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異世界武器召喚 〜伝説の武器を召喚したかった勇者〜  作者: ショコラ・ショコラレート
16/21

拾陸

アタシはどうやら王子とやらに買われてしまったらしい。

そして、この王子は随分とはるばる遠くから来たようで、途中での野営をすることになった。

王子は小さな馬車の中から人を追い出し、アタシを中へと入れた。

馬車の中に入ると裸の王子がいた。

「君が凄く可愛いから国に戻るまで待とうかと思ったのだが、我慢が出来なくなってしまったよ。」

王子はそんな事を連れて無防備にアタシへと飛び込んできた。

アタシは悲鳴を上げたが誰も外から助けに来る様子はない。

きっとこの人は日常茶飯事でこんなことをやっているのだろう。

王子の乱暴な手つきに恐怖を覚えたアタシは手を合わせながら助けて!と必死に祈りを捧げたところ、突然、アタシの爪が伸び始め、王子の体を貫いた。

中から血飛沫が飛んだのに気づき外の兵士が馬車を開けると、そこに居たのは華奢な少女ではなく、獲物を狙うハイエナのような眼光の獣がいた。

兵士たちは必死に応戦するも、大した致命傷を与えられずに全滅したのだという。






獣は王子や兵士たちから戦利品を漁り帰路へと闇に紛れて歩み出した。

戦利品を持って商人の元へ戻ると、商人は泣いてアタシの帰りを喜んでくれた。

そして、戦利品を渡すと、困った顔をしながら受け取ってくれた。

後日、その戦利品を売ったのか夕食は豪華になって行った。

それから何度かアタシが買われることがあったが、その度にアタシがそいつらを殺して戻ってきた。

もはや、人を殺すのに躊躇いというものが消えていった。

アタシは何をすべきなのか。というものを考え、アタシに親切にし、復讐に協力してくれた商人に恩返しをするという結論に至った。



そのためには、アタシは可愛らしく、華奢な少女を演じ、金貨5枚を躊躇なく払える客を増やしていくという努力もしていた。

アタシが戻ってくる度に、商人の顔は徐々に曇って行った。

そして、アタシが戻ってきたことに対する噂が広まったのか、買った人間は不幸に見舞われるという噂が世間に浸透し客足はどんどん途絶えて行った。



そんな中、久々に客が来た。

青年1人と、女性2人の客だ。

冷やかしか何かや迷い込んだのかと不安になったものの、一応可愛らしく演技をすることにした。



すると。躊躇なくアタシを購入してくれたようだった。

彼らがちさ「治療魔法」と口にしていた単語が気になってアタシは暫くは彼らの様子を見ることに決めた。






そんな彼女の結末をずっと見ていた男は

「そこまで人生が狂わされたのか……」

と感嘆を音にした。








~~~~~~~~~~~~~~~~





「アタシの教えられるのはこんぐらいだ。

こんな心すらも持たない奇妙な怪物のせいでこんな怪我までさせちまって、本当にすまない!!」

レフトがヒマワーの胸ぐらを掴みかかり、ヒマワーは無防備な姿勢でいる。

そんな2人をみてライトは優しくヒマワーをさすっていた。

「うんうん。辛いことがあったんだね。」

ライトの慰めの言葉にレフトも掴むのをやめ、ヒマワーは地面に倒れ込みました。そして再び沈黙が戻ってきました。

否、何も言えなかったが正しい表現なのだろう。

「そんな暗い感じにならないでよ〜。」

きっと、ライトはこんな雰囲気を望んでいないと感じたからでしょうか、ヒマワーは明るくそう声をかけます。

「えっと、ごめんね。そんな、嫌なことを思い出させちゃって……」

ライトがそう呟くと、

「ライトさんは謝らないでくださいよ。アタシが全部悪いんだし……」

そんな言葉を最後にまた、しばらく沈黙が続き、

結果としてもう時間も遅いから一旦皆は寝ようと言うことになり、医者に感謝を述べてから、街にあった宿を借りた。



その日はなんとも言えない気持ちのまま、夜が去っていった。









翌日になり、3人はライトの病室へと向かった。

ライトは窓を見つめながらぼんやりとしていた。

3人が入ってきたことに気づいたのか、ライトは微笑み手を振った。

シェラは手を振り返し、2人は返すことは無かった。

そんな雰囲気の中ライトは話を切り出した。

「私、もうこんな足だし、お兄ちゃん達に着いて行ったら迷惑だよね。それで、昨夜色々と考えた結果、私は旅から離脱しようと思うの。」

ライトは今までたくさん迷惑をかけてきたことを謝りつつ、旅の思い出を語り、最後に3人にメッセージを伝えてくれた。




メッセージを聞いてレフトは泣き崩れ、ヒマワーはずっと謝罪を繰り返し、シェラは立ち尽くしていた。

そんな時間がずっと続くわけでもなく、レフトが泣き止み、2人に「出発するぞ。絶対恨みを晴らしてやる!!」と言い立ち上がり、その後に続いてヒマワーも涙を流しながらも立ち上がった。

レフトが「行ってくる」とライトに告げ病室を出ていき、シェラは「お大事に」と言って後をおった。

その場に立ち尽くしているヒマワーを見て、ライトは願いをヒマワーに伝えた。




「お兄ちゃんってすっごく頑張り屋さんだから、結構無理しちゃうことも多いんだ。

だから、ヒマワーさんはお兄ちゃんが無理をしてたら助けてあげてほしいの。

本当は私が行ければ良かったと思うけど、それは無理だから……

ヒマワーちゃん、お願い出来る?」

その言葉にヒマワーは

「はい……絶対……絶対成し遂げてみせますよ。ライトさん!!」

そう言ってヒマワーも涙を流しながらもレフトの後を追いかけていった。





そんな彼の背中を見て、白きシーツで背中を見送った女性は

「自由に生きてみて欲しかったけど、あぁでも言わないとまるで自殺でもしちゃいそうだったなぁ……」

と独り言を呟いた。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~










三人は病室を出た頃には既に泣きそうな顔になっていた。

だけど、歩き出さねばならなかった。

「レフトさんシェラさん、すまないが少しばかり寄りたい所があるんだが、良いか?」

「あぁ」とレフトさんが力無く返事をしたのでそこへ寄ることにした。

ここから歩いて50mほどの場所にある地下階段を降りていく。

既に何度も通ったことのある今では見知った場所だ。

その地下階段の下には小さなスペースがあり、その部屋の中で小金持ちの商人がいた。

「ヒマワー、また戻ったのか?今回は何も持っていないようだが、なにかあったのか?」

商人はアタシの姿を見てすぐに駆け寄ってきてくれた。

普段は戻ってくる時に血まみれだったり泥まみれで返ってきていたから何かいつもと違うアタシに心配があったのかもしれない。




彼のこんな反応は久し振りに見たな。

きっと、アタシが初めてこの場所に戻ってきて以来かな。

「今回は、お話があってきました。」

「此処を去るというのだろう。こんなチンケな悪徳男の前にずっといるのも気分が良いものではないだろう。さっさと去れ。」

私の言いにくくて詰まった口元を見て内容を察してくれたのか、

商人は厄介払いでもするように、アタシを地下階段から追い出した。

商人は普段より少しばかり朗らかな表情になっていた。




「すみません、最後によろしいでしょうか?」

「本当に俺と関わるのを最後にするのなら話を聞いてやろう。」

男は厳格な顔つきでそう言った。

「今まで、こんなみすぼらしいガキを育ててくださり、本当にありがとうございました!!

貴方がどんな立場の人であろうと、アタシから見たら立派な英雄でした!!」

深々と頭を下げてアタシはそう言った。




「やっと、うるさいのが消えて、食費代も大分浮くぜ。」と言い放ち商人は元来た場所へと戻っていった。

「自分の大切な居場所を見つけたのなら必死になって守れよ。」

去っていく背中越しに、男はそんなことを吐き捨てていった。

アタシはその言葉に深く腰を曲げて、彼の去り際を見送った。

ったく、最後までカッコつけやがって……

彼の進んでいた道には、少しばかりの水滴で地面が濡れていた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜





城門で待っていると、走ってヒマワーが此方に走ってきました。

その顔は何かを振り切ったような笑顔だった。

「遅れて、すみませんでした!!」

綺麗な会釈をした彼女からは何故かしら気品という物が感じられました。



その会釈を見たレフトは

「言っておくが、お前がライトにした事は何にも許してないからな。

ライトの顔に免じてやって見逃してやっているだけだ!!」

と吐き捨て、先頭を進んでいきました。

少し辛そうな表情に戻ったヒマワーを見て、私は

「言い方は悪いですが、あれでもヒマワーがすぐにライトを助ける判断をしたことを感謝していました。」

と伝えると、

ヒマワーは「行きましょう」と一声をかけて

2人で国の外へと歩み始めました。





ライトが離脱をし、ヒマワーが新たに加入をしました。

これが一期一会の出会いといったものなのでしょうか。

データに記載されている言葉でそれが最適なものだと信じて旅を続けていきます。

ちょっとだけ短いですが許してください。

後2万字は時間が足りるかといったところなんですが、16時ごろ〜24時まで全力を尽くします

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