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神様になった  作者: 小原河童
領主代理編
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使用人と昼食

セレスに聞くと、カッティンに聞くことは既に聞いているので、今は用が無いとの事で、瑠璃はカッティンを十二分に脅して王都に連れて行った。

なおも支部長室で「ルリ様、私の手あてが必要ならいつでも私に申し付けください」と、エレンが瑠璃に話す言葉を聞きカッティンは震えだすのだ。

カッティンもそれなりに修羅場を切り抜けている、経験豊かな強者だろうに、その強者を恐怖させるエレンの手あてに瑠璃は興味を持った。

「カッティンが怠けるようならその時はエレンに頼みましょう。

その時は、多少は酷いことをしても大丈夫ですからね。

本人を目の前にして言う事ではないが、カッティンの代わりくらい何処にでも居ますからね。

王都のギルド支部長というと断わる者はいないでしょうね」と、瑠璃は軽く神威を纏ってみせた。

そして、あなたは先ずは我々の要求に信頼をもって答えなさい、宜しいですね。

と、カッティンに言い転移して行った。

瑠璃が転移した先は、隠れ家の庭先だった。

庭木の不揃いに伸びた新枝を整えていた庭師の若い方ジョンが、瑠璃達にあいさつをした。

それから、主の帰宅を中のメイドへ知らせに行った。

「どうやら、ゴズはまだ帰っていないようですね」と、リバに問うと、ゴズ様は帰ってまた出掛けられたと話してくれた。

「私たちは自室に居ますから、昼食の準備が出来たら呼んでくださいね」と瑠璃は言い、ルイネとエレンを連れて自室へ向かった。

瑠璃はネットワークを介してアースンに連絡を取るためだ。

アースンに午後の予定を聞き、昼一でアースンが持つジューク邸の死体の処理をしたかったからだ。

アースンは了解してくれたから瑠璃は安心した。

倉庫が時間停止と言っても、人の死体を持ったままというのは、道徳的にも良くないと思ったが、この世界に来てから、簡単に人を殺せるようになった自分の道徳観も如何なものかと瑠璃は思う。

ルイネとエレンには若葉の朝露亭から持ち帰った私物の整理をさせているが、その後は昼食までだらだらして過ごそうと瑠璃は考えていた。

しかし、瑠璃の思う様にならず、ゴズがルイネとエレンを連れて昼食の準備が出来たと伝えに来た。

昼食は料理人が頑張ってくれたとゴズが話し、瑠璃様も満足していただけると、自信をもって言う。

「それはとても嬉しいのですが、私は普段の物で充分ですから。

あまり料理人に負担が掛からないよう、今までの物で良いと伝えてください」と、瑠璃が言う。

昼食も使用人専用の食堂で瑠璃達は食べるが、食堂のテーブルが今の使用人の人数からすると、広すぎるというか使用人が少ないのか、少し寂しいと感じる。

昼食はサンドイッチとコンソメベースの冷製スープに小さめのステーキが付き、麺の無い野菜サラダという、極々ありふれた物だった。

最近よく通った森のオアシス亭の昼食メニュー、サンドイッチスペシャルとほぼ同じ内容だった。

サンドイッチとスープはこの前ナッシュ山で行った昼食会で、瑠璃が美味しかったと話した影響もあるのかと、瑠璃は思った。

サラダに掛かるタレは、瑠璃が良く知る酸味が効いたオリーブオイルに似た物が使われている、瑠璃が良く知るフレンチドレッシング風だ。

今までこの世界で普通に出る甘辛い、瑠璃が良く知る元の世界の焼き肉のたれの様なものとは違う、瑠璃には馴染みの物だった。

それが、瑠璃は嬉しく感じる。

「ゼイロさん、サラダに掛かっているドレッシングは良いですね。

少し前に同様のドレッシングを使ったサラダをジ・マット公爵邸で食べて以来です。

ルイネもあのドレッシングが好きだと話してくれましたが、エレンは如何でしょう」

「はいルリ様、私の母の場合はスパイスと塩だけで物足りないと感じていましたから、この酸味の利いたタレは初めての味ですが、これが好きになりました」と、微笑むエレンの綺麗な顔に使用人は、主と共にとる食事に、ぎこちなさが幾分とれたように瑠璃は感じた。

「ルリ様、ありがとうございます。

ジ・マット公爵邸の料理人達は皆私の弟子のような存在で、このアイディアは私が考えたものなのです。

当時の師匠からは邪道と言われましたが、私はこれが気に入っていまして、隠れ家の使用人の間で好評ななのです」と、ゼイロが話してくれた。

「こっちのコンソメベースの冷製スープはビスケの考えなのです」と、ゼイロが言う。

「これも、私は好きですよ。

冷製スープというと、何処のもただ熱い物を冷ましただけ、という感じなのが透けて見えますが、これは別物ですね。

油の膜が綺麗に処理されても、スープのコクはそのままで美味しいですね。

私は若葉の朝露亭のも好きですが、これが美味しい」と、瑠璃が話す。

「若葉の朝露亭の奴らの考えは保守的で、新しい事に挑戦する気概がないので、私はあそこを辞めたのです。

その後色々あって、魔王様に拾われたのです。

今は神様のために食事が作れる、今はあそこを辞めて本当に良かったと思っています」と、ゼイロが話してくれた。

「あぁ、それでですね。

どこか、若葉の朝露亭と似た感じがすると感じたのは」と、瑠璃が言うと、やはり分る人には分かるのかと、納得したゼイロは何処か嬉しそうだ。

最後に瑠璃は美味しかったと使用人の前で言う。

食後瑠璃は談話室に移動してゴズからファンス邸の給金について聞いてみた。

「瑠璃様、ファンス邸の使用人の給金ですが、これまでファンスは色々難癖をつけて、碌に給金を払っていなかったようで、今回の給金に感謝されました。

何でも、今まで手にしていた給金の倍以上だと」

ディガール魔王国から連れて来た使用人についても、これまで務めた中で、一番多くの給金を貰ったと喜んでくれました。

制服は季節を考慮し隠れ家の使用人同様に、薄手の生地の物を支給しておきました。

それで執事の給金ですが、1000イェンにしましたと、ゴズが話してくれた。

「ルイネとゴズに聞きますが、この隠れ家にもう一人メイドが必要でしょうか。

今までは、私たちが居なかったので2人で良かったのかもしれませんが、如何でしょう」

「はいルリ様、私も1人の補充が良いと思います。

簡単に探すのは難しいと思いますが、ファンス邸のメイドは皆熟練度が高すぎて、隠れ家では浮いた存在になると私は思います」と、ルイネが分析を披露してくれた。

「もう一人加わると、メイド2人の負担の軽減になると思います。

ルイネが先ほども言った様に、今の居るメイドのレベルを考えると、初心者もしくは素人が良い様に感じます」と、ゴズも言う。

と、いう事は、現状人手がもう1人は居た方が良いという事ですね。

分りました、何処かで見つけましょう」と、瑠璃がこの話をしめた。

「あのルリ様、メイドですが、私が思うに3人というのは何かと諍いの元になりますから、私はもう一人増やし4人体制が良いように感じます」と、エレンが言った。

エレン、ありがとう。

「そうか、3人よりも4人か」と、瑠璃は呟いていた。

面白かったとか続きが気になると感じた方々は高評価、よろしくお願いします。

高評価をいただくと私はものすごく喜びますしやる気もがぜん出てきます。


引き続き宜しければブックマークもお願いします。

お願いばかりで本当に申し訳ないのですがお願いです。

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