前世・証券マン27歳時 プロローグの1
初めての投稿です。多めに見てやって下さい。
ここは東京の兜町。
もう大抵の人なら知っている証券取引のメッカ。株取引に心を奪われたものにとっては聖地みたいなものか。
おっと自己紹介。俺の名前は笹島幸次。まあ、この物語じゃ、この名前はもうすぐ意味をなさなくなるんだがな。
それなりの大学を卒業して証券会社に就職する27歳の証券営業マン。証券会社なんて、今じゃそれなりに見られるが、俺のオヤジなんか株屋になんか務めやがって・・・・と、こうだ。
だいたい、証券会社ってのは、企業の株、つまり、その企業の権利みたいなものを売り買いする仲介屋だ。
この株って奴は、その企業の業績がいいと、値上がりするし、業績が悪いと急に値下がりすることもある。だから、儲かりそうな企業の株を買って、値上がりを待って、値上がりしたところでそれを売って、もうけを取るってのが株取引。これは一種の博打だ。
悪い言い方では「俺、株やってんだ。」とか「株に手を出してんだよね。」なんて言い方も結構出回る。
今じゃネットで取引をするぐらいだし、俺たち営業マンはもうネットやらないお客や、大口回るしかなくなっている。
証券会社はその売り買いの手数料でナンボの商売なんだから、株を買ってもらわないことには商売にならない。そのために必死でこっちは資料作ったり、買ってもらうために算段したり・・・・
ってなことで、証券会社の営業マンは猛烈に忙しい。
昨日は大口のお得意様との商談で、なんやかんやで終電ぎりぎり。
俺なんか、会社から通勤時間1時間30分で、睡眠時間なんか5時間取れればいいほう。
朝飯なんか、入社してこの方、駅のホームの売店でサンドイッチかドッグパンしか食った記憶がない。
立ち食いそばすすっている奴らなんて羨ましい。ホント。
さて、満員電車と地下鉄に揺られ、本来の出勤時間は8:50なのに8:00で、仕事についているのは遅い方。大半の奴は出勤してきている。
がんばるやつは、徹夜で資料作りに励んでいたりする。
まあ、そうまでしないと生き残っていけないのがこの証券会社。おれも27歳だから、もう先輩社員の奴隷のような生活から抜け出ることができそうな予感はしてきた感じだ。
なんとか今日も8:00には会社につけそうだ。とりあえず、スクランブル交差点が青信号に切り替わると、競歩のような歩き方で会社目がけて歩き出す。が・・・・
なんだ。このめまいは。妙に足元がぐら付く。
と、目の前には暴走した自動車が・・・・