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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
北海道での日常編2

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神の教えでネゴシエーション

 なんてこった。神が眠りし間に万希葉が人質に捕られてるではないか。さっきは隙を突かれて眠らされちまったが、地べたに倒れてヘドロ臭い俺にもうその手は通用しない。


 相変わらず萌香は眠ったまま。いつの間に新史さんと静香も倒れてやがる。それに、か弱い麗ちゃんや見知さん、勇も駆け付けてくれたようだ。三人は無事なようで良かった。


 さぁ、反撃開始だ。技は何にしようか。『神威アタック』のキックバージョンにするか、パンチバージョンにするか、それとも下半身を狙うゴールデンアタックを仕掛けるか。


「おい学校のゴミ、社会のクズ、動いたら俺の万希葉ちゃん、魂抜いて剥製にしてフィギュアみたいにお家に飾っちゃうよ? ほ~ら、これ、なんだと思う?」


 言って、黒装束がコートの左ポケットから出したのは、針が細い小さな注射器。中味はっと

少量でも致死する毒液だろう。


 コイツ、やっぱ同じ学校のヤツなんだな。


「へっ!? イヤ、そんなの絶対イヤ! 助けてねっぷー!!」


 震えていた万希葉の恐怖が加速して、黒装束の手中でじたばたもがくけど、敵わない。


「大丈夫だ万希葉! ぜってぇ助けるからな!!」


 威勢良く叫んでみたものの、どうすりゃいいんだかわかんなくて混乱しちまってる。きっと他のみんなも同じで、身体をウズウズさせながら歯を食い縛ってる。


「放せ…」


 足元から僅かに声が聞こえた。どうやら麻酔薬はそんなに長く効かないようだ。


「マッキーを放せっつってんだよ!! 私が身代わりになるから放せええええええ!!」


 目覚めた萌香の声はビルに反射して何度かこだまし、やがて沈黙が戻った。


「それはダメ!! 狙われたのは私なんだから、ルッツーが身代わりになる必要なんてない!!」


 震える万希葉は涙を散らして精一杯叫んでいる。


 許せねぇ、コイツ、ぜってぇ許せねぇ。


「はははっ、そうだ、その通りだ。俺はお前なんか興味ない。だが、勘違いしてないか? 俺は此処に居合わせた全員殺すつもりだぜ? 剥製にするか、ゴミとして棄てるかって雲泥の差はあるけどなぁ! はははははははっ! わーはっはっはっ! ぎゃあはっはっはっ!! 嗚呼、なんて滑稽なんだ、一人のためにみ~んな死んじゃう! 嗚呼、おかしいねぇ、理不尽だねぇ!! でもね、万希葉ちゃんが美しいのがいけないんだよ? 美しさは罪っていうでしょう」


 コイツ、完全にイカれてやがるぜ。


「テメェ好きなヤツ泣かせて何ふざけたこと言ってんだ!! 万希葉をどうにかしたいならテメェの力で振り向かせてみろってんだよ!! できねぇならスカートめくりしやがれ!! それでも不満ならケツパンパンしたりパイタッチしてみろ!! 意外と弾力あって張りのある感触がいいオカズになるぜ!!」


 ………。


 あれ? 俺がカッコイイこと言ったら微妙な空気になったぞ?


 ああ! アレだ! カッコ良すぎてみんな一瞬で俺に惚れたんだな! いやぁ、参ったなぁ! 神たる俺は迷える子羊を導くのも使命だからなぁ~。


「ちょっ!? な、何言ってんの!?」


「何って万希葉、欲求の満たし方を伝授してるんだ。これでみんなの命は救われる!」


「だからキサマはクズだというんだ!! 何故だ!! 何故キサマのようなクズが万希葉ちゃんに近寄るだけではなく、公衆の面前で手出しまでして、それでも良好な関係を築いているんだ!! 何故だ何故だ何故だああああああ!!」


 フッ…。コイツ、イカれてるだけじゃなくて相当バカだぜ …。よし、ここは神たる俺がなんやかんや万希葉と良好な関係を築いてる理由を伝授してやるぜ!!


「それはな、万希葉の顔色をちゃんと見ながらやってるからだ。他の女子に手出しする時もそうだが、マジで嫌がる時はやらねぇようにしてる。ただそれだけだ。女子にだって人格はあるし、ましてや男の欲求を満たす奴隷とかオモチャでもないんだ。それを踏まえた上で、最近ご無沙汰してるスキンシップを再開しようと思う。それでいいな? 万希葉、萌香、麗ちゃん!」


 まぁ、奴隷とかオモチャでも嫌がったら手出ししないけどな! 奴隷にも人格はあるし、オモチャにはソウルが篭ってるからな!


 俺は確認のため、三人に爽やかな笑顔を向けた。やべ、敵に背中を向けちまった! すぐに向き直らなきゃな!


「えっ!?」


「あははー。なんだそれー。それオッケーしたら私らただのビッチじゃん!」


「あ、あの、なんていうか、かっ、神威くんの考えは理解しました…」


「ほらな! みんな快諾してくれたぜ! 要は互いを認め合うのが大事なんだ!」


 よっしゃ! 俺の神業でこのまま一気に事件解決だ!!


 だが、この極悪人は神の教えに抗ったようだ。


「キサマああああああ!! よくもここまでナメてくれたなあああ!! くそっ!! こうなったら今すぐ全員ブッ殺してやるよ!!」


 黒装束は手を震わせながら万希葉の首筋に注射針を更に近付けた。


「いや、やだよ、死にたくない…。死にたくない!」


 最低だ、俺、黒装束の神経を逆撫でして、万希葉を泣かせた上に、命まで奪っちまうかもしんねぇ…。

  

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 更新日がズレてしまい失礼致しました。


 今回のお話は新青森駅のコインロッカー前にあるベンチで書き始めました。海風でメッチャ寒かったです。北海道より寒さを感じました。

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