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執事も主も塔の意のままに

「トオル、トゥワ様と一緒にってどういう意味かな?」


 私よりもいち早く動き出したフリートさんに抱えられながら、フォワード国王陛下とトオルに詰め寄ると、二人ともきょとんとした顔でこちらを向く。


 そうやって並んで同じような表情をしていると、本当に兄弟みたいで大変微笑ましいけれども、今はそれどころではない。

 この薄色に染まった地下室内を見るに、なんだか嫌な予感しかしないのだけれど、私の被害妄想とか勘違いという可能性もある。その可能性であって欲しいと切に願うところだが。


「えっと、トゥワ様と一緒に、二人で守人として頑張ります、っていう意味です」


 二人で守人として?

 トオルは一体何を言っているのかな?


 私の願い虚しく嫌な予感を肯定するようなトオルの言葉が耳に刺さるが、守人が二人だなんてそんなことは前代未聞だし、それにそもそも当代の守人を擁す西の塔が黙っているわけがない。

 自信満々答えたトオルには申し訳ないが、思い違いをしているのなら、きちんと正さねばなるまい。


「トオル、あのね。塔の守人というのは、一代につき一人と決まっていてね。だから、私とトオルが一緒に守人、というのは不可能なんだよ」

「でも、塔が、トゥワ様と二人で頑張ってね、って」

「塔が、って西の塔が?」

「はい、そうです!」


 元気よく頷くトオルに、頭を抱えたくなる。


 やられた。

 塔内に入った時から、なんだかやたらと好意的だなとは思っていたけれど、全ては計算通りだったのか。

 初めから西の塔の術中に嵌っていたのかと思い至ったところで、私が外へ出ることを許した我が南の塔も共犯者だったのではないかと気づく。


 一体いつからこうなることを画策していた?

 まさかトオルを喚ぶと決めた時から?


「この部屋から出られないのに、守人できるかなって心配だったけど、トゥワ様が一緒なら安心です。それにこの子たちもトゥワ様と一緒で嬉しそう」


 私の瞳の色で瞬く粒子をこの子たちと呼び微笑みかけるトオルは、私とフリートさんをここに招き入れた時の怯えた顔をした少年とは、まるで別人のようだ。

 にっこり笑顔のトオルと、そんなトオルを後ろから見守るフォワード国王陛下を見ていると、塔たちへのあれやこれやを考えているのも馬鹿らしくなって、もうなんだかこれでいいかという気になってくる。


 塔たちが私を守人と認めるのなら、トオルが独り立ちできるまでは私の力も保つのだろう。


 私を抱える腕にきゅっと力を込めるフリートさんの気が、どんどん落ち込んでいくのを感じるけれど。

 ごめんなさい、塔の守人を辞めることはまだできなさそうです。


「それじゃ、フリートさん。名乗りの儀も終わったことですし、私たちは夕餉を食べに南の塔(うち)に帰りますか」

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