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藤堂さん

挿絵(By みてみん)



 夢幻世界の住人、藤堂さん。


 3.0の視力と20000Hzの高周波まで余裕で聞き分ける聴力を持つ超感覚の持ち主。感性が鋭く、絵や音楽や彫刻などの芸術を何よりも愛する風流人。頭がよく常識もあるのだが人と違う世界を持っているようで、物を見る視点が少し変わっている。


 美術館を廻るのが趣味。夢を見る少女のような眼差しで館内をフラフラと周っては至福のときを過ごしている。また、蒐集家としての一面もあり、別宅をフランスにおいて屋敷内に美術品を並べている。が、一定期間をおいたら必ずモノを手放してしまう。本人曰く、『芸術は個人によって所有されるべきものではない』から。


 闇オクにて篠原さん一家を手に入れる。当初はただ興味本位で見物するだけのつもりだった。篠原さん一家の剥製が、自分と同じ日本人の作品だと知って藤堂さんは愕然とする。中国人の人体加工作品は腐るほど見て来たが、日本人の身体を使って日本人が作った品を見たのはそのときが初めてだった。


 出品者の剥製技士・齋藤さん自身が制作した作品だと後でわかり、藤堂さんは齋藤さんに直接の挨拶に出向く。出会い頭に齋藤さんの手を両手で握り締めると、彼は一筋の涙を流した。


「日本人が日本文化に拠らずにひとつの芸術品を作り上げることは、セラミックの包丁が限界だと思っていた。ありがとう。本当に嬉しい。今日ほど自分が日本人であることを誇らしく思った日はない。本当にありがとう」


 その後、藤堂さんは篠原さん一家を極秘裏にルーブル美術館に寄与することになる。一番安全で格調高く、その作品にふさわしい場所がそこなのだと藤堂さんは信じていた。


 彼は時折この美術館に通っては、地下の宝物庫に眠る篠原さん一家を想う。夢を見ているような足取りでふらりふらりと館内を漂っている藤堂さんの姿はまるで現実感が無いため、空想世界の住人のようだと噂された。



私は芸術方面に疎いので藤堂さんの科白は嘘っぱちです。

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