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異世界武器召喚 〜伝説の武器を召喚したかった勇者〜  作者: ショコラ・ショコラレート
11/21

拾壱

私たちはその後、しばらく歩いて、周囲の様子がよく見える芝生地帯へとつきました。

日は沈みかけており、これ以上進むのも危険ということで見晴らしの良いこの場所で野宿することに決まりました。

今は、お兄ちゃんの持ってきたリュックから出てきた小さめのテントを芝生に設置しているところです。



「ライトさん……これでテントははれていますか?」

「ごめんね。ちょっとわからないかな?

野宿する時はお兄ちゃんが張ってくれてたけど、今はお兄ちゃんいないからね。」

少し杭を打つ間隔が狭くて、少しばかりテントが真ん中に寄れてきてるけど、テントは立っているし、きっと大丈夫だよね。



「ここら辺にいるのって……なにか食べれるの……?」

ヒマワーちゃんが杭を打ち終えて疲れたのか地面に胡座をかいて座ってました。

綺麗な子にはもうちょっと女性らしい座り方をしてほしいかな。

「シェラちゃんも、お兄ちゃんももうすぐ帰ってくると思うよ。」

現在、2人は食料を確保に行っているのです。

私たち2人は何かあると危険だから。と木の枝を集めたり、テントを張ってお留守番をしています。




「特にやることもないし、お話しでもしようか?」

「はい……何でも聞いてもらって良いです。」

ヒマワーちゃんはあぐらを急にやめて座り方を変えた。

きっと、お話しが説教とかでも思ったのかな?

「ヒマワーちゃんって、小さい頃はどんな事をしてたのかな?」

ヒマワーちゃんはかなりビクビクとした立ち振る舞いや声色をしている。

私たちをまだ警戒しているのか、何か嫌なエピソードがあったのかもしれないし、悩みがあるのかもしれない。

まずはそこを聞いてみることにしよう。




「特に……面白いこともないです。」

「そっか、そうなんだ。」

「普通の家庭に生まれて、普通に生活して、普通に泣いて、普通に笑って。でも、ここ最近は普通じゃないことも多くて、頑張って生きてます。」

淡々と語ってくれたヒマワーちゃんだけど、俯いて、目線を合わせてはくれなくなってしまった。

やっぱり、亜人の国が滅ぼされて奴隷にされたことが嫌なことなのかな。




「あの、ごめんね。嫌な事を思い出させちゃったのかな?」

「いえ……大丈夫です。亜人の中でもアタシのような容姿の者は……恩義を返すのに死力を尽くしますから……」

確かに亜人は、容姿によって性格や個性は非常に変化したりするという。

亜人という名前も元々は様々なモンスターだったけど、比較的に人間と似た感性を持つ者が多いとされて、様々な人間に似たモンスターを一括りで亜人と呼ぶようになったらしい。



「ライトさん達も……何かあったら躊躇なくアタシを……切り捨ててもらって構いません。主人の喜びが……私たちの喜びなので。」

ヒマワーちゃんは俯いたままで両手で膝を抱えてます。

それを見て、私は咄嗟にヒマワーちゃんに両手で抱きついた。

「そんな酷いことしないよ。あと、主人じゃなくて、私たちのことは仲間って呼んでほしいかな。」

「仲間……ですか。久しぶりにそんな言葉を聞きました……弱肉強食な世界ですけど……アタシも頑張ります……」

きっと、ヒマワーちゃんも様々な苦難があって辛かったんだよね。

ヒマワーちゃんが抱きついた私の背中に手を回そうとした時。





「お前ら、もうそんなに仲良くなったのか?」

お兄ちゃんが戻ってきちゃった。

お兄ちゃんは息を荒げながら、泥だらけの服で現れた。

うぅー……もうちょっと仲良くしてたかったのに。

ヒマワーちゃんも少しばかりため息をついているようだ。

あの雰囲気を壊されちゃったからとはいえ、ヒマワーちゃんでもそんな反応するんだね。

内心ちょっと嬉しかったかも。

「良いところだったのに。

それで、お兄ちゃんは何か取れたの?」

「あぁ、リュックの中に入っているから。

そう言ってお兄ちゃんは意気揚々とリュックの中身を見せてくれた。




「うわっ、キモい……」

リュックの中にはうねうねと動く白くて丸まっている大きな幼虫がいた。

「頑張って鮮度良いように生かして捕まえてきたのに、そんなこと言うなよ。」

お兄ちゃんは少し悲しそうにしてたけど、これは私の感性の方があっているよね。

「これは……モスワームですか?」

ヒマワーちゃんがキモい物を指差していた。

まさか、ヒマワーちゃんはこれが平気なの?

「おぅ、よく分かったな。食ったことあるのか?」

「はい、小さな頃、家で料理をしてましたので。」




うぅ……こんな可愛い子がこんな気持ち悪いものを捌いている姿は想像したくなかったよ。

「俺は実際にコイツを調理したことないし、じゃあ調理をお願いしても良いか?」

「うん、任せてください!!」

ヒマワーちゃんは、最近で一番嬉しそうに手で胸を叩いていた。

「すみません。少々遅れてしまいました。」

シェラちゃんの声が聞こえた方向を向くと、ずぶ濡れのシェラちゃんが大量の魚を抱えているようです。

「凄い!!こんなに大量!!シグロアスに、ビハウオ、他にもたくさん!!」

ヒマワーちゃんは魚を指差しては飛び跳ねて喜んでいる。

家でも料理をしてたと言っていたし、料理とかをするのが好きなのかな?




「お前、どこで魚なんて取ってきたんだ?近くに魚が取れる場所なんてないだろ。」

「ホールド池で素潜りしました。」

しれっと答えたシェラちゃんに驚きを隠せなかった。

「ホールド池って、あのホールド池?」

「はい。」

「ここからめちゃくちゃ遠い?」

「はい。皆さんの歩行速度であると、遠い。という距離であると言えます。」

ここからホールド池に行くには、走って戻ったとしても6時間以上は覚悟するのに、その上魚を捕まえ、抱えた上で3時間以内に戻って来るなんて……




「シェラさんって……ひとではないですよね?」

ヒマワーちゃんがシェラちゃんに聞こえないように私に聞いてきた。

もしかして、シェラちゃんが気にしてるのかもしれないと思い、私にこっそり聞いてきたのかな?

「うん。人という括りだとしたら私は別の生物になっちゃうよね。」



「此方は、どうしたら良いのでしょうか?」

シェラちゃんが固まっていると、ヒマワーちゃんが寄ってきて

「この魚も含めてアタシが調理します。後、この魚は毒がありますので、捨ててきてもらっても良いですか?」

調理の話になってさっきよりだいぶヒマワーちゃんの元気が戻ってきているように見える。

良かったなぁ。と頷きながら私は後方で腕を組んで見ていることにした。





「皆さん、出来ましたよ。」

皆が疲れたということで少しだけ仮眠をしていると、ヒマワーちゃんの声で目を覚ました。

一部の木の枝で火を起こし、お兄ちゃんの盾をお鍋がわりにして水分が沸騰した美味しそうなスープが出来上がっていた。

「皆さんの分、分けますね。」

そういうと、ヒマワーちゃんは地面をひとすくいすると、みるみるうちに彼女の手元にあったはずの泥が小さめなサイズのお椀へと変化しました。



「これが……私の魔力です。片手に収まって尚且つ片手で持ち上げられるものの形状を変えることができます。

物が軽く、小さいほどほど強固な物が作れますが、重く、大きくなるほど過剰な形状の変化に耐えられなくなって崩れます。」

シェラちゃんはポカーンと口を大きく開けています。

あれは、開いた口が塞がらないという驚き表現なのかな?

お兄ちゃんはこれを見てすごく興奮しているように見えます。

「凄いな。これ以上大きくはできないのか?」

「すみません……これ以上大きめにするとスープの汁気に耐えられなくてスープが泥に染み込んでいきます。」




「お代わりもありますし、そこは各自で量の判断をお願いします。

では、皆さんの分を用意しますね。」

そう言って私たちの前に食事を配膳してくれた。

その間にお兄ちゃんはテントの方を見て、何だこの作りは。食事後に直すぞ!!と怒鳴っていた。

そんなことをしているうちに、私たちの前には魚のお刺身と、スープが出されていて、ヒマワーちゃんには、お刺身しか出ていなかった。

スープには白くブヨブヨしたものが浮いていた。

「ヒマワーちゃん、このスープって……」

「はい!!モスワームをふんだんに使ったスープです。」

美味しそうに見えたスープがどんどん不味そうに感じていく。



「ごめんね。私、このスープ飲めそうにないや。」

「ライト!!ヒマワーがせっかく作ってくれたスープを飲まないのか!!」

お兄ちゃんが叱責をしてきた。

昔からお兄ちゃんは食べ物を残さないようにしてきたし、食事を作ってくれた人に対する思いが強いんだよね。

「だって、あれが入ってるんだもん。」

私はそっと白いものを指差す。

「しのごの言わずに食べなさい!!」

「はい……」

せっかくヒマワーちゃんが作ってくれたし、食べなきゃなのかなぁ……




「ヒマワー、何でスープがないんだ?量が足りなかったのか?」

お兄ちゃんは私への叱責の後に、ヒマワーちゃんの元にスープがないのを指摘した。

「あの……ごめんなさい。アタシ、モスワームはアレルギーがあって…」

「ふむ。アレルギーならしょうがないか。」

「お兄ちゃん、ヒマワーちゃんばっかりずるい!!」

「だって、アレルギーならしょうがないだろ。」

うぅ……ごもっともな意見で言い返せない。

こんな時は……

「そんな意地悪ばっかりいうお兄ちゃん大嫌いっ!!」

「すまんすまん。せっかくよそってくれたもんだし、俺がライトの分まで飲むよ。」

昔からお兄ちゃんは私には甘いからね。






ヒマワーちゃんをみると、少し悲しそうな目をしていた。

やめて、ヒマワーちゃん。その目は今の私の心にすごく刺さる……

「ごちそうさまでした。おかわりをいただいてもよろしいでしょうか?」

ふと、シェラちゃんをみると黙々と食べていたようでもう食器が空になっている。

驚くべきスピードだ。

ヒマワーちゃんも驚いたようで手を余ったスープの方に差し出してどうぞ。とハンドシグナルをしていた。

私は申し訳ないという思いを抱きながら出してくれたお刺身を味わった。






「「ご馳走様でした。」」

全員が食事を終わり全員で挨拶をしました。

「飯食ったら眠くなってきたな。近くに体を洗える場所もねぇし、明日もたくさん歩くし、今日は早めに寝るとするわ。おやすみ。お前らも早めに休めよ。」

そう言ってお兄ちゃんはヨレヨレのテントへと入っていった。

「ここは、見渡しも良いですし、私が見張りを行います。お二人も休んでいてください。」

シェラちゃんがそう言うと、

「いえ、私は戦闘面で何も役に立てませんので、ライトさんと動けるシェラさんが休んでいてください。」

ヒマワーちゃんがそんなことを言ってきた。

食事を通した後からハキハキと喋れるようになったなぁ。と感心感心。

「でも私は」

「大丈夫です。何かありましたらすぐに皆さんを呼びますので。」

えっへんとヒマワーちゃんは胸を張っているようだ。



「わかりました。私もスリープモードに入ります。強制起動したい時は額に一定以上の衝撃を与えてください。」

どうやらシェラちゃんが折れたようで何かを言っているけど何を言っているのかは詳しくはわからないかな。

「はい。わかりませんけど了解しました。ライトさんも、シェラさんもおやすみなさい。」

「「おやすみなさい」」

そう返事を返して私たち2人はテントへと入っていった。

ほんとにヒマワーちゃんだけで大丈夫なのかな?っと心配な気持ちがいっぱいだったけど狭いテントで私は寝転んだ。

頑張ってヒマワーのキャラを掘り下げしようと頑張ってます。

次回以降のお話は作ってますが、モチベが続くかはわかりません。努力はします。

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