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五章12 決着

昨日は投稿せずにごめんなさい。寝オチしていました……orz。

 踊るように、二人は戦い続ける。

 雷鳴弾を放ちながら、拳を振るい、蹴りを放つククリ。

 それをかわしながら牽制に銃弾を撃ち、多彩な武術を駆使する参。


 ――――離れては近づいてを繰り返し、死闘は続いた。


 だが永遠には続かない。

 少しずつ、双方どちらも疲弊していく。

 疲労が蓄積していくククリと、ダメージが蓄積していく参。

 膠着したまま、二人は互いを削り合っていく。

 ……そして、ついに最後の時が訪れた。




 参の拳が、ククリの身体を捕らえる。

 骨が砕ける音と共に、ククリの身体が宙を舞う。肋骨が砕け、しばらく、まともに呼吸ができなくなる。

「……ここで、決めます!」

 参は駆けた。その身体には既に大量の電流が奔り、動きがおかしくなっている。

 これ以上は、こちらが壊れかねない。

 故の、捨て身の突進だった。

 宙を舞っているククリが、翼を広げる。


 させない……、させるものか……!


 速く、もっと速く走れと参は心の中で叫ぶ。――そして、困惑した。

 この『参』にとって、それは生まれて二度目の感情の発露。自覚する限りにおいては、初めての発露だった。

 始めて自覚する『感情』というものの異質さ。

 ――一瞬の隙は、致命的なものとなった。

 

 捨て身の行動をとっていたのは、参だけでは無い。

 ククリもまた、賭けに出ていた。

 わざと攻撃を食らい、肋骨を破壊されてもなお、吸血鬼と化したククリは死なず、再生する。

 肉を斬らせて、骨を断つ。

 それを利用し、ククリは一枚のカードを使った。


 「女神の微笑み」。ツキの巡りを加速・減速させ、幸運を呼び込むギャンブルカード。

 幾度となくククリの命を救った、転生した時から持っているカード。

 

 幸運を祈りながら、吹き飛ばされたその威力を翼を使って活かし、接近してきた参めがけて、宙返りしながら蹴りを放った。

「…………!」

 虚を突かれたものの、その程度で参は負けない。足にブレーキをかけ、動きを止めて蹴りをかわす。

 だが。急ブレーキをかけたことで、参の身体は無防備なものとなった。

 宙返りから着地し、今度は逆に、ククリの方から捨て身で突進する。

 残された力を振り絞るように駆ける。――全ては、ただ一撃のために。


 その拳は、参の身体を正面から砕き、貫いた。



 勝敗は決した。

「……行きなさい」

 参は自身を見つめているククリにそう言った。

 ショートし、火花やオイルが漏れ出した参をククリは抱きしめる。ごめん、と一言だけ言って、ククリは走り去った。

 その背を名残惜しそうに参は見つめた。……だが、結局何も言わなかった。




 増援の兵士はカトラによって、参はククリによって戦闘不能に追い込まれた。

 ギンドロの持つ治癒カードによってワイバーン達は回復し、グラッチェの手によって、相棒のワイバーン、ライは空を飛んだ。

 ワイバーンが嘶き、空高く昇っていく。

 目指すべき所は、遙か彼方。

 連れ去られたナタがいる場所。「8」を滅ぼした新たなる女皇が君臨する地。

 ――――ダタン帝国首都、No.0。


 それぞれの思いを胸に、四人を乗せたワイバーンは雲間に紛れる。

 ……No.7で起きた連続事件は、こうして幕を閉じた。










「…………」

 力なく横たわる参は、もう半日も、無心で空を眺めていた。

 身体に力は入らない。というより、感覚が無い。

 動力は、思考回路以外切断した。動けないが、変わりにショートした電気が引火することも……そうそうないはずだ。

「誰も……来ませんね」

 兵士達は全滅した。こちらに来る余裕は無いだろう。元より、彼らに来て欲しいわけじゃ無い。

 

 では、誰に来て欲しいのか。


 唯一同胞と認めた、ククリか?

 違う、と参は否定した。

「来て欲しいのは、知り合いでしょうか?」

 参が認識しているのは、たった三人。

 交戦したククリ。それに、もう一人の『参』と、生みの親キッカ博士だ。

「この中なら、やはりククリでしょう」

 他の二人は、違う。

 あの二人を求めているなんて、認められない。それは、エラーだ。

 キッカ博士が求めているのは、認めているのは。……もう一人の『参』だけ。

 政府に言われ、無理矢理造らされた戦闘専門の私じゃない。


 敗北し、半壊状態になり弱気になったのか、次々と感情が溢れ出す。……参は、自身の精神状態に戸惑いと、デジャビュを感じていた。

「これは……そう」

 記憶回路を辿る。ビデオを逆再生するかのように、これまでの日々を遡る。

 そして、ビデオの最後を再生し始めた頃。見知った二人の声が聞こえてきた。


「ああ! キッカ特製のスペシャルボディが! というか参ちゃん大丈夫?」

「博士、そのオーバーリアクション止めてください、恥ずかしいです。……大丈夫ですか? もう一人の私?」


『うん、いいデキ! キミが参の代わり、戦闘用参さっ☆!』

『お願いしますね、もう一人の私』


 生まれてすぐの頃を、参は思い出した。

 ……そうだ。私の、最初の感情(こころ)


 ――――代替品として生み出されたことへの、憤り。


「……博士。私に、私だけの…………名をください」

参は本作で主人公よりも早く、一番最初に生み出されたキャラクターになります。一時期はヒロインにしようかと思っていたキャラで、リタイアはちょっと複雑。


今日はもう一話投稿します。

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