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執事と守人たちのお茶会④

「トオルがこの部屋にフォワード国王陛下を招くことを許してくれるのなら、私を仲介して名乗りの儀を執り行うことは、恐らく可能です」


 私の言葉に、トオルの驚き顔が晴れやかに綻ぶ。

 一方、背後でフリートさんの体が強張るのを感じたけれど、心配はご無用だ。

 仲介すると言っても、私が何かをするわけではない。


 久しぶりに外に出てみて分かったことなのだが、この地にはまだ、私がフリートさんと交わした名乗りの儀の効力が脈々と息づいている。

 トオルが新たな守人として名乗れていないのだから当然といえば当然のことなのだが、守人としての私を求める気配が其処ら中に漂い、私もこの地との絆を強く感じてしまう。


 神術の使用に不安のある守人など頼りにならないだろうに、私との繋がりをまだこれほど求めるのであれば、その私を媒介にトオルとフォワード国王陛下の名乗りを、この地に契りとして結ばせることは可能なはずだ。


 天の騒めきやら地の揺らぎが起きる度に、散々私の安眠を妨害して来たのだ。

 あちらからは干渉できてこちらからはできない道理など、あってたまるものか。


 往時のあれやこれやを思い出してふつふつとしたものを湧き上がらせていたら、晴れやかだった表情を少し曇らせたトオルに、トゥワさん、と小さく呼ばれた。


「ん?トオル、何か心配なことでも?」

「あの、国王様を呼びつけたりしたら、不敬?になりませんか?」


 ああ、それは。

 たぶん大丈夫だろうとフリートさんを振り返れば、しっかりと強く頷かれる。


「そのようなこと、ご心配には及びません。国王など比べるべくもなく、塔の守人様こそが至高の存在。守人様のご用命とあらば、誰あろうと何処へでも何を置いても、馳せ参じます」

「いやいや、さすがにそれはちょっと言い過ぎですよ?フリートさん」


 至高の存在とか、何を言っているのですか。

 フリートさんの主観が過分に盛り込まれたことを、堂々とさも一般論のように言って、トオルが信じて恐れをなしてしまったらどうするのですか。

 私とて、そんな大層な存在だとトオルに思われるのは、大変心外ですよ?


「現在、塔の守人であらせられるトゥワ様の御身はこの地において最も尊く、何よりも大切な御方で、おいそれと危険に晒して良いものではないのですよ。この国の宝と言っても過言ではないのですから」


 だから、フリートさんは変な圧をトオルにかけるんじゃありませんよ。それに、国の宝だなんて過言にも程があるでしょうが。


「トゥワさ、様が、危なくなくて、大変じゃなければ、国王様にここに来てもらって、名乗りの儀、やります」


 ほらもう、トオルがすっかり萎縮してしまったではないですか。

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