まきばアタック!
部活が終わって、俺は一人で教室に戻った。万希葉に呼び出されたからだ。昼休みにクレペリン検査の話をしてたら怒らせちまったっぽい。今回はその制裁を受けるハメになりそうだ。ぶっちゃけ逃げたいけど、逃げたらタマ蹴りがキンタマスカットになっちまいそうだからしょうがない。
「ごめーん! 待ったー!?」
開けっぱの教室後方の出入口から執行官の登場だ。俺は思わず両手でタマタマを防御した。
「全っ然待ってないぞ。むしろ逃れられるなら来なくても良かったくらいだ」
「なによ変なトコ押さえて。私が暴力奮うとでも思ってんの?」
「それ以外何があるってんだよ。そりゃ、クレペリンの出来栄えで万希葉をコンピューター呼ばわりしたのは悪かったけどよ」
「ああ、アレ? 別に気にしてないわよ」
なんだ、気にしてねぇのか。良かった良かった。
「じゃあ用件は?」
そろそろ夕暮れ。陽の光が教室の窓を抜けて眩しい。
「お礼、してないなぁって思って…」
「お礼?」
神たる俺がこの世に君臨してることに対してのか?
「ストーカー退治の」
「あれはGKB10000の手柄だ。みんなで昆虫ゼリー買ったし、あんなカス野郎なんかさっさと忘れちまえよ」
実際、俺はクソの役にも立たないどころか犯人を逆上させて事態を悪化させちまったし、礼をされる義理はない。
「うん、忘れる。忘れたいから、お礼させて?」
「おいおい、言ってる意味がわかんねぇぞ?」
「じゃあ言い方を変える。今日はねっぷの言うことなんでも聞くから、代わりに私のトラウマを消し去って?」
「そうか、だがあんだけの出来事を記憶から消し去るとなると、相当衝撃的なことをしないとな」
「例えば?」
「そうだな~、エロいこととか? 俺がグイグイ攻めて万希葉に衝撃を与えれば、トラウマも吹っ飛ぶってもんだ」
俺が言うと、万希葉は頬を赤らめて戸惑った様子を見せた。おいおい、さては万希葉のヤツ、妄想しやがったな? まったく、エロいネコちゃんめ。
「そう、かな?」
だが、不安そうに俺を見上げる万希葉は、ちょっと可愛い。
「おう! 目には目を、衝撃には昇天をっていうだろ?」
「ふふっ、なにそれ、そんなの聞いたことないし」
口元に手を当て、夕陽をバックに微笑む万希葉は、まるで芸術作品だ。思えば中1の時、遠くで見てるだけだった学園アイドルが翌年には同じクラスになって、実はイジられキャラの残念なヤツだって知って、今こうして俺と二人で笑い合ってるのは、半ば奇跡だ。
「まあまあ見てろって! すぐ常識になるぜ!」
「楽しみにしてます♪」
「おう! 楽しみに待ってろよ?」
「うん…」
頷いた万希葉は、何か言いたげに口籠ってるように見える。
「あのね、ねっぷ…」
「どした?」
「せっかくだから、忘れさせてよ…」
いつになくモジモジする万希葉。うおっ、この仕草、地味に興奮するぜ…。
「忘れさせる? 何をだ?」
いや、何となくわかるけど、まさかガチ?
「もう、言わせないでよ。自分で言ったんでしょ?」
おいおいおい! 何ニヤニヤしてんだよ!? いつもの万希葉はどこ行った!? こんな状況、妄想はしても俺のリアルでは有り得ねえ。もしかして夢オチか!?
そんなこと考えてるうちに、万希葉は俺の右手を握り、持ち上げた。
!?
思わず目を逸らすと、中三本の指に温かくてやわらかい、ヌメリのある感触が…。
「へへっ、ねっぷの手、ゴツゴツしててオトコらしいね」
そう、万希葉は俺の指を咥えて優しく舐めたんだ。
おいおいおい! ちょっと待て待て待て! どうしたんだコイツ!?
「他にこうして欲しいトコ、ある?」
「他にって…。いや、ダイジョブだ。こんなとこでこんなことしてたら色々ヤバイだろ」
言うと、万希葉は半歩寄って密着し、俺を撫で始めた。胸の感触が柔らかくて、くすぐったい。
「こんなトコでこんなコト? そんなくどい言い回し、ねっぷらしくないよ?」
「んなこと言ったって、どうすりゃいいかわかんねぇんだよ…」
やべぇやべぇ、なんか変な汗かいてきたぞ!?
「へぇ、わかんないんだ。でも、カラダは正直だよ?」
「正直っておい、ドコ触ってんだよ…」
「ドコ? そんなこと言うなら、ねっぷも触れば良いじゃん。いつもみたいにさ、私を…」
「いまそれやったらお漏らししちまうぞ…」
「私はもう、しちゃってる…」
しちゃってるのかよ…。
耳にかかる生暖かい万希葉の吐息が更に興奮を誘う。
俺は万希葉にされるがまま、床に腰を下ろされた。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
全年齢対象作品ですので、表現は控えめとさせていただきましたm(__)m
次回、ガチで修羅場展開!




