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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
北海道での日常編2

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捜査開始だぜ!

「万希葉、今日の部活が終わったら、俺が尾行するから待ってろ」


 放課後の教室、俺は万希葉に尾行を宣言した。


「ストーカー、ねっぷだったの?」


 なぜだ、なぜ俺は他の人からジト目で見られるんだ!?


「ちげぇよ!」


 教室には俺と万希葉に麗ちゃんの三人だけ。ストーカー疑惑を強く否定したところで、麗ちゃんに聞かれるとヤバイ内容を告げるため、俺は席に掛けている万希葉の耳に口を近付けコソコソ言う。


「俺は今までストーカーなんかしないで堂々とスカートめくったりパイタッチしてきただろ」


「それはそれでどうかと思うけどね」


 万希葉は俺に耳打ちし返さず、そのまま口に出した。


「なに言ってんだよ。男はそういう生き物なんだ。あと、今日は麗ちゃんと一緒に尾行する。新聞部のジャーナリズムだかなんだかで万希葉を尾行して犯人を特定することになったんだ」


「麗ぁ、わざわざありがとね」


 礼を言う万希葉は、笑顔の中にどこか憂いを含んでいる。やっぱストーカー怖いんだな。


「あ、いえ、私なんかで力になれれば」


「おいおいおいっ! 俺とは随分扱いがちげぇな!」


「ねっぷもありがとね。感謝してる」


「お、おう。そうだろそうだろ?」


 な、なんだ、顔赤くして目ぇ逸らしたけど、素直じゃねぇか。調子狂うぜ。


 そこまで追い詰められてんのか。すぐ捕まえてやるからな!


 部活が終わった夕方、万希葉を尾行する前に水菜ちゃんも戻った新聞部一同と万希葉、静香、萌香とでストーカー対策用無線機の試験を行う。


 水菜ちゃんは万希葉がストーカー被害に遭っていると知って、ストーカー捕まえてロープで縛って顔面をガスバーナーで焙ってやります! って言ってた。俺の周囲は清楚な麗ちゃんを除いてワイルドな女子ばっかだぜ!


 無線機の機能についてだが、スマートフォンのような構造で、下部のボタンを押すと緊急事態発生の無線が発報され、半径20キロメートル以内に居る同じものを持った人が電波を受信し、ピピピピピッ! と、けたたましい着信音とバイブレーションが鳴動し、画面に発信場所が表示される。マナーモードや電源のオンオフ機能もあるが、基本的には電源を切らないようにする。


 無線発報と同時に、登録された被害者の位置情報がメールで送信されるため、被害者、この場合は万希葉の代わりに誰かが警察に通報可能となる。他に、万一無線機を携帯していない場合を考慮し、携帯電話にも送受信が可能だ。


 これからみんなで手分けして万希葉のストーカー探索とボディーガードを行う。


 俺と麗ちゃんはさっき言った通り万希葉を尾行、見知さんと新史さんは周囲に怪しい人物が居ないかパトロール。


 静香と萌香は万希葉と伴に行動するが、たまに敢えて万希葉から少し距離を置いて、怪しいヤツが居ないかチェックする。


 勇と水菜ちゃんは処刑台と拷問部屋を造るためにホームセンターで材料を集めるとか言ってたが、イイヤツも悪いヤツもどっちにも当て嵌まんないヤツも真似しちゃダメだぞ。ってか水菜ちゃんって、そんなキャラだったか? 勇を想うあまり毒されてないか?


 学校を出たら、麗ちゃんと一緒に万希葉の尾行開始!


 俺たちと万希葉たちの距離は約10メートル。いまのところ、万希葉は静香、萌香と一緒に大通りを札幌駅方面へ歩いている。しばらく歩くと、ら〜めん共和国やヨドバシカメラがあるビルに入った。腹が減ってるからラーメンでも食うのかと思って期待したら、ヨドバシカメラに用事があるようだ。音楽プレイヤーかケータイでも買うのだろうか。


 ここまでの間、麗ちゃんと一緒に周囲をよく見回しながら進んだが、特に怪しいヤツは居なかった。迷彩柄の服を着て道路に爆竹を投げたり、黒い衣装を着て魔法陣を描いて呪文を唱えてるヤツが居たが、きっとまだ俺みたいにオトナになりきれてないんだな!


 だが俺としてはそんなことより、物陰に隠れながら尾行する時、俺の背後に麗ちゃんが密着する形を採ったため、背中に伝わる柔らかい感触が気になって仕方なかった。


 さ〜て、ま〜きばちゃんは何処さ行くべした。


 おっと、ここで静香と萌香が万希葉から離れ、単独行動となった。ストーカーへの警戒レベルを上げなければ!


 万希葉は店内を目的があるように進む。俺たちは10メートルくらいの距離を保ったまま後を追う。万希葉が向かった先は音楽プレイヤーか、ケータイか!? はたまたパソコンとかタブレット端末か!?


 っておいっ!


「冷蔵庫かよっ!」


 あまりの意外性に思わず声を出してしまったが、店内のBGMや喧騒が掻き消してくれたっぽく、万希葉に俺のツッコミは届かなかったようだ。


「ふふっ、私も同じこと考えてた」


 右手を口に当ててクスクス笑う麗ちゃん。


「だろ!? アイツ主婦かよ!? オーブントースターとか調理器具ならなんとなく解るけど冷蔵庫とはな!」


「お家の冷蔵庫、調子悪いのかな?」


「いや、アレだな! 『まきば』だけに牧草がいっぱい入る、野菜室が広いヤツに買い替えようとしてるんだな!」


「ふふふっ、ヨーグルトとかもね!」


 良かったな麗ちゃん。こうやって普通に笑えるようになって。麗ちゃんって普段はポーカーフェイスだけど、本当は明るい子なんだよな!


「ちょっと、二人とも?」


 おやおや? 会話に夢中になっていると、目の前に万希葉ちゃんがいらっしゃるじゃないですか。しかも、なんかちょっとお怒りでいらっしゃる?


「あれ? いつからそこに?」


「だろ!? アイツ主婦かよ!? オーブントースターとか調理器具ならなんとなく解るけど冷蔵庫とはな! ってバカみたいにおっきい声出したから、それから来たのよ!」


「そうか」


 これ、アレだな。頭にシューティングスターのパターンだな!


「なに好き勝手言ってくれてんのよ!?」


 ドスッ!


「イテッ!」


 パコン!


「イタイッ!」


 万希葉の名前を駄洒落にした俺たちは、二人仲良く頭をド突かれた。頭の周りに星が飛び交うぜ…。


 結局、今日のところはストーカーの手掛かりは掴めなかったが、麗ちゃんとは少し仲良くなれたような…?

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 昨年の雪まつりを見に行った時、各店ともあまりにも行列が長くて『ら~めん共和国』での食事を諦めたのですが、屋台の味噌ラーメンも酒粕が入っててなまら美味かったです!

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