六章05 絶対なるもの
「――――ようこそ。我が巨城へ」
純白の玉座に座りながら、アルカナシアが微笑む。
荘厳なドレスを着込み、兵とメイド達を侍らせ、ククリ達を見下ろしている。
その横では、ナタが鎖で縛られながら立っていた。
「ククリ……!」
ナタは複雑な顔でククリを見た。
来てくれて嬉しいような、でもやっぱり逃げて欲しいような、そんな複雑な顔だった。
「ようやくここまで。――今助けるッスよ」
ククリがアルカナシアを睨む。ただ少し、安堵もしていた。ナタには外傷も見られないし、血色もいい。酷い目には、あっていないようだ。
ククリを見ても、兵士達は身動き一つしない。頭を垂れたまま、一ミリも動かない。まるで、アルカナシアが害されることはありえないと言うかのように。
ギンドロが入ってきても、それは変わらなかった。相変わらず、兵士達は身動き一つ取らない。
「ひれ伏すがいい。我こそがこの国を敷く、新たなる皇なるぞ」
不愉快そうに眉をひそめ、ギンドロは銃を構えた。
「黙れ、何が皇だ。「8」の件、ケジメをつけさせてもらう」
「我を恨むか? だがお互い様であろう。そち達も我ら皇族を打倒し国家転覆を計っていたのだから。やられる前にやっただけ。その身の滅びをもって、身に余る無礼を許してやろう。去るが良い」
「傲慢だな。――死ね」
【撃つな】
アルカナシアが呟く。ただそれだけで――――ギンドロの身体は、無数の糸で絡め取られたかのように動かなくなった。
「な……っ」
ククク、とアルカナシアは愉快なものを見た、という顔で笑った。
「無駄よ。どうして我が城がこれほど巨大だと思う? 何の意味もない装飾だと思うたか? ……違う。まるで違う」
アルカナシアは否定し、一枚のカードを掲げた。
シンプルな白い背景に、唯一つ王冠だけが描かれたカード。
「絶対権限。自らの城内において、強制力がある言の葉を紡ぐことができるカードじゃ。――この城に入った時点で、そち達は負けたも同然よ」
ククリとギンドロを嘲笑うアルカナシア。
ククリは舌打ちすると、「爆裂弾」のカードを構える。
【カードの使用を禁ずる】
やはり、アルカナシアはククリの行動を縛り付ける。素早く、ククリは視線をギンドロに走らせた。
期待通り……とはいかず、ギンドロは相変わらず動けなかった。
「生憎だが、「一度に一人まで」「一度に一つまで」……といった制約はないぞ?」
「みたいッスね……」
答えつつ、ククリは「爆裂弾」を捨て、「雷鳴弾」を取り出す。
身体が動くようになる。
【カードの使用を禁ずる】
もう一度アルカナシアが囁くと、再び身体が動かなくなった。「雷鳴弾」を手放すと、やはり動けるようになる。
「……なるほど」
ギンドロは嗤い、トランプのような、分厚いカードの束を取り出した。
そのうちの一枚を取り出すと。攻撃に転じる。
「これでどうだ? 対処できる量であるまい」
エネルギー弾を発射しながら嗤うギンドロを見て、アルカナシアも笑った。
「愚か者め。格の違いを思い知れ」
【全てのカードの使用を禁ずる】
【武器の使用も禁ずる】
――――唯その言葉だけで、ククリは全ての武装を失った。




