どういう意味なんだ!?
木曜日。今日は新聞部の定休日。
放課後の教室には俺と勇、麗ちゃん、加えて麗ちゃんに用があるという見知さんが訪れたのだが、この二人、何やら奇妙なやり取りをしている。
「麗姫、今日の放課後、ねっぷの家に行ってくれないかい?」
麗ちゃんが来てくれるのは大歓迎だが、見知さんは先ず俺に話を通すべきではないのかと、神たる常識人は思うんだな。
「それは、業務命令ですか?」
無表情かつ淡々と問う麗ちゃんに、見知さんはツボにハマッたのかニヤリとした。
俺は麗ちゃんのネタにちょっとビビった。
「あぁ、業務命令さ」
言い終えたところで見知さんはドヤ顔になり、麗ちゃんをミタ。
「承知しました」
麗ちゃんは言った直後に少し俯き、表情が見えなかった。
うほーいっ!! なんだか良くわかんねぇけど麗ちゃんと二人きりだぜ!!
◇◇◇
「おじゃまします」
「いらっしゃいませー!!」
場所は移って俺の家。母チャンは仕事で留守。早速マイルームに麗ちゃんを招き入れた。
本来なら二人きりでいいムードになるところだが、いつも通りにエロ本が散乱している部屋ではそうはいかない。
かといって、急いで片付けたところで俺が大量のエロ本を所持してるのはバレてるし、開き直るしかない。
麗ちゃんは散乱したエロ本にチラチラ目を遣りながら、部屋の奥にある箪笥の方へ足元に注意して向かった。
「こんにちは、ごきぶりんちゃん」
麗ちゃんが挨拶をすると、ごきぶりんは細長い触角を上下にひょこひょこ動かして返事した。
「よしよし、ちゃんと挨拶できたな」
ごきぶりんは2本の触角をピンと上げて、バンザイのポーズを取った。
「ふふっ、ごきぶりんちゃん、すごいね」
うおおおおおおっ!!
優しく微笑みながらごきぶりんを誉める麗ちゃんに、俺は心臓を強く締め付けられた!!
「はははっ! そうだろ? 俺がバッチリ教育したからな!」
「そうなんだ。神威くんは周りを元気にする力があるから、きっとごきぶりんちゃんも元気に挨拶出来るようになったんだね」
「おぉ? 俺が周りを元気に?」
そりゃ初耳だな。神たる俺にはそんな能力もあったのか! さすが女神の麗ちゃん! 俺が気付かない事にも気付いてくれたぜ!
「うん」
何故か麗ちゃんは少し頬を赤らめている。
「私もね、神威くんに元気にしてもらったんだよ?」
上目遣いで照れ臭そうな笑顔の麗ちゃん。
くううう!! なんなんだこの独特の魅力は!?
でも…。
「俺が麗ちゃんを元気にした?」
正直、そんな覚えないんだが…。
「うん。一緒に雪まつりを取材しに行った時から、私の世界が変わったの。なんだかこう、少し自分らしさを出せるようになって…。それは間違いなく神威くんのおかげで、とても感謝しています」
俺は、麗ちゃんと一緒に水族館の動物たちを象った雪像を見た時を思い出した。あの時の麗ちゃんの弾けんばかりの笑顔が、俺を夢中にさせたんだ。
「そうだったのか。麗ちゃん、確かに前より明るくなったけど、それは麗ちゃん自身が俺とか周りの奴らに心を開くようになったからじゃねえかな」
俺は麗ちゃんに自信を持ってほしくて、笑顔を作ったみた。心からの作り笑いもあるってもんだ。
「う~ん、もしそうだとしても、心を開く切っ掛けをくれたのは神威くんだから」
「うおぉ、俺みたいな性欲の塊に嬉しいこと言ってくれるじゃねぇか。麗ちゃんは優しいよな」
「そんな、優しくなんか。それに、エッチなのは年頃だし、なんていうか、普通、なんじゃないかな?」
おお、さすが麗ちゃん、よく理解してるぜ。
「おいおいおいっ、公衆の面前でも平気でエロいことする俺に、二人っきりの部屋でそんなこと言うと、色々しちゃうぞ?」
麗ちゃんにこの手の冗談を言うのは初めてだが、困らせちまっただろうか。
「えっ!? わ、私と、したいの…?」
一瞬あわあわした麗ちゃんだが、あれ? なんかしおらしくなったぞ? おいおいおいおいおいおい!? これってどういう意味なんだ!?
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