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第31話 スキャンダル?!①

 あれから植木鉢の一件は警察に被害届を出した。現場検証やら状況説明やらで予想以上に手間取り、予定が狂ってしまったが仕方ない。私の傍を離れない! と食い下がる蓮を宥めて、先に自宅に戻って貰い、敷地内に異物を投げ込まれた件について警備会社のスタッフとの対応をお願いした。

 私は取り敢えずショップに新作を飾り、その様子を写真におさめてその場でブログを上げてから自宅へと戻った。蓮によると、タクシーは極楽寺組関係の者が装っている可能性が高く危険だという事で、電車で帰宅した。くれぐれも気をつけて欲しいと懇願する蓮を見て、「しっかりしなければ!」と決意を新たにした。戦うと決めた私自身が、何か起こる度に一々怖がってグラついていたら、蓮を始め、全面協力支援を申し出て「雑誌、新聞、テレビ等マスコミ関係は俺に任せてくれ」と言ってくれた史桜にも申し訳が立たない。あまり大事になれば、塔本家にもエスポワール家にも飛び火しかねないのだ、慎重かつ迅速に対応していかないと。


 敷地内に投げ込まれたものは、正門側には子猫の死骸、裏問側には鳩の死骸だったという。それぞれに門の前から敷地内に放り投げたらしい。黒いパーカーの帽子を目深に被り、黒のサングラス、黒のマスク、黒のジャージに黒いスニーカーという、レトロスタイルな大柄な奴が防犯ビデオにバッチリと映っていた。性別は判別出来ないが、恐らくは極楽寺組系列だろうという事だった。警備会社のスタッフも立ち会い、その件も警察に被害届を出した。目的の為に、いとも簡単に小さな命を奪い去る感覚が理解不能で許し難い。


 今、私は瑠伽にパソコンでメールを打っている。バタバタしていてひと段落がついたのは日付が変わって0時を過ぎてしまったが、イギリスはまだ15時を過ぎた頃だろう。彼が自分専用のパソコンを開いてメールを読めるのは、いつ頃になるかは分からないが。

 ショップの駐車場で植木鉢が落ちて来た事。隣の十二階建てのマンションから故意に落とされたもので、警察の現場検証によると九階から落とされたらしく、鉢の持ち主はその時は不在だったとの事。蓮がついていなければ、大怪我か最悪死んでいたかもしれない事。ほぼ時を同じくして警備会社から、自宅の敷地内に二つの異物が投げ込まれたと連絡があった事。一つは、正門から投げ込まれた子猫の、二つ目は裏門からは鳩の死骸。こちらも警察に被害届を出した事。


 今回の事は、家主の瑠伽が不在の際に起きた事だから報告はするつもるだった。蓮は、起きた出来事をありのまま感情を交えずに淡々と綴る事、おおよその時間も記しておく事、とアドバイスがあった。パワハラやモラハラを記録する時に確かこのように書き綴ると良い、と聞いた事がある。蓮に何か考えがあるのだろう。


 子猫と鳩の死骸は、蓮の配慮によって私の目には触れる事なく処理された。私が見たのは、何事もなかったように整備された現場と、綺麗な白い布に包まれた二つの塊だった。


 ……ごめんね……


としか言えなかった。ペット葬儀に出し、ペット霊園で手厚く葬って頂こうと思う。石を投げるようなつもりで、小さな命を扱うなど……その筋の昔からの手口らしいが本当に胸糞が悪くなる。まだ極楽寺組のしでかした事だと決まった訳ではないけれど、もしそうなら、小夜子さんはこの一連の事は知らないのだろうか。後で事実を知って泣く。このパターンは、ファンタジーなら「何て純粋なんだろう、知らなかったならショックだったね」なんて余計に愛が深まったりする……突っ込み所は満載だが……展開だけれど。もし仮に組のものが勝手にしでかした事なのだとしても、知らぬ存ぜぬ、無関係……と言い訳に出来るのは、せいぜい未成年までではなかろうか。少なくとも、自分に関わる事に関しては、組の動きについて知ろうとする事、立ち場的には管理すべき事でもあると思うのだが……。それでもやっぱり、瑠伽の目にも「恋愛のフィルター」がかかって見えてしまうのだろうか。


 ドアノックの音で思考の波間から現実へと戻る。


「奥様、深夜に申し訳ございません、入って宜しいでしょうか?」


 蓮、こんな時間に珍しい。何かあったのだろうな。


「うん、大丈夫だよ。入って」

「失礼致します」


 彼にしては珍しく急き込んでいる様子だ。嫌な予感がした。蓮はパソコン前の椅子に座っている私に近づくと跪き、右手に持っていた携帯を差し出した。受け取った私に、彼はこう切り出した。


 「史桜からの緊急連絡です。こちらをご覧下さい」


 携帯の画面を見て愕然とした。


『スクープ! 塔本家の次女、新婚早々不倫か!? お相手は、幼い頃からの世話係』


 という週刊誌の見出しの元、蓮に抱き締められた私の写真が写し出されていたのだ。


 ……一体、どうしてこんな……


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