再会
名護屋での片付けを終え、無事京都に着いた。知らせが一つも来なくて少し安心してたところ、
「直江兼続様が先日、来ておられましたよ。」
と、屋敷内で声を家臣に掛けられた。
「兼続殿はまだ滞在してるのか。」
勢いよくそう言うと、その家臣は少し引き気味に、はい、と返してきた。私は兼続殿と会って話がしたい。そんな気持ちが兼続殿に私を向かわせた。
「国替えのときはお世話になった。」
そう切り出したのは兼続だった。
直江山城守兼続、豊臣秀吉から「天下の仕置きを任せられる」と言われた名陪臣である。石田三成とは豊臣秀吉と上杉景勝が落水城で会見した際に出会ったといわれ、同い年で共通点(低い身分からの出世など)が多かったためか、二人は親しい間柄となった。
上杉家が越後から会津へ国替えする際、三成も手伝ったという。
「いえいえ、そんな。無事に終わって何よりです。」
「でも、佐渡島の件はあなたのおかげだ。」
「ただ関白殿に言っただけですよ...。」
沈黙。不意に三成から小さなため息が出た。
「どうかしたのか。」
兼続が心配そうに聞くと
「いや...なんでもない。名護屋帰りの疲れが、な。」
ハハハ...、と三成は小さく笑った。