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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
修学旅行編

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47/69

江ノ電っ、だああああああ!!

 湘南といえば古都鎌倉! かどうかは人それぞれだが、せっかくなので広視さん、アロハさん、オハナさんの三人にガイドしてもらうことになった。


 いや~、しかしあれだ! 烏帽子家を出る前に、万希葉にカラオケを披露してもらったのだが、超透き通る声だったぜ! 印象に残ったのは、神様に恋をすると悲しい別れが訪れる的な内容の歌だったけど、寧ろモテない神様にはぜひ恋をしていただきたい! 悲しい別れは神たる俺が阻止してやるぜ!


 とか思ったものの、俺のハートは二人の間で揺れてるわけで…。


 ってか、冷静に考えてみれば、俺が二人に好かれてるとは限らないよな。まっこと遺憾ながら女子にはモテないから。


 あ、俺って女子にはモテないけど、男子にはモテるのか? 男の深層心理を堂々と体言する俺は男子の憧れ的な存在とも成りるわけで…。


 俺はなんとなく勇を見る。


「なんだ?」


 勇が俺の視線に気付いたようだ。


「いや、なんでもない」


 男子にモテる俺って…。


『ねっぷ、実は俺、ねっぷが好きなんだ』


『おう勇! 親友なんだから俺も好きだぜ!』


『違う、そういう“好き”じゃないんだ』


 恋する乙女のように涙を浮かべながら俺を見る勇。


 ま、まさか、これは見知さんと一緒に行くアニメショップの隅の方に置いてあるあんな感じの展開か!?


『ま、待て! 早まるな!』


『早まる鼓動を抑えられないんだ! ハァ、ハァ、人生たまにはアブノーマルな展開もいいだろ?』


『いや、変態な俺でも性癖はノーマルだ! それに、勇には水菜ちゃんが居るだろ!』


『それでも俺はねっぷがいいんだ!  ハァ、もう我慢できない!!』


 息を荒げ、血眼で俺に襲い掛かる勇。


 うわあああああっ!! なんて力だ!! 必死に抵抗するも恐怖で逃げらんねぇ!! カンベンしてくれー!! ションベンちびりそうだ!!


「どうしたねっぷ、顔色悪いぞ」


 現実リアルの勇が、俺を異世界から呼び戻した。


「いや、無問題モーマンタイだ」


 ふぅ、危うく精神崩壊するトコだったぜ…。リアル勇、ありがとう!


 あぁもう、どうすりゃいいんだああああああ!!


 今は江ノ島駅からヨーロッパの路面電車みたいにシャレ乙な青い江ノ電に乗っている。場所はちょうどよくテレビに出る鎌倉高校前かまくらこうこうまえ駅を出た所で、国道134号線に沿いながらゆっくり走っている。クルマにどんどん抜かれるけどオーシャンビューが最高だぜ!


「江ノ電なんて久しぶりです! たまにはいいですね!」


 そうか! 水菜ちゃんは茅ヶ崎育ちだから江ノ電初めてじゃないんだな!


「だね~。私らなんかこの辺チャリでスピード出しながら走るけど、景色を楽しむのもいいよね」


 国道の幅は狭く、歩道は線路側にやっと一人歩けるスペースで、海側には無い。アロハさんが言ったように、自転車は車道の隅を他のクルマにぶつかったり、バイクに追い付かれないように、かなりスピードを出しながら走っている。


 おっ、いま右側を逆走してる制服着崩して茶髪とピアスのチャラそうな男子高校生が黒いベンツとぶつかった。バカなヤツだな。日本の乗り物は左側通行ってくらい俺だって知ってるぜ。あ、ベンツからグラサンで頭テカテカの黒いスーツ着たマッチョっぽいオッサン出て来た。なんか凄い剣幕だ。立て続けにイヤな事があったような感じっての?


 なんてのを確認出来るくらい電車はゆっくり走っている。


 ちなみに俺にはマイチャリがない。札幌の中心部に住んでいて、エロ本を買いに行ったりとか、大体の用事は徒歩で済ませられるし、雪が降ったり路面が凍結すると乗りにくくいからだ。


 ふと麗ちゃんを見ると、座席に腰掛けたまま後ろを向いて車窓を見ている。電車は空いていて全員座れるのだが、なんとなく男子は立席、女子は着席となった。俺は麗ちゃんと水菜ちゃんの間、勇は水菜ちゃんと万希葉の間、広視さんは静香の隣に座るアロハさん、オハナさんの間に立っている。


「麗ちゃん、今の事故、見てた?」


「うん」


「なんかあのオッサン、かなり機嫌悪そうじゃねぇ? なんかぶつけられた以外にも何かイヤな事があったんかな」


 麗ちゃんは刹那の間を置いて、躊躇いがちに口を開く。


「あのオジサン、さっきまで髪の毛があったの」


「ん?」


 俺は一瞬、麗ちゃんの言う事が理解出来なかった。


 バサッ!


 瞬間、突風が吹いて電車の窓にフサフサした黒い毛の束のようなものが当たった。


 俺は理解した。あぁ、なんて事だろう…。


「ハハッ、ハハハハハ…」


 苦笑するしかなかった。


「ふふふっ」


 釣られて麗ちゃんも右の拳を口に当てて微笑した。


 うおおおおおおっ!! 超可愛いぞおおおおおお!!


 それから暫く民家の間をゆっくり走り抜けた電車は、いくつかの駅に停まって、俺たちが最初に降りる長谷はせ駅に到着した。長谷寺はせでらとか有名な大仏の最寄駅だ。


 今日は修学旅行4日目の木曜日。とうとう明日は北海道に帰る。今のうちに観光とかお色気的な事も出来たら楽しむぞー!!


 気合いだ! 勇気だ! イチャラブだああああああ!!

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 オッサンの事情につきましては『麗編』の第48話『江ノ電の車窓から』にて公開しておりますので、よろしければご覧ください!

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