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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
北海道での日常編2

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チューチューラブラブ

 よぉし! 今日は朝から気合い入れて麗ちゃんを笑わすぞ!


 いつも通り遅刻ギリギリに家を出た俺。いつもなら時間なんか気にしないでコンビニに寄ってマンガ本とか飲み物を買うところだが、夜更かししてたからそれは未明のうちに済ませていた。俺ってエライ!


 気温は13℃くらい。今朝はよく晴れて爽やかだな! こんな朝は華麗な演奏でみんなを笑顔にするぜ!


『トゥートゥータララララタータタートゥラララタッタッタッターラタラララ!!』


 俺はバッグからソプラノリコーダーを取り出し、華麗に演奏を始めた。曲は人気パンクバンド、マキシマム・ザ・ホルモンの『チューチュー ラブリー ムニムニ ムラムラ プリンプリン ボロンヌルル レロレロ』。俺のオススメの一曲だから、ぜひ聴いてみてくれ!


 迷惑そうな視線の矢を突き刺されながら軽快なスキップで猛進してると、並んで歩く麗ちゃんと見知さんの後ろ姿を捉えた。


「グッモーニン! 今日も爽やかな朝だな!」


「おはよう」


 麗ちゃん、挨拶の時に微笑むようになったな! 何気にグッとくるぜ!


「グッモーニンねっぷ。キミのリコーダー演奏がなければ爽やかな朝だったよ」


「なんだと!? アレは見知さんも麗ちゃんも、みんなを笑顔にするためのパフォーマンスだぞ!」


「ああ、そういうことかい…」


 見知さんは納得したけど、麗ちゃんはポカンとしてる。その後、俺は麗ちゃんに駄洒落を言って笑わせようとしたけど、なんだか困惑させちまったっぽい。今日のところは無理に笑わせるのはやめとこう。


 ◇◇◇


 夜更かしと時間割が苦手科目だったせいで午前中は眠って過ごしたからいつの間にか昼休みになっちまった!


 伏せていた頭を上げると、何やら後頭部に載っていたと思しき横長の紙がひらりと床に落ちた。あぁ、あれだ。4月にやったクレペリン検査の紙が返ってきたのか。とりあえず結果を確認して机の教科書ラックに仕舞う。


「おいおいねっぷ、流石にやべぇんじゃねぇか?」


 居眠りの神たる俺を勇は心配してくれてるみたいだ。


「確かに進学はヤバイ。だが神たる俺はクレペリン検査の成績が素晴らしいから大丈夫だ」


 高校生以上の諸君なら知ってるかもしんねぇけど、クレペリン検査ってのは横116列、縦34列の数字が並んでて、横並びの数字と数字の間の数を足し算して性格とか職業適性を調べる検査だ。


 例えば4と5が隣り合ってたら、その間には9って書く。5と7が隣り合ってたら12になるけど、書くのは下1ケタの2だけ。1分経ったら検査官かテープが『はい、次』って合図をする。そしたら下の列の左端に移動して、そこから同じように足し算を繰り返す。これを15分ずつ、途中5分の休憩をはさんで計30分やる。


 縦が34列、中間の17列目と18列目の間にセンターラインがあって、後半はセンターラインのすぐ下から始めるから、通常は前半、後半でそれぞれ2行ずつ余る。それは1分間で116列を制覇して次の行に移ったスパコンみたいな脳ミソのヤツのために用意した予備列だ。他の事情もあるかもしんねぇけど気にすんな。


 とにかく、クレペリン検査では足し算を繰り返すだけの単純な作業に耐えられるか、根性を試されるぜ。これから高校に進学する諸君は進学先で遭遇するかもしんねぇから覚悟しとけ!


「作業量どんくらいよ?」


「ハッハッハッ! 聞いて驚け! 過半数超えの63だ!」


 お勉強が苦手な俺は、ここぞとばかりに胸を張って自慢してやった。


「最低だと?」


 そうそう、クレペリン検査は1分間の足し算を繰り返すけど、人間だから作業量には当然誤差が生じる。俺の作業量は最高63だから、1秒で1問以上の足し算をこなしてるぜ!


「10くらいじゃね? まぁ気にすんな! 俺はやればデキる男だってのを63という数値が証明してるからな!」


「そうか。でも残念ながら、これじゃどの業界も無理だな。それにねっぷ、検査中に欠伸あくびしてたよな」


「欠伸がなんだ。俺はやればデキるんだ。そういう勇はどんくらいなんだ?」


「最低57、最高90くらいだな」


「なっ、なにいいいいいいっ!? なんてこった! おい静香と萌香! 二人ともどんくらいだ!?」


 万希葉の席を囲んでランチしてる二人に訊いてみた。ちなみに萌香は隣のクラス、2組だ。


「仲間を求めるような目でアタシらを見るな~。アタシは最低37で最高は65だ」


「私は最低42で~、最高は70くらいかな~。ねぇねぇ、マッキーはクレペリンどんくらい?」


「おいおい萌香~、コンピューターに訊いてもしょうがねぇだろ~」


「はっ!? なによ失礼ね! 私は最低72で最高は110よ」


「ほら、やっぱコンピューターじゃねぇか」


「ねっぷ、部活の後、話があるから教室で待ってて」


 やべ、万希葉のヤツ、ガチなツラしてやがる。怒らせちまったか。こりゃタマタマ蹴られるかもしんねぇから手で防御する準備をしておこう。


「お、おぅ…」


 万希葉に死刑宣告をされたところで、どっかに行ってた麗ちゃんが教室に戻った。


 麗ちゃんの成績は最低57、最高96らしい。


 なんかみんな優秀だぜ…。


 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 今回のお話は『内田クレペリン検査 完全理解マニュアル』(土屋書店刊)という本を参考とさせていただきました。

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