五章05 難敵達Ⅲ
今回は短めです。
戦闘で倒壊した廃ビルから少し行った所にある路地裏で、ホロハロは意識を取り戻した。
「お前……急に強くなりすぎじゃないか?」
少しだけ口から血を吐きながら、ホロハロが呻くように言った。
「あざッス。ま、今回は俺の勝ちッスね」
「ぬかせ。……まぁ、カード差があったとはいえ、こっちは奇襲したうえに二対一だ。負けを認めてやる。……すぐに追いつくがな」
「同じく。私とホロハロは最強タッグですから」
「俺だってナタを取り返してタッグ再結成するし、これからもガンガン成長していくッスから、絶対追いつかせません」
「言ってろ」
そう言ってホロハロは笑みを浮かべた。それから、ノノンに意味ありげな視線を送った。ノノンは頷き、ポケットを探ってカードを一枚取り出した。
「これをどうぞ」
それは、ノノン達が愛用している「広域バリアC」のカードだった。
「対象を銃弾から守ってくれるます。ただし、一度破壊されるとしばらく使えないので注意が必要ですよ」
「……いいンスか? こんな大事なカード」
「当たり前だ。お前は勝ったんだ、先輩として、何か譲ってやらねばこっちのプライドが傷つく」
「かまいません。私達はバリアに頼りすぎるきらいがあったので、また一から出直すつもりです。だから、いりません。あげます」
そう言って、ノノンは半ば無理矢理カードをククリに渡した。
「負けたら譲ろうと話していたんだがな。……冗談だったんだが、まさか本当に譲るハメになるとは」
「……ありがとうございます」
ククリが頭を下げると、ホロハロはしっし、とククリを追い払うように手を振った。
「さっさといけ。指名手配犯と仲良く会話しているとバレたら面倒だ」
「ああ……そうッスよね」
ククリはもう一度お礼を言ってから、周囲を確認し、素早く路地を駆けて行った。
「あいつ、ナタを取り戻せると思うか?」
「普通に考えたら無理だと思う。……あの子、ちょっと普通じゃ無いけど」
「ちょっとか?」
ホロハロは笑うと、急にまじめな顔になってぽつりと呟いた。
「……俺達もまだまだだな」
「…………」
ノノンは無言でホロハロを引っ張り上げると、肩を担いで歩き出した。
「そうですね。だからこそ面白いです。私達、きっともっともっと強くなれますよ」
ノノンの言葉に、ホロハロはニヤッと笑った。
「そういう前向きすぎる言葉、好きじゃ無いが……今回は、悪くないな」
ホロハロの笑みにつられて、ノノンも笑う。
「でしょう?」
「さてどうしたものッスかね」
ククリは悩んだ。
カトラはどこにもいない。どんな目的であれ、誰かに連れて行かれたのだ。
情報が欲しい。それだけじゃない。
俺の目的は、ダタン帝国の首都No.0に向かいナタを取り戻すこと。なら、ここにいるだけではダメだ。
「カトラを連れて行ったのは……もし人攫いなら、今頃臓器売買人か奴隷商のトコロッスかね。だけど、カトラの戦闘能力は高いし、いくら転落直後で怪我をしていたとしても、そうそう後れを取るとは思えないッスけど」
カトラについての情報が欲しい。首都に行く足が欲しい。
「…………」
ククリはため息を吐いた。
悩んだところで、ククリにはこの町で頼れる相手は一人しか思い当たらない。
一先ずそこに向かおうとして……悪魔の如き考えが、ククリの脳内を稲妻の如く迸り、駆け巡った。
ククリは思わず笑った。
「復讐だな、これは」




