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異世界武器召喚 〜伝説の武器を召喚したかった勇者〜  作者: ショコラ・ショコラレート
5/21

情報を頼りにライトを探しに行ってからおよそ1時間。土地に関するデータのない私は、よく分からない湖に辿り着きました。

周囲を確認しています。

湖を回って50mほどの場所に人影を発見。直ちに向かいます。

走っていった先にいたのは、ライトではなく、フードを被って釣りをしている男性でした。

「少々よろしいでしょうか?」

「私は釣りをしているんだ。要件を早急に言え。」

声を掛けると、男性は姿勢を変えずに返事を返してきました。

「杖を持っていて、赤い髪をした私と同じぐらいのサイズの女の子を見ませんでしたか?」

すると、急にこちらを振り返ってきた。

「そんな事のために私に声をかけたのか!!………待て、君はもしかして……」

声を荒げたかと思うと、次の台詞では優しげな声に変わっていった。



「君は今、時間はあるのか?」

「いえ、今は早急に彼女を探さないといけませんので。」

「そうか。その子を私が見つけてあげよう。その代わり、後日で良いから私と話してくれないか?」

「はい、わかりました。」

私が答えると男性はフードのなかから小さな液晶を取り出しました。

「その子は、まだ周辺にいるのか?」

「おそらく、徒歩で1時間程の時間で行動できる範囲にいると推測されます。」

「了解した。その情報だけで充分だ。1分程度時間をくれ。」

男性は取り出した、液晶に指を触れると液晶にはこの場所を中心にして、およそ100m程の高さから映像がその液晶に映り出した。

次に、その映像に映っている地形が透けていき、サーモグラフィーのように、真っ赤な点がまばらに液晶に映り込んだ。

「調べる間の時間に話でもしよう……喧嘩でもしたのだろうか?」

「はい、現状を整理すると喧嘩という言葉が最適であると判断しました。」

「そうか。君は感情や言葉の表現に乏しいようだ。10秒ほど失礼する。」

そう言うと、彼は私の頭上に指先で星のような文字を描いた。

すると、私のデータに謎のテキストが浮かんできた。

「謝る時にはこのテキストから言葉を選ぶと良い。安心した前、他には特に何もしていないよ。」

「異常を検索中。異常無。確かに異常は確認出来ませんでした。貴重なデータをありがとうございます。




「そろそろ1分経ったようだ。ふむ……女の子で周辺にいるのなら……この子か?」

男性は赤い点を一つタップすると、そこにはライトが切り株に座っている映像が映り出した。

「はい、彼女が探し人です。」

「この子なら、君が来た道を150mほど戻って、左に曲がった草原を真っ直ぐ行けば辿り着ける。」

「ありがとうございます。それでは、私は彼女を探しに行かなければいけませんので。」

私は感謝を告げて、来た道を引き返していきました。

「やっぱりきみは……」

男のその発言だけが湖に響きました。




道を引き返して草原を抜けると、そこには森がありました。その森の前にある切り株に今もライトは座っていました。

「ライト、無事ですか?」

「シェラさん凄いね。よく此処がわかったね。」 

「親切な方に居場所を教えてもらいましたので。」

「ふふっ。そうなんだね。」

ライトは私に気づいて笑いかけてくれましたが、彼女の目元には涙の跡が残っていました。

「小さい頃からね。私って凄く弱いから、いつもお兄ちゃんが助けてくれてたの。お兄ちゃんは凄く強くてね。ちょっと親バカじみた言動を感じることもあるけど、私もお兄ちゃんのことは好きなんだ。」

確かに、彼女に対するレフトの反応は過剰と取れる場面が非常に多かったです。



「最初にお兄ちゃんが旅に出た日の夜、心細くて両親の部屋に向かったのだけど、そこからこんな会話が聞こえてきたの。


[貴方、何であの子を旅になんて出したの?]

[今、人類は魔王軍に脅かされているだろ。そこで王族の次男であるレフトを旅に出せば、国の支持率も鰻登りするだろう。」

[でも、あの子が死んじゃったらどうするの?]

[死んだのなら勇猛に魔王軍に立ち向かっていった英雄の死だ。国民達も悲しみこそすれど、彼を英雄として讃えるだろう。それに、もしレフトが死んだとしても、次の王になる長男だっている。レフトの死なんて些細な問題さ。]


そんな話を聞いた私は急いでお兄ちゃんを追いかけたの。今度は私がお兄ちゃんを守るんだ!!ってね。」



「でね。私はお兄ちゃんが森に入っていったって聞いたから走って森の中に入っていったの。察せるかと思うけど、走ったらバイシン達がたくさん出てきて、私は怖くて倒れ込んじゃったの。そこで[お兄ちゃん、助けて!!]って叫んじゃったんだ。

おかしいよね。私が助けようと思ったのに、逆に助けを求めちゃうなんて。」



どうやら、ライトについても、認識を改める必要がありそうです。


「そしたらね。直ぐにお兄ちゃんがきてくれて、泥だらけになりながらも、近くのバイシンを叩いたり踏みつけたり、時にはわざと噛まれて体を犠牲にしてまでも私を助けてくれたんだよ。結局私は何も出来なくて、足手纏いになっちゃったんだ……今回もついてくるなって言われてね。私がいると面倒なことになるなら、もうお城に帰った方が良いのかなって……」



「確かに、ライトは戦闘も比較的に出来ないように感じますし、死体一つで気分を悪くしてしまうのは、旅にとって致命的です。」

「やっぱり、シェラさんもそう思ってるんだね……じゃあ、私は帰ろっかな……」

「ですが、貴方はレフトの為に一人で彼を助けようと勇敢に行動しました。その結果今でも彼の支えになっています。

それに、何も分からない私に色々な事を教え、仲間だと言ってくれました。そんな貴方と私は旅を続けたいと判断しました。」




ライトの目からは少しずつ涙が溢れ出しています。

すると、後ろの木陰からレフトが姿を現しました。

「すまねぇ。ライトがそんな事を思ってるなんて考えてもなかった。俺もシェラと同じ意見だ。俺と旅を続けてくれないか?」

「はい、喜んで。」

ライトはにっこり微笑んでくれました。しかし、大量の涙は中々止まってはくれなさそうでした。




「シェラ、中々良いこと言うじゃねぇか。ちったぁ見直したぜ。まさかお前があんなこと言うとは俺は思わなかったぜ。」

「推測、情が移るという言葉はこのような時に使われる言葉なのでしょう。データに記録します。」

「またそんな事言ってんのか。お前のその言葉の固さも表情が全く変わんねぇとこも不気味だが、お前の気持ちだけは凄く好きだぜ。」

「お兄ちゃん、シェラさんのことが好きだったんだ……でも、シェラさんが相手なら私に文句はありません。」

「そう言うフレーズに聞こえたのかお前にはよぉ!!」

「ふふっ。冗談ですよ」

帰宅中にも軽口が飛び交い、村に帰って昼食を食べ終わる頃には、時刻はすでに15時を過ぎてしまっていた。




所で、あの男性は何者だったのでしょうか。

何故か分かりませんが、あの男性に親近感を持って身を任せてしまいました。

不可解な現象でしたが、目的、仲直りを達成することはできました。感謝の念を送っておきましょう。



「もうこんな時間だね。」

「夕食を取って森に向かうのに合わせて2時間ほどかかる。後練習できんのは3時間ほどしかねぇぞ。」

「失礼かと思うのですが、その森は何処にあるのですか?」

「えっとね。裏口森っていうのは私たちが最初に通った森のことだよ。」


「把握しました。情報をアップデートします。」

昨日と本日、移動した場所のデータを元に、を新たにこの世界の地形を作成します。作成、完了しました。




「まずは、作戦を練っていくぞ。

まずは、おさらいだ。相手はロードレス。俺たちがこの前に戦った幹部の一人だ。

種族はアンデッド。簡単に言えば死体だ。死体故に物理的なダメージは効かないが、胴体を切り落とす事で動かなくさせることができる。」

「質問、よろしいですか?」

「あぁ、シェラ、何だ?」

「物理攻撃が効かないのであればどのようにして倒すのですか?」



「この国に伝わる話によればアンデッドは光に弱いらしい。」

「お兄ちゃん、でもそれって作り話じゃないの?」

「まぁ、仮にの話だ。それに、決闘の場所に森を選んでこの時間にしたのも、日が沈みだしてから日が昇るまでの時間が最も長い上に、木々で日光を遮れるからって考えたらかなり自然じゃないのか?」

「お兄ちゃん凄い!!説得力あるね。」



「だから、とりあえずの作戦としては奴の四肢を切断して、動けなくさせたまま、朝日を待つ。この作戦でどうだ?」

「はい、わかりました。任務を遂行します。」

「うん。分かったよ。」

先程の作戦は光が弱点だと加味すれば、合理的と言える作戦です。

しかし、少々引っかかる点もあります。



「それじゃあ、作戦も終わりだ。ライトは俺と特訓。シェラはどうするんだ?」

「少々推測したいことがあるので、一旦席を外してもよろしいでしょうか?18時までには村長の部屋には戻ります。」

「おぅ!!わかった。だけど、ちっと頼みたいことがある。すぐ終わるから頼まれてくれねぇか?」

「どんなお願いでしょうか?」

レフトが私にお願いをしていると判断。要件を問います。

「どんぐらい重いもんが持てるか試してくれねぇか?もしかしたら、良い作戦が立てれるかもしれねぇ。」

レフトのお願いは凄くシンプルでした。地震の機能についての、情報を検索中。

「はい。私の出力では2tほどの重さまで待つことが可能です。」

「お前、やっぱりおかしな奴だよな。ありがとな。もう行って良いぞ。」

「シェラさん、気をつけてね。」

「はい。ではまた後で」

2人にそう伝え、私は村を出て行った。








〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「えいっ!!」

力一杯持っているものを振り回す。

「何て伝えたら良いんだろなぁ……ライトって杖を振り回す時に目をつぶってないか?」

「えっ!?あっそうかも……」

確かに振り回す直前まではまだ追っていたのに、気づいたら杖は振り回した後の位置にあった。

「それに、杖を大振りしすぎだ。これじゃ体力も余計に使うし、先も大きくなる。もう少し脇を閉めて肩の力を抜いて楽に杖を振れないか?」

「はい!!努力します。」

お兄ちゃんは私のことをよく見てくれているし、お兄ちゃんは時間を割いてまで私の指導をしてくれている。

そんなお兄ちゃんのためにも頑張らないと!!



「えいっ!!」

「前からずっと思ってたけど、ライトって自分が思ってるように体を動かさないタイプだろ。」

「うっ………」

確かに、私は舞踏会に出るためにダンスを練習した時にいくら練習をしても同じ所でミスをしたり、スポーツでも小難しい動きが混ざってくると思い通りにことが進まないことが多々あった。



「お兄ちゃん、ごめんなさい。」

「別に良い。誰だって苦手なことはあるからな。」

私が頭を下げた時、お兄ちゃんは優しく私の頭を撫でてくれた。

「まずは、とりあえず、一つずつフォームを直していこうな。」

「はい!!」

とりあえず、杖を振る時に、目を開いてみる。

「えいっ!!」

スカっという効果音が鳴りそうなぐらい速度が遅くなってしまった。

うぅ…本当に運動とかって私苦手なんだなぁ……



「落ち込むな。もしかしたら、杖を使うことが苦手なのかもしれないし。そうだ!!盾でも持ってみるか?」

お兄ちゃんは私に普段お兄ちゃんが使っている盾を差し出してくれた。

それを持ち上げようとする

「うぅ……重いよぉ……」

「すまんすまん。流石にライトには50kgは重過ぎて持てなかったよな。」

自分の未熟さに少しずつ嫌気がさしてきた。

でも、私頑張る!!さっきお兄ちゃんとシェラさんに励ましてもらったもん。

せめて、足手纏いから卒業しなきゃ話にならないもん。



「盾も無理となると、正直他に武器になりそうなものなんてお兄ちゃん持ってないんだよな、、」

「そっか……うん。私、もう少し杖で頑張るよ。」

「うぅ……健気だな。」

「お兄ちゃん。流石にその反応は親でもないし、気持ち悪いと思うよ。」

「えぇ!!マジで!?」

そんな言葉を交わしながら特訓は少しずつ進んでいった。







〜〜〜〜〜〜〜〜 〜〜〜〜〜〜〜〜〜





「一旦休憩にするぞ。」

「疲れた〜。でも、私頑張るね、お兄ちゃん!!」

「あぁ。」

しばらくの特訓で少なからずライトは強くなっている。

俺は、色々な意を込めて死んでしまった見張りの家に向かった。




玄関をノックしても返事がなかったので、そっと開けてみることにした。

中を見ると、彼の母親であろう老婆と、何回か話したことのある彼の兄がすすり泣いていた。

こんな事、邪魔だとか。一生顔を見せるな。とかを言われるかもしれないが、俺は誠意を見せなければいけない。

俺は、家にお邪魔し、2人の目の前で膝を地につけ、手と頭を地面に押し付け、精一杯の謝罪の意を示した。

「本当に申し訳ございませんでした!!」



2人は俺の存在に先程まで気づいていなかったのだろう。

俺を一度見てから、しばらく沈黙が続く続き、体感では5分ほどの時間が経過したのだと思った。


「そんな体勢をやめて、頭をあげてください。」

老婆が優しく声をかけてきた。

と……この謝罪はシェラのいた所でしか使われていないのだった。

慌てて顔を上げると、声をかけてきた老婆と兄の目からは先程よりも大量の水滴が垂れてきていた。



「いえ、恨むべきは魔王軍ですので、どうかレフト様は、オキロメタの恨みを晴らしてください。」

そういえば、彼の名前は何回か会ったことはあったが一度も聞いたことがなかった。

一度くらいどんな奴か話しかけたかったな。


「はい。俺は全力で魔王軍と戦います。」

今の俺にはそれしか言うことが浮かばなかった。

実際にできるかはわからないのに、民を安心させるためにと教わった嘘をこんな大事な時についてしまった。



「レフト様、此方にも謝らなければいけないことがある。すみませんでした。

お仲間に感情が抑えられなくて怒鳴り散らかしちまった。」

きっと、シェラの事だろう。シェラにも申し訳ないことをしちまったな。



「実際は、心の中でわかってんだよ。恨むべきは魔王軍ってことぐらい……」

彼は涙を一層増やしながら、大声泣き崩れた。

「いや、しょうがねぇよ。俺もライトが殺されちまったらどうなるかわかんねぇ。

それに、もう未来へと向き合えてる。充分あんたは強いよ。俺よりな。」

「この話は、もうこれで終わりませんか?きっとオキロメタもこんなに悲しむ事を望んでいません。」




「本当に申し訳ありませんでした!!」

玄関に向かい頭を下げる。

「いえいえ、私たちでお役に立てることがあればなんでもおっしゃってください。」

「レフト様も頑張ってください!!」

2人は必死に涙が出るのをこらえていた。俺が立ち去ればすぐにでも、膝から転げ落ちそうな雰囲気を醸し出していた。



「少々、譲り受けたいものがあるのですがよろしいでしょうか?ある程度の金なら払います。」

「いえいえ、お金なんていりません。チンケな家ですが、何か必要なものでもあるのでしょうか?」

「はい。それはですね……」

そんな話をして特訓場所に戻ると、ライトが既にストレッチをしていた。



「遅いよお兄ちゃん。休憩もしたし、準備もバッチリだよ!!!」

「あぁ、始めるか。」

嘘を真実にするため、様々な人を守るためにも、何かを犠牲にしてでもやらなきゃいけない事がありそうだ。

今回はライトメインの話をしたのですが、展開が早すぎて少々悔いています。

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