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地獄から

俺死んだ。


成美、俺はどうしょうもないろくでもない男だ。


だから死んで地獄にいくってのも仕方ないと思う。


思うけど、お前と出会ったことで


俺はまだ死にたくなんかなかったんだよ。

俺は本当に死んだのか?



確か、あいつから逃げていた。



必死に走っていただけなんだ。



目の前には小さな小川が流れている。


そこに不釣り合いな赤い橋。


これって、まさか俗に言う「三途の川」?


って、やっぱり俺は死んだのか?



周りは結構薄暗くて誰もいない。


普通、死んだ人が手招きとかするんじゃなかったっけ?


いやいや、普通ってなんだよ。


普通じゃないこの状況で普通とか言ってる俺はだいぶいかれてる。


そもそも死んだこと受け入れてんのかよ俺。



いや、まてよ。


夢オチってのもありえるよな。



左の頬を軽く叩いた。


うん、痛くない。



いやいや、死んでるならそもそも痛くないだろ俺。



あー!全く状況が把握できねぇ。



とりあえず渡ってみるか?この赤い橋。



橋の前に


このはしを渡るべからずとか書いてないよな?


一休かよ。


頭が混乱する。



俺、ろくな人生送ってないんだよな。


最後に殺人とかやっちまってるから


この先は地獄ってやつなんだろうな。



生きていても仕方ないと思ってたんだ。



1年前までは・・・



成美と出会う前までは・・・





ー1年前ー



「嵐、お前何ボーッとしてんだよ!」


高校からの仲間といつも集まってはエロ本みたりエロ本みたりエロ本みたりたまにエーブイみたりしていた。


俺はそんな日常にも飽きて、ただぼんやりと生きていた。


「嵐、お前女どーした?最近付き合いすげぇいいじゃん。前までは女が女がって言ってやりまくりだったろ?」



仲間の一人の剛士が何故かバナナを食いながら、興味もないくせにきいてきた。



「あー、女?めんどくせぇよ。やるだけなら、それだけの女でいいわ俺。好きになる的なもん全くわかんねぇもん。」



そう、俺は本当に恋愛なんか意味不明と思っていた。



「だよなー。でもさ好きな彼女ってのもいーじゃん。結婚とかしちゃったりして、ガキとかつくってさ。」



「剛士はあれだな、なんか乙女だな」



「乙女?乙女ってなんだよ。乙女って。まぁ、実際いないもんだよな。」



そうそう。いたとしても俺には不釣り合いだろ。


ろくでもない人生なんだし。こんな俺を好きだなんて信じらんねぇ。



その帰り道に俺は成美と出会った。



「あの、すいません」



後ろから走ってくる女。


どう見てもさっき寄ったコンビニの店員。


制服でわかるわ。



「え?おれ?」



「はい、ハァハァ・・・あの、これ・・・」



そう言って渡されたのは1円。



「は?1円?」



「すいません、おつり1円渡し忘れてしまって。」



1円のために全力疾走かよ。



なんか、おかしくて笑ってしまった。



彼女は少しだけ笑って


またお待ちしてます。と言ってお店に戻っていった。



それから、なんとなくそのコンビニに行くことが増えて


少しだけ彼女と話すようになったんだ。







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