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アンゴルモアの皇女と創る平和  作者: 須田原道則


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019

 苦しい。


 その感覚が僕を襲った。


 目は瞑っているのに、ただ苦しいとだけわかる。喉が圧迫されて呼吸ができない。だけど周りにはさっきまで寝ていたベッドも何もない空間で、真っ暗だ。


 それでも苦しい、もがこうにも体が動かない。


 そうか、これは夢なんだ。落ち着こう。


 そんな投げやりな考え方をしたところで、結局苦しさは変わらない。


 僕の身に何が起こっているんだ。どうしてずっとこんなにも苦しいんだ。息が吸いにくいし吐きにくい。むしろ息ができない、これじゃあ窒息死で過ぐに死んでしまう。


 夢なら覚めろ!


 そんなことを思っても、一向に自分がこの夢から目を開けてくれることは無い。しかし思ったことで変わったことはあった。


 僕の両腕に闇が纏わりついてきた。そして何も見えない底へ底へと引きずり込まれてゆく。


 この底へ引きずり込まれる感覚は僕に危機感を与えてくれた。絶対に引きずり込まれては駄目だ。


 腕に力を入れても動かない。抵抗すればするほどに関節を固定されてゆく、僕がもがく力より闇の力が僕を押さえつける力の方が遥かに強い。


 僕がもがく意志を嗅ぎつけたのか、どこからか他の闇が現れて両足も掴まれ、固定されてしまった。


 そのまま、もっともっと奥深くへ引きずり込まれて行く。その間も喉の苦しさは続き、ついに両手両足を動かす力も無くなってしまった。


 でも首だけは動かせて、後ろだけは振り向けて。


 引きずり込まれる先は底のない闇だと思っていた。


 けれどそれは違った。底はあった。


 底には大きな穴があった。その穴からはとても禍々しい程の雰囲気が漂ってきていて、一度入ってしまえば、もう今後一切日の目を拝めなさそうな深淵のような穴である。その穴からは声が聞こえてきていた。一人の幼い少女の声だ。


 この声はアンリの声だった。


 こちらへ来い、私はここにいる、私はお前を待っている。などと僕をその穴へ引き込みたいようだった。誰がそんな心霊現象もどきに騙されると思う。お前はアンリじゃないことは重々承知だ。僕を馬鹿にするなよ馬鹿。


 そう悪態を心の中でついた途端だ。闇の掴む力が僕の四肢を握りつぶす力へと変わった。


 痛みや苦しみはある。だけど夢だと理解している故に精神は強く太く曲がる事が無かった。こんなことでは屈しない。こんな闇などには負けはしない。未だに首の圧迫感はあるけど。それでも負けない。負けていられない。


 穴の中のアンリの声が優しい声から、聞いたこともないような声へと変わる。その声はどこか引き寄せられる声で、聞き耳を立ててゆっくりと聞きたくなる声であった。


 その声は言った「僕は美しい君がほしい」と。


 僕は拒否した「嫌だ」と。


 声は残念そうな声で言った「君はおしいことをした」と。


 その声が聞こえた瞬間に僕の体から闇が離れて行き、体が不思議な力によって上へ上へと引き上げられて行く。だんだんと上に上がって来たと思った時に眩しい光が僕を包んだ。


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