表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/62

五章11 覚醒

「……キッカが言っていましたね。ククリは馬鹿で自ら死の淵に飛び込んでいくけど、死んだと確信していてもなぜか生きていると」

 勝ち、生き残るために人間であることを棄てたククリを見て、参はぽつりと呟いた。

「その場その場で、生き残るために全力を尽くしただけッスけどね」

「十分です。それだけで生き残るなら、それがあなたの能力です。……やはり、あなたは私に近い」

 参が再び指をこちらに向ける。

 今度はエネルギー弾ではなく、銃弾が飛び出した。

 参のカードの力で、ククリは避けることができない。

 一先ず腕を十字に組んで防御の姿勢を取ったククリの身体を、容赦のない弾雨が貫く。

 ……だが。怪我こそ負ったものの、それは致命傷とはほど遠かった。


「我ながら、不気味な身体になったッスね」

 対して気にもせずに呟くと、仕返しとばかりに、今度はククリが雷鳴弾を乱射する。

 参も雷鳴弾を避けながら、銃弾を乱射した。その弾丸は、一切ククリには命中しない。

「もう「命中率100%」のカードが切れたッスか」

 つまり。仕掛けるなら、今が好機。

 膨大な熱量が、ククリの背に集まる。――そして、翼が生えた。

 大きく広がった蝙蝠に似た翼を使い、ククリは参めがけて飛んだ。

「はぁっ!」

 雷鳴弾を乱射しながら、まっすぐ直進し、拳を突き出す。


「化け物……!」


 翼を見て、参が呟く。

 ――とらえた!

 ククリがそう思った瞬間、カウンターに、参も拳を突き出してきた。

 狙いは、ククリの顔面。

 ククリは翼を動かして、少しだけ横に移動し――参の拳に照準を変えた。

「「……っ!」」

 二人の拳がぶつかり合う。衝撃波が、風が巻き起こり、二人の服を揺らす。

 参の身体が僅かに後退し、コンクリートの地面に大きな亀裂が生まれた。

 空いている方の腕で、参が今度こそククリの顔めがけて拳を振るった。……が、それを予期していたかのようにククリは飛び上がり、空中で宙返りをしながら拳めがけて蹴りを放った。参もそれを予想していたのか、拳は途中までしか動かしていなかった。フェイントだったのだ。




「スペックで、追いつかれたか、抜かれてしまいましたか……」

 飛びながら、雷鳴弾を撃ち続けるククリを見て、参は悟った。

 ぶつけ合った方の拳を見る。

 バレルが歪み、とてもでは無いがもうエネルギー弾を撃つことはできそうに無かった。

 撃てるのは、もう銃弾だけ。……だが銃弾では致命傷を与えることができないということが、さきほど証明されてしまった。

 ククリが吸血鬼化し得た力の一つが、驚異的な再生力だ。

 銃弾が何発か当たったところで、効果が無い。あるとすれば、ただ一つ。

 ――――ゼロ距離からの、再生力を上回る速度の一点射撃。

「分が悪くなってきましたね……」

 ぽつりと呟き、接近戦をしかけるべく地面に降りたククリに突進した。




 どちらも遠距離攻撃で勝負を決められない以上、接近戦を軸にするしか無い。

 身体能力は、ほぼ変わらない。

 参は、格闘技術においてククリより優れている。近接戦において、ククリの敗北は揺るがない。

 だが銃弾以外使えない参に対し、ククリの射撃用カードは健在だった。また飛行能力を持つククリは、いつでも参から距離を取れる。


 ――――勝敗は、まだ分からない。

評価してくださった方、ありがとうございます。

引き続き読んで頂けたら幸いです。


長引いた決闘は、次回で終わり。次の舞台へと移っていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ