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異世界武器召喚 〜伝説の武器を召喚したかった勇者〜  作者: ショコラ・ショコラレート
20/21

拾玖

「それでは、第八試合を開始します。スタート!!」


その合図と共に戦いが始まった。

相手は最初に話しかけてきた奇妙な女、シェリー。

俺は盾を持っているが、シェリーも装備は盾という何とも泥試合になりそうな対戦カードだ。

しかし、俺は片腕がないため、シェリーが女であることを踏まえてもかなり不利な戦いだろう。

客席からも「何だあいつ、片腕がないじゃん。」「消化試合か?」「これじゃまるで見世物小屋だな。」などと様々な声が飛び交っている。




一方試合はお互いに一歩も動いてはいなかった。

どうやらシェリーも相手から攻撃を受けてのカウンター戦法を狙っているらしい。

しかし、この観客の声を聞くに、時間切れになった場合、シェリーが勝利してしまう可能性が非常に高い。

クソッ……俺が攻めるしかないのか。

俺はひとまず大きく回りながら距離を詰めることにした。

「何をしてるの?逃げも隠れもしないから、さっさとかかってきなさい。」





「あぁ、仕方ねぇ。挑発に乗ってやんよ!!」

そう言って俺は、一気に速度を上げて仕掛けた。

相手へと、まずは蹴りを喰らわせようと足をなぎ払ったが、盾で衝撃を交わされた。

次に盾を押し付けて攻撃をしようとしたが、そこを空いているもう片方の手で掴まれて、腹部に蹴りを入れられた。

「グぁは……」

盾を押し付けていたため衝撃を抑えることができずもろに蹴りを食らってしまった。




そして、相手はそのまま追撃を狙ってこようと殴りかかってきたが、そこを頭を思い切り振り下ろして相手の向かってくる手元を狙ったが、頭突きはシェリーの盾で受け止められた。

コツンっ……という綺麗な音がなった。

すごく頭が痛ってぇけど、今はそんな痛みを気にしている場合ではない。

「俺は普段から盾を使ってるから分かるが、今の頭突きは相当あんたの腕に響いているはずだぜ。」

そう。木製の盾は衝撃をうけ流さずにもろに攻撃を食らうと、衝撃が貫通して腕が痺れを起こす。

その隙をついて俺は、全力で蹴りを相手の盾に向かってお見舞いした。



蹴りで少しだけ距離は離せたが、俺のダメージが大きいな。

そんなことを思っていると、おかしくなったのか、急にシェリーが「ハハハッ」と笑い声を上げた。






「凄いわね。あなた、最初はこんなにブーイングをされても物ともせず、お互いの作戦は分かっているはずなのに、客席の足を汲み取って、勇猛果敢に私に攻めかかってくれた。

おまけに、私の蹴りをもろに受けてからの頭突きや蹴りの反撃、まだ戦える。という客席へ向けての意思表示!!

素晴らしい、素晴らしいわね。あなた。

それで、あなたの名前についてはトーナメント表を見たから知っているのだけど、直接あなたの口から名前を聞かせてくれないかしら。」




なんなんだこの女は……

最初はただの気持ち悪いスポーツ観戦オタクかと思っていたが、想像以上に気持ち悪い上に戦いたくはない相手だ。

この女は、今まで戦ってきたどの相手とも圧倒的に何かが違うのだ。

クソっ……一体何が違うんだ……




「あら?まだ答えてくれないのかしら?決着が着いたら是非教えてね。」

そう言って女はこちらに向けてウインクを決めてきた。

全く……本当に呆れる女だ。

「じゃあ、さっきはあなたから攻めてくれたし、今度は私からいくわね。」

そういって女は俺の盾めがけて何度も何度も蹴り、殴りを繰り返し決めてきました。

さっきの俺の発言を間に受けて、俺の腕を潰すことをまず最初に考えているのか。

何度も何度も繰り返される連続攻撃に少しずつ場外付近へと押し出されていく。

こうなったら、カウンターを決めるしか勝機はない。




流石に、繰り返される攻撃全てをうけ流すことは難しく、徐々に腕へのダメージが重なってきている。

そして、場外ギリギリへと追い詰められたてしまった。

シェリーが最後に俺に向かって全力で殴りかかろうとしたところで、俺は持てる力全力で相手を下から蹴り上げた。

このままの角度で飛んでいけばきっとシェリーが場外に落ちるだろう。



すると、シェリーは

「最後まで諦めずに戦ってくれてありがとう。あなた、かっこよかったわよ。」

そういって、俺を抱きしめて胸を押し当ててきた。

!!!!!?????

なんだかすごく複雑な気持ちが俺の中で生まれたまま、俺が抱きしめられた状態で仲良く場外へと2人で落下した。

ちなみに、俺の背中が先に場外へと着いてしまったようだった。





「今の試合、青コーナー、シェリー選手の勝利!!」

「ウォォォ!!」と客席からは猛烈な戦いへの声援が聞こえた。


「ごめんなさい。突然抱きついて。一人で立てるかしら?」

そういって、シェリーは俺に向かって手を差し伸べてきた。

俺は手を取り、握手を交わし、その戦いは終わった。

客席へと帰る途中に、

「勝負も終わったことだし、改めてあなたの試合を教えてもらっても良いかしら?」

と聞かれたので、俺は大人しく

「レフトだ。」

と答えたら

「対戦ありがとうございました。貴方はすっごくかっこよかったし、貴方の腕があったら私は多分負けてたわ。」

そう言って笑いかけてきた。

へっ……と捨て台詞を吐き捨て顔を隠すように別のところに向けたが、「ふふっ」と上品に笑っていたので、きっと彼女は俺の顔が赤くなっていたことに気づいていたのだろう。







「悪い、負けちまった。」

二人に申し訳ない気持ちで戻ってくると、

「良い戦いでした。」「えっと……お二人とも凄かったです。」と二人が先ほどの戦いを褒めてくれた。

まぁ、変に慰められたり、気を使われたりするよりは良いんだろうが、こういうのは何とも言えない気持ちになるな。




その後は、第九試合、第十試合次々と試合が続いていった。

どの試合も10分も時間がかからず、最短では1分にも満たない時間で終わった試合もあった。

ただ、例外として一試合だけは10分フルで使い切った試合もあった。

そんな試合が続いていったため

試合数が多い割にテンポよく展開は進んでいった。



第二十試合にあったシェラの戦いは、シェラが盾を構えていた対戦相手をそのまま持ち上げて場外に投げつけるという何とも面白みのない試合であった。





そんなこんなで大会は15時を時が指したころに二回戦へと進んでいった。

二回戦と言えば、ヒマワーとサツリクの試合か。

ヒマワーは嫌いな奴だが、ライトが許してやってくれというので一応応援してやる。

シェラは、ヒマワーが選手控室に行くときに、「何かあったら棄権を推奨します。」と助言をしていた。

サツリクは一回戦の戦いを見るに勝利だけを追求したような戦いをする男だった。

ライトの仲間をたくさん傷つけられるわけにもいかない。

「頑張ってくれ。ヒマワー」と小声で呟いた。





「二回戦、第一試合を開始します。

赤コーナー サツリク!!」

彼の名前を聞いた途端客席からは無数のブーイングが飛び交った。

「青コーナー ヒマワー!!」

客席からは「サツリクなんてぶっ倒せ!!」「頑張ってくれ!!」と多数の声が響いている。

人間が亜人を応援する光景を見て、世界が平和になったらこんな世界になるのだろうか?と少しばかり思った。





〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「それでは、第一試合を始めます。スタート!!」



その声と同時に戦いは始まった。

目の前にいる男が颯爽とアタシのところへと詰め寄ってきた。

先ほどの戦いを選手控室のモニターにて見ていた時にえた情報は足元への攻撃には注意、また、奴を場外にするまでは油断できないとああ二つだ。

颯爽と飛んできた相手は俺に向かって殴りかかってきた。

アタシはその行動を回避し、手始めに相手へと殴りかかった。




しかし、相手にはあまり効いていないような感触がした。

いつも戦いでは爪に頼ってきたからパンチの攻撃は敵には通用しない……

ならば軽い足技しかアタシができそうなことはない……

サツリクは私の殴りを見てニヤりと笑いこちらへ向かって駆け出した。

相手の動きがアタシよりも幾分か遅かったのでとりあえずは回避に専念することにした。

それを3度ほど繰り返した後の4度目、相手は先程と同じように殴りかかろうと寄ってきた、やることが同じじゃないか。

と思いながらもその行動を回避しようと左に避けようとすると、





「その避け方、さっきも見たぞ!!」

そんなことを叫びながら、サツリクは片足を軸にして、体をターンしアタシの逃げ道を塞いできた。

そのまま相手はアタシを掴み、地面に叩きつけようとしてきた。

マズイ……やられる……

そう思い、咄嗟に爪を伸ばし、回転させながら敵の掴みを脱出してしまった。





「ヒマワー選手、ルール違反のため失格、勝者はサツリク選手!!」

はぁ……やっちまった。

いつも戦いでは爪を用いて戦闘を行っているせいで意識してはいたのだが咄嗟に爪を伸ばしてしまった。

アタシがあんなことしなければ………

そんな思いを胸に抱いたままアタシは観客席へと戻っていった。





「すみません……あんな初歩的な違反をしてしまうなんて……」

私は2人に向かって謝った。

「いや、あれはしょうがねぇ。あのまま押し倒されてたら一回戦のように、ヒマワーがタコ殴りになっていたかもしれねぇ。

それを踏まえたら、良い危機判断だったぞ。」

レフトさんは慰めの言葉をアタシにかけてくれました。

「ヒマワー、お疲れ様でした。私が頑張りますのでゆっくり休んでいてください。」

シェラさんは「あとは任せろ。」とでも言いたそうに片手を胸に当てて、微笑んでくれた。

「ヒマワーさん、お疲れ様よ。今回は相手が悪かったもの。ナイスファイトよ。」

あ……シェリーさんまだいたんだ。

私はシェリーさんに軽く会釈をした。




そんなこんなでサクサクと二回戦も進んでいき、二回戦もすぐに終わりを迎えた。

シェラさんの試合については相手が剣を振ら下ろしたのをそのまま受け止めて、強引に相手から奪い取った時点で、相手が降参を申し出るというなんとも微妙な試合で、これといった見所はなかったです。





「それでは、第3回戦をを開始します。

赤コーナー サツリク!!!」

観客のサツリクへのヘイトも試合が進んでいくにつれてどんどん高まっていった。

「青コーナー シェリー!!!」

シェリーさん………

彼女は一回戦ではハンデがあったとはいえ、それなりの盾の使い手のレフトさんを打ち破り、

二回戦では亜人に対して、苦戦しながらも、何とかといった感じで勝利を収めていた。



幾ら盾でダメージを減らせるといっても、対戦相手はあのサツリク。

シェリーさんがサツリクと戦うことを考えると、どうしてもシェリーさんが負ける方を考えてしまう。

かなり厳しい戦いになるかもしれませんけど、シェリーさん頑張ってください!!


「それでは、第三回戦の第一試合を開始します。スタート!!」

ただアタシはその試合を見届けた。

武術大会編の前半が終了しました。ラストスパート、頑張ります。

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