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五章08 「8」

「「8」は滅んだ。幹部の生き残りは、もう俺だけだ」

 ダークスーツにサングラス。それに流星を描いたネックレスをつけた、全身血だらけの男。 ギンドロは、意識を取り戻したカトラにそう説明した。 

「……無学な小生でも知っている。この町に拠点を置く巨大犯罪組織であったな」

「そうだ。加えて言うと、政府とも癒着していた、な」

「巨悪、というやつか」

 ギンドロは笑った。

「本人を前にしてそれを言うか。……まぁ、そうだな」

「にわかには信じられん。「8」が滅んだなど、狂言にしか聞こえぬ」

「だったらよかったんだが」

 ギンドロは珈琲を二人分淹れて、コップを一つカトラに渡した。

「お前も参加したそうだが……あるクエストで、我々「8」と癒着していたジョン皇子は亡くなられた。奴は無脳でな、ごまさえすっておけばやりたい放題だったんだが、新たに成り代わったアルカナシア相手だとそうはいかん。これまでの色々を危険視されて奇襲された」

「たかだか奇襲一つで組織が一つ滅ぶか?」

「……ここ数年はジョンに隠れて、我々はアルカナシアとも手を組んでいた。奴に呼ばれて集まった我々幹部は、逃げた俺以外その場で皆殺しにされた。その間に拠点の方も襲撃を受け、部下も皆散り散りになっちまった」


 珈琲を飲みながらカトラは、事情は把握した、と告げて、改めて問うた。

「それで、私を助けた理由はなんだ? 組織の再興を手伝え……等という話であるまい?」

 ギンドロはニヤッと笑った。

「当然だ。再興なんぞ、武闘派の俺の仕事じゃない。俺の目的は宮廷に乗り込み、復讐を果たすことだ」

「随分とおおそれたことを考えるな」

「貴様らも同じだろう? 同じアルカナシア皇と敵対する者同士、手を組もうじゃないか」

 少し考えて、カトラは首を傾げた。

「……小生としては、異論は無い。命を助けてもらった恩もある。ククリがどういうかは知らぬがな」

「それなら問題ない。奴とは知り合いだ」

 ギンドロは空になったカップの取っ手に人差し指を入れ、くるくるとコップを回す。

 指をピンと伸ばし、カップが宙を舞う。

「――――果たしてそううまくいくか? 「8」がナタにしたことを、ククリは知っているぞ」

 フッとギンドロは笑った。

 カップを、膝で蹴る。垂直に、カップが飛び上がる。

「問題ない。では行こうか。まずこの町から出るために、飛便局に向かおう」

 カップを足先で蹴り上げ掴むと、それをテーブルに置いて歩き出した。

「お前の噂は聞いている。手元に無い剣と、元々持っていない強力なカードは俺が貸してやろう」

 そう言って、二枚のカードを後ろを歩くカトラに渡した。


「それはありがたいが……いい加減、その返り血だらけの服は着替えろ。臭いぞ」






「ここだ」

 グラッチェの相棒のワイバーン――ライがいるのは、飛便局と言うところだった。

 ワイバーンはコストが非常に高い動物だ。

 主食は肉と、No.0周辺でしか自生しない特殊な植物。

 気性は荒く、育成には専門の技術を習得した者でなくてはならない。

 馬よりも遙かに速く飛ぶのは魅力的だが、輸送量は馬と然程変わらない。むしろ少し劣っていて、速さ以外にメリットが無い。

 そのため、首都近郊を除けばワイバーンのいる飛便局があるところは限られている。 

 この周辺だと、No.7に二頭いるだけだった。


 飛便局の建物はかなり大きい。

 警備も相当なもので、大勢の兵士が建物の回りに駐在していいたらしい。

 ――ククリ達が着いたときには、既に戦闘が終わっていた。


 飛便局の門は消し飛んでいた。

 兵士達の中で、立っている者は誰もいない。

「……お前の仲間か?」

「違うと思うッスけど……」

 カトラとははぐれていて、今どこにいるのかも知らない。

 グラッチェが言っていた「8」の残党の仕業だろうか?


 守衛も意識を失っているし、門は跡形も無い。

 野次馬達も流石にこれには戦々恐々していて、遠目から見守っているだけだ。

「引き返すべきだ。分かるだろ?」

「…………いいからさっさと進んでくれッス」

「危険だ」

「危険は承知ッス。この跡は目的があって破壊した跡だから、闇雲に撃ってはこないッスよ。……たぶん」

 野次馬達を尻目に、ククリはグラッチェを連れてさっさと進んだ。


 中にいたのは、カトラと、どこか見覚えのある男だった。

「――――よう。まさかナタを連れて奴隷倉庫から逃げたのが、お前だったとはな」

 血だらけのダークスーツを着たその男が誰か、ククリは咄嗟には分からなかった。

 だが少しして、ピンときた。

「ギンドロ?」

 たった一度だけ、賭博場で会ったことがある男。

「お前らと共同戦線を取ることにした。よろしくな」

「? ああ……」

 





 何も知らないククリと、全て知っているギンドロ。

 二人の握手を見ながら、カトラは嵐になるだろうな、と思った。

 思い人に人体実験した組織の幹部だ。一悶着あるに決まってる。カトラはそう考えた。

 だが、ギンドロは違う。カトラと違い、僅かな付き合い、殆ど顔を知っている程度の間柄だとしても、分かることはある。

 万事うまくいくと、ギンドロは直感していた。

 

 二人の考えなど知らずに、グラッチェは逃げること、そして相棒のワイバーン、ライが無事かどうかだけを考えている。


 そしてククリは――――参を警戒し、今は他に何も考えていなかった。 


最近、説明会多いなぁ、と思うんだけど、もちょっとどうにかならんかなぁ。前は説明会が書いてて楽しかったけど、今はバトルとか、心理描写の方が書いてて楽しい。ふつーに場所変えずにキッカん家爆破してバトル展開しとくべきだったかもしれん。

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