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新しい視点

作者: 葉沢敬一

毎週日曜日午後11時にショートショート1、2編投稿中。

Kindle Unlimitedでショートショート集を出版中(葉沢敬一で検索)

「軽度の緑内障です」


 眼科医からそう言われた。長年コンタクトレンズをしていて、あるとき処方している眼科でちょっと視野検査をしましょうといわれた。


 白い半球の内部を見つめ、どこか光ったら手元のボタンを押す。それをしばらくやって、結果、見えてない黒い部分があることが判明した。


「ここは盲点なので見えなくて正常なんですが、左目のこの部分と右目のこの部分が見えなくなってます」


 暗い診察室内で、コンタクトレンズの販売をしているのにメガネの医者はそう言った。ディスプレイに画像が映っている。


「視野が欠けてしまっているのはどうしようもありませんが、現状を維持することはできます」

 自分で気づかなかった。


「点眼薬をお出ししますので、毎朝点眼してください」


 ちょっとショックだけど、まだ早めに気づいた方らしい。下手に目が良いと検査の機会がなくて、失明する例もあるようだ。


 処方された薬を点眼していると、ある日変な物が見えるようになった。


 人の背後に光が見える。全体ではないが一部に。いわゆるオーラみたいなものが。

 テレビを見ていても見える。人によって違う。


 何が基準だか分からないが、犯罪者、不正を疑われている人の大半がドス黒い赤色だった。他国の指導者がこの色だったので、もしやと思っていたら侵略戦争を始めて納得してしまった。正直、僕はこの指導者を買ってた。リーダーとして筋が通っていて有能だと思っていた。


 まあ、それは遠い他国のことだと思っていたら、高校の友人に久しぶりに出会い考えを改めることになった。彼は人気があって、後ろ向きになりがちな僕を引っ張ってくれた人だ。感謝している。


 なのに、久しぶりに会ったらドス黒い赤色に取り憑かれていた。


 落ち着きが無く目つきも怪しかった。連絡先を交換したら、すぐに借金を申し込んできた。

 僕は会って話を聞くことにした。ふと、鏡を見たら僕も赤くなりかけていた。


 どうすれば良い。


 魔は払うしかない。

 カフェじゃなくて近所にあった霊験あらたかな神社で話を聞くことにした。

 神主さんは僕たちをみるとギョッとして、すぐに神前に座るように言った。何も説明しなかったが、神主さんも一目で分かったようだ。


 神主さんは、祝詞を唱えて一生懸命払っていた。汗が飛び散るくらいに。

 終わった後、友人をみると青色だった。神主さんも微笑んでいた。


 多めにお礼を包んで渡した後、彼に何の話だったか聞いたら、

「いや、もうどうでもいいや。君を巻き込むようなことはしない。きれいさっぱり決着付けるさ」と、言って去った。


 目が見えなくなりつつある一方、見えない物が見えるようになった。


 でも、意外に赤黒い色を纏ってる人って多いと思った。変なこと言ってる人が皆そうでもないのは予想外。こういう人は騙されたり、嫌々やってる人ではないかと思う。取り憑かれているわけではない人々も居て、自分の不見識を痛感した。

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