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作者: 武田道子
掲載日:2019/10/06





母は死んだのだけれど

私の中に生きている

父は死んだのだけれど

私の中に生きている



そのことが

嬉しいのか 悲しいのか

喜ばしいことなのか 腹立たしいことなのか

結局はそのどれでもない



「血は争えない」と昔の人は言った

私は私のはずなのに

母が私の中に生きている

父が私の中に生きている



私は母に似ている

私は父に似ている

母の人生

父の生き方



私の生き方は二人には全然似ていない

だからもらい子なのだろうかと思ったけれど

鏡の中に私は母を見る

鏡に中に父を見る


私の血がさわぐ

私は私だからと抗っても

私は空気の中から突然生まれたわけではない

当たり前のことが今更のように血を教える



嫌ではない悲しくはない

ただやりきれない疲れが肩をこらせる

確かに母と父と繋がっている自分に

切っても切れない血が見えてくる



二人の祖母と二人の祖父

四人の曽祖母と四人の曽祖父

血を遡ると人生縦に横に交差して

子孫にも血が引き継がれていく



クローンではない

ただ見えないところで

過去の私がいて

未来の私が栄えている



兄弟姉妹家族

争いが絶えない世界で

血の温かさを知れ

血の行方と未来を見よ



私の中に母がいて

私の中に父がいて

今の私がある

これからの私が続く



重荷でもない 責任でもない

永遠を 私は父と母から受け継いだ

まやかしではない命

真摯な感謝と喜こび

そのようなことに気がつく


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