠璃が言う。

翌朝の朝食後に瑠璃は隠れ家の周りの散歩に出かけると言うと、ルイネとエレンがルリ様の使徒だからと付いてくる。

瑠璃の隠れ家が貴族街の最奥なので、庭から歩いて通りに出て、左に行くと領主の館に行くだけなので、右に曲がりなだらかな坂道を下るだけ。

いい感じに街路樹が植わっている緑豊かな貴族街は朝早い事もあり、本当に静かな貴族街が瑠璃は一番好きな時間だ。

適当に貴族街を散歩していると、瑠璃達に馴染みの一画に出た。

ここは、自由都市国家連合が所有した幽霊屋敷といった一画は、アースンがギルドに雑草の刈り取りの依頼を出した効果で、雑草がきれいに片付いていた。

その分、通りから廃墟が丸見えになって、一層不気味さを醸し出している、一番遠慮したい通りになっていた。

あそこがエレンを攫ったバルサス市の邸跡ですが、改めて見ると何か出て来そうですねと、瑠璃が言うのを聞きエレンが困ったような表情になった。

緩い傾斜を登ると、どの道も領主の館に通じるため、瑠璃達は下る方を選びどんどん歩いて行くと、バルモア子爵邸が見えてきた。

今は亡きバルモア子爵邸は、バルモアがやっていたメイドの虐待や売買とあくどい商売とは別で、邸の庭は植栽も含め近くの邸と見比べても、本当に見事なもので、余程腕の良い庭師を雇っているのは良く分る。

ルイネにここがバルモア子爵の邸だったと話すと、ルイネはあの禿頭の人がと、言い見事な庭を見て意外に思っているようだ。

エレンが二人の会話を聞き、ルイネがバルモア子爵の外見からメイドの虐待と売買の悪事について話した。

エレンはルイネの話を聞き、私も観た事のない禿頭の隠し方をみて見たかったと言うが、身長が凡そルリ様と同じなのに、突き出た腹が異様で気持ち悪かったと、言うルイネの話を聞き、さらにバルモア子爵に興味を持った。

その後瑠璃の足は自然にコットン邸に向かう途中で、後ろを歩くルイネがエレンに説明している。

私がここで初めてルリ様に出会い、強引にルリ様に縋ったのがあの辺りでしたと、ルイネが光り輝く笑顔で話している。

瑠璃は後ろを振りかえり、丁度あの角を右に回った辺りで私とゴズがバルモアの私兵に絡まれて、私が6人をやっつけてゴズを待ってもゴズが帰って来ないので、ゴズを迎えに歩いてここまで来た時、丁度此処でルイネさんに初めて会いましたね。

当時のゴズはアイテムボックスを持たない事を思い出し、死体の運搬に難儀しているのではないかと、いうのもありました。

ルイネさんがゴズの後ろをついて来ている事に驚きましたと、当時を瑠璃も思い出して話す。

そうなると自然に足が向くのは、当時のコットン邸になる。

ルイネに出会った場所からコットン邸迄は近くはなかった。

ゴズはよくもまぁ、3人ずつ両脇に抱え歩きとおしたものだと、瑠璃は感心する。

それも、ルイネの歩く遅いペース合わせるのだからと、考えてるとゴズの優しさに瑠璃は嬉しくなった。

今はまだルイネさんとの思い出でしかありませんが、その内エレンと3人の思い出が沢山出来ると思いますからね。

と、瑠璃が言うと、ルイネとエレンが瑠璃に抱き着いてきた。

そして、コットン邸の前に来てみると、今のデクシー邸は静まり返っていた。

周りの邸と比べると、庭の手入れも無いようで、放置された庭木は互いが勢力の拡大に競い合っているような状態だ。

既にジュークが邸から居なくなり、邸が領主の管理の下にある事は知っているので、もしかすると逃げたのかと瑠璃は思い神眼で屋敷内を見ると、10人足らずの私兵と執務室に座る老人がデクシーと瑠璃は思った。

瑠璃は神眼を使いデクシー邸の周囲を見ると、邸を監視している数人を見つけ、その中にコロンが居るのが分かった。

「邪魔になるようですから、ここから早く離れましょう」と瑠璃が言い、気が付かないといった風にコロン達監視役の傍を通り抜け、貴族街の通りを右に回り、さらに歩き続ける。

右に回らず真直ぐ歩き続けると、若葉の朝露亭の近くに出てしまうからだ。

次の十字路を右に曲がり、大まかな方向は領主の館の方、瑠璃達は隠れ家へ帰る道を選んだ。

瑠璃はこの道ははじめて通る道で、ルイネさんはここを通った事がありますかと、聞いてみた。

「はい、この通りを左に行くと次の十字路の直ぐ先に公園があり、ルリ様の彫像があります」と、ルイネは話してくれた。

「まぁ、何処の彫像も変わりはないでしょうから、このまま隠れ家の方へ歩きましょう」と、言い歩き出すのだ。

次の十字路を今度は左へ行く事にしたが、瑠璃は貴族街の大まかな範囲が知りたくて、奥を目指した。

真直ぐ突き当りまで歩く途中で、風に乗って甘い花のいい匂いがしてきた。

その匂いに誘われて行ったところは、ナルディア領の貴族が邸を所有する区画だった。

庭の見事な花壇に沢山の花が植わっている邸が、トルテ男爵が所有する邸だった。

トルテ男爵邸は植わっている樹木も立派だが、庭の半分以上を占める広く立派な花壇に、咲き乱れる花々にトルテ男爵の人柄を見た様に瑠璃は思った。

邸よりもトルテ男爵邸の庭の広さに興味を持つが、次の邸は、整備された林の中に邸があるような感じで、林の中から清々しいヒノキの様な匂いがする樹に瑠璃は興味を持った。

この邸はゴール男爵邸で、脳筋と感じるユルトが住む邸だった。

ゴール家5男のユルトに継承権は殆どないのだが、ユルトのイメージに合わないと瑠璃は思った。

「ルイネさんがこの前訓練した1班班長ユルトさんの邸ですよ」と、瑠璃が話すと、あの人から察するに意外ですと、ルイネが答えた。

またしばらく歩き、次に瑠璃が興味を持った邸は、カート男爵の物だった。

そして、斜向かいがジオグ男爵邸だった。

狭くても領地をナルディア領主から任されている両家の邸は、ナルディア領主の館で何らかの実務に携わる家の邸と比べると、非常に小さく領主の館に出向いた時の宿の様に瑠璃は感じる。

また自由都市国家連合の廃屋が近くなったころ、瑠璃が興味を持った邸がシルバ子爵の持ち物だった。

この邸の規模は、カート男爵やジオグ男爵の物と違い、一般的な貴族街の邸と同等な規模の立派な邸で、広い庭の植栽も申し分なく手入れされている。

普通に暮らす庶民が思う貴族の邸だ。

ただ、シルバ子爵も領地を任されている身、邸の維持に相当な金が掛かっていると瑠璃は思う。

瑠璃達が隠れ家に帰る道沿いにエンドルフ子爵邸は無かったので、他の通りにあると思った。

ジューク邸を領主が管理し、肝心なジュークの所在が不明なままの状態で、ジュークを唆した貴族がこの先どう動くか瑠璃は興味があり、早くかたを付けたいと思った。

瑠璃達は隠れ家に帰り今は自室でスイーツを楽しんだ。

ルイネは今日もモンブランが食べたいと言い、エレンは苺のショートケーキが気に入ったようで、同じくらいコーヒーも好きになったと、瑠璃は思う。

面白かったとか続きが気になると感じた方々は高評価、よろしくお願いします。

高評価をいただくと私はものすごく喜びますしやる気もがぜん出てきます。


引き続き宜しければブックマークもお願いします。

お願いばかりで本当に申し訳ないのですがお願いです。

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