表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さつこい! 神威編  作者: おじぃ
修学旅行編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/69

神威ネットワーク

 うほーいっ! イクイク、じゃなくてイイクニ創ろう鎌倉幕府だぜ!


 俺たちは長谷はせ駅で江ノ電を降りて、長谷寺はせでらと鎌倉の大仏を見物した。大仏の中で『うほーいっ!』って雄叫びを上げたら、“やまびこ”とは比にならないくらいメッチャこだました。同行してるみんなも他の客も迷惑そうだったし、万希葉には側頭部を殴られて静香には腹を蹴られて、次はタマタマを蹴られそうになり、命と子孫の危機を感じたから、俺だけそそくさと脱出した。


 それから再び江ノ電に乗り、終点の鎌倉かまくら駅から商店街の小町こまち通りを歩き、鶴岡八幡宮つるがおかはちまんぐうを目指している。


 小町通りは普通の商店街というよりは、観光客向けの土産物を扱う店が多く、漬け物、煎餅、ソフトクリーム、はちみつ入りドリンクといった食品類を売る店や、庭付きの高級な蕎麦屋、ぬいぐるみやキーホルダー、陶磁器などの骨董品を扱う店など多岐に亘る。


 ってことで、俺は誘惑に負けて醤油がたっぷり塗られた海苔のり付き煎餅を頬張っている。焼きたてだからホットだし、バリバリ固くて香ばしいぜ! 俺に釣られてみんなも同じ煎餅を買った。


 小町通りを15分くらい掛けて抜け、鶴岡八幡宮に到着。高さ10メートルくらいはありそうな威風堂々とした鳥居の前はスクランブル交差点。


 敷地はメッチャ広く、お宮だけじゃなくて、飲食店や雑木林のような場所まである。俺たちはお賽銭を奉納し、願掛けをした。


 みんなで願い事をしている時に、俺は神様から見て目立つように物凄い音で鈴を鳴らした。


 恋よ実れ恋よ実れお金あげますエログラビアあげます…。


 願掛けを終えると、次は雑木林のような場所にあるベンチで一休み。そこにはタイワンリスがウジャウジャ居て、俺たちのすぐ目の前まで近寄って来る。


 麗ちゃんはリスの顔の前に人差し指を近付けると、1センチあるかないかの小さな手でギュッと握られ、指をペロペロされて嬉しそうな笑顔を見せた。うんうん、画になるぜ! 破壊力バツグンだ!


「いいな麗~、リスちゃんに好かれてるね~」


 麗ちゃんの左隣に座る万希葉が言った。


「そうなのかなぁ」


「さすが麗ちゃん! 優しさが滲み出てるからな!」


「えっ、そんな事、ないよ」


 麗ちゃんは謙虚だなぁ!


「そういえばねっぷ、賽銭箱に封筒入れてたわよね」


 万希葉に訊かれた。


「あぁ、あれか。中身は千円札とエロ本のスクラップだ。神様が喜ぶと思ってな!」


 これで鶴岡八幡宮の神様と俺は友達だ! これぞ奥義、『神威ネットワーク』だ!


「ちょっと! 神聖な場所で何してんのよ!?」


 万希葉は俺に対して非常識な輩に説教するような態度を取った。お前は俺の母チャンか!? そういや静香も万希葉にそんな事言ってたっけ。


「神様だって目の保養は必要だろ!?」


 まったく、男心がわからんヤツだな。けしからん。


 言っている間、俺の肩にリスが乗ってきた。


「あっ! ねっぷズルイ! 私もリスちゃん乗せたい!」


 無邪気な笑顔で俺を羨む万希葉。


 あぁ、麗ちゃんと万希葉は違う魅力があるんだよな。


「ハッハッハッ! 俺の神聖なオーラに惹かれて来やがったな!」


 このリスには神と女神を見分ける能力があるんだな!


 俺はさっきの麗ちゃんを真似て、リスに人差し指を差し出した。


 ガジッ!


「いーてええええええ!! 何すんだこの野郎!!」


 リスは俺の指に噛み付いて離れない! 振り払おうと手を振ったりリスにデコピンをして必死に抵抗するが、ビクともしない。くそっ、可愛い顔してなんなんだこん畜生!


「ははははっ! なにこれ超ウケる! ってかリスちゃん虐めないで。可哀相」


 なんで痛い目に遇ってる俺が怒られるんだ!?


 鶴岡八幡宮を出て、小町通りを戻り、鎌倉駅で広視さんやアロハさん、オハナさんとお別れした。


 三人とも、また会えるといいな!


 鎌倉駅からはJRの『エアポート成田』っていう成田なりた空港へ向かう横須賀の海と砂浜をイメージした青と肌色の帯を纏った電車に乗って、大船おおふな駅で降りた。大船では東海道線で茅ヶ崎へ戻る水菜ちゃんと暫しのお別れ。俺たちは駅ナカで芋を丸ごと一本使ったって思うくらいでっかいスイートポテトを買って根岸線に乗り、桜木町のホテルへ戻った。


 明日は日本一高いビル、ランドマークタワーの絶景を眺望し、いよいよ北海道へ帰る。


 いやぁ、充実した旅行だったぜ!


 だが、北海道に帰ったら油断ならん課題が待ち構えている。万希葉のストーカー問題だ。今は俺たちと一緒に行動してるから大丈夫だけど、帰ったら一人で出掛けるようになるだろう。近所の俺がなるべく傍に居たほうがいいな。


 見知さんには既に警報機の開発を依頼している。スイッチを押すと、登録された携帯電話に非常事態発生の報せが来るシステムだそうだ。


 ま、何があろうと俺が守るけどな!

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 大仏の胎内で「うほーいっ!」とか騒がれると迷惑です! あと、賽銭箱にエログラビアを入れるのはやめましょう!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ