涙はウルトラ高張液
「問題だよご主人、あなたの流した一筋の涙には何千人の邪神がいるでしょう?」
ストーブをエラーにし、とりあえず泣こうとすれば素直に泣けるほどだった。……かなり塩分の入った高張液(のちにちゃんと調べると等張液)だろうな、と思うぐらいには元気はあるものの、明日の模試の結果は見えている。
少なくとも千人はいるらしい邪神様の親分が飄々と飛び回る。そして答えを待っているらしい。
しかたなく、てきとうに答える。
「千人」
「……うーんあんまりストレスを発散できてない感じー?正解は【あなたが思った人数】さ。元からあまり溜め込んでないならそれがいいけど。」
くだらない、とはっきりと言う。どうせなら普通の神様が涙から出て来て欲しかったものだ。……とはいえ、不愉快さの中にもほぐされるような愉快さも感じた。
この時に……と自分でも呆れ、それを悟ったのか、心から呆れているような顔を某はする。
「……あのねー本当は突っ込んで欲しかったのよ。邪神様は一人に億人くらいもつく程わらわらとはいない。君、さっきから『武士よろしく上手く腹切ろう』とか『今なら火だるまになれる』とかばっか考えてるじゃん。だから一大事だと思ったから出てきた(この前もだったけど)。俺は君が何年も持ってる寺でもらったお守りにくっついてきた普通の神様だよ、下っ端だけど。」
すると、急に偉そうにソファーに腰掛け、短い脚を組む。私を指してガヤガヤと言う。
「確かに、俺を大事にしてるけど信用してないよね?こないだは法隆寺に行って紫のお守り買ったでしょ!そりゃあ、だいたいの点数は君しだいだよ。でも、腹下しとかが起こらないようにするのは俺たちの仕事だから。」
それからも説教は続き、言われた事をまとめる。その神が言うにはそもそも、【いたみ】というのは、簡単に死なせないために昔の偉い神様たちが反対を押し切って作ったという説が神の間では有力だ(本当か)。【なみだ】も神様が作ったのだが、億千万もの【いたみ】や【苦労】を柔らかな水にして流すものらしい。後、受験の二ヶ月前に死のうとする人は稀だとも言われた。
くどくどと、説教された後
「あああ、もうすぐ十二時。十二時になる前に寝ないと起きれない。もちろん君を見守るんだよ。」
バカみたいにお守りの入ったリュックに足を突っ込もうとする。そして、子供のような笑顔で
「そうだね、億千万を千で引いた残りの邪神は春に流せたらいいね。」
と、言い消えた。なんとも他力本願なセリフだった。
……さて、勉強に戻らないと。
はじめまして、momokoと言います。
……えーと、明日模試です。早く寝なければ(汗)
過去問で死にたくなるのは主人公と同じで、死にたくなったから今こうして書いてます。本当、センター数学の答えの穴埋めは穴の数どおりに答えがなったら自信持てますが、そうでなかったら……はい、負けない。
では、閲覧ありがとうございました。