第二章 ここはゲームの中!?
真っ暗で何も見えない。
「えええええ!いったいなんなんだよ!」あまりに突然の出来事につい叫んでしまった。
かなり大きな声で叫んだのに、全く響かない。声は周りの空気に吸い込まれるように消え、跳ね返ってこない。まっくらで何も見えないが、どうやらかなり大きな場所らしい。
おれはさっきまで自分の部屋にいた。そして、夜中に送られてきた、、、というよりもいつの間にか郵便受けに出現していた”あのゲーム”を始めた、と思ったのに…気づいたらこの状況。
あまりの出来事に呆然としていると、突然目の前に大きな白い文字が現れた。
「ようこそ、ゲームの世界へ」
機械で作ったような無機質な音声が、突然現れた文字をなぞるように読み上げていく。
「ここはゲームの世界です。これからあなたはゲームの中で、あるミッションを成し遂げなければなりません。あなたがたプレイヤーには、パートナーが与えられます。パートナーと協力し合い、ミッションを成し遂げてください。それでは、頑張ってください。」
無機質な音声が終わると、文字がどんどん白く輝きだした。あまりのまぶしさに目を閉じる。
「コンニチハ!」
目を開けると明るい日差しが降り注ぐ草原に立っていた。
「コンニチハ!」
機械的な声が聞こえるが、周りを見ても一面草原だ。ずっと遠くにうっすらと山並みが見える。
「オイ!ムシすんな!」
足元を見てみると、ソフトボールくらいの大きさの真っ黒い物体が、草の上にふよふよと浮かんでいる。声はどうやらその黒い玉から聞こえてくるようだ。
「オレがオマエのパートナーだ。クロマルって呼んでくれ!」
その黒い玉は俺の目の高さまで浮かんでくると、機械的な声でそう言った。
黒い玉は俺の周りをくるくる回りながら機械的な声で言った。
「オマエ、いつまでソコでボーッとしてるんだ?」
「オイコラ!ムシすんじゃねえ!」ゴンッ!!
黒い玉が頭にぶつかってきた。
「いってえよ!!なんなんだよ!なんなんだよ!!」
「オ、やっとシャベッたな。そんなにコウフンしてどうしたんだ?」
「どうしたんだじゃねえだろ!ここはどこだよ!てかお前はなんだよ!てかもうどうなってんだよ!」
「ココはチュウオウ草原、オレはオマエのパートナーのクロマルだ。オマエはちょっとオチツケ。」
一体どうなってんだよ。さっきまで自分の部屋にいたはずなのに、部屋がいきなり真っ暗な場所に変わって、今度は草原だと!?その上、変な黒い玉は話しかけてくるし…もうわけわかんねえよ!
「落ち着けるわけねえだろ!俺はさっきまで部屋にいてゲームをやろうとしてたのに、一体どうして突然こんな草原にたってんだよ!」
「ナンにもヘンじゃねーよ。ココはそのゲームの中なんだから。」
ちょっとまて落ち着け。ここがゲームの中だと?あのゲームが本当にやばいゲームで、おれがそのゲームの世界に吸い込まれたってことか?いやいや、何ばかなこと考えてんだよ。ゲームの中に吸い込まれるなんて、そんなことあるわけ…。でも、確かにそう考えれば全部うまく説明がつくよな。ゲームをしたら吸い込まれるってことは、もとの世界からは消えてしまう。つまり噂通り行方不明ってわけだ。それにおれがこの変な世界に来る前もゲームを起動させたところだったわけで…。
「わかった。ここがあの妙なゲームの中だとして、どうやってもとの世界に戻るんだ?」
「ココに来るマエに、ブラックルームで説明がナカッタか?」
「あの真っ黒い部屋のことか?よく覚えてねーけど、ミッションがどうのとか…。」
「そう、ソレだ。そのミッションをクリアすればもとのセカイに戻れるらしいゼ」
「そのミッションって、おれは何をすればいいんだ?てかお前、”らしい”ってなんだよ!おまえもわかってねえのかよ!」
「イマのトコロ、まだミッションを達成したヤツはいないからナ。そんでもって、そのミッションがナニかを探すのもミッションのうちなんダ。マア、これからどうすればイイかチョット説明してヤル」
この黒い玉、”クロマル”によると、このゲームの世界は5年くらい前から始まったらしい。この世界の時間はもとの世界とズレていて、こっちで5年過ごすと元の世界では半年くらいしか経っていないそうだ。クロマルみたいに、元々ゲームの世界にいる奴らのことをインヒビタント、俺みたいに外の世界からきた奴らのことをプレイヤーと呼ぶ。インヒビタントにはとんでもなくいろんな種類があるが、プレイヤーは基本的にみんなミッションをこなすことを目的としている。ミッションをこなせば元の世界に帰れるらしい。
「まあ話はわかった。とにかく、そのミッションってやつをこなせばいいわけだな。」
「そういうコト。」
「だけどそのミッションが何なのかもわからないと。」
「ウンウン。」
「そうかそうか…って、アホか!!ミッションが何か分かんねえのにどうやってミッションこなすっていうんだよ!」
「そんなコト、オレにイワれても…」
何はともあれ、こんなところで文句を言っていてもしょうがない。クロマルによれば、この世界にはインヒビタントによって作られた街がたくさんあるらしい。まずはここから一番近い、”始まりの街、スタリントン”へ向かうことにした。
まったく、どうなることやら…。




