チャイナタウンハプニング! 神威編
うほーいっ! やって来たぜ横浜中華街! 神たる俺が先見の目でグリーン料金を出資したお陰で勇と水菜ちゃんがイイ雰囲気になったっぽいし、修学旅行万歳だな! そう、俺は2人のイチャラブ展開を予想してグリーン車に乗ったのさ!
さてさて中華街といえば食べ歩き! 早速名物の『シウマイ』を6個買ってみんなで食ってるぜ! これ、冷食のシウマイより2倍くらいデカイぞ!
「うおっ! さすが横浜! 肉がジューシーなのに脂がしつこくないぜ!」
デカくて美味いな! 1個200円もするけどな!
「高級な味だな」
「はい! 横浜は中華料理とかアイスクリームとかアパレルとか、色々高級です!」
横浜といえば、日本で初めてアイスクリームが伝来した街なんだよな。
「この調子で肉食いまくるぞ!」
「ちょっと静香、太るわよ?」
「歩けばカロリー消費するって!」
シウマイを食べ終えたら次は豚まんを買って食べながら歩く。これは1個400円だがコンビニの豚まんより1.5倍くらいデカイぜ!
「チョトチョト! ソコノイケテルオニサンオネサン!」
「俺のことか!?」
「アタシのことか!?」
俺と静香は建物と建物の間の薄暗い場所に座り込む中国人っぽいオッサンにイケてると言われて真っ先に反応した。
さすがオシャレタウン横浜! 北海道のファッションリーダーたる俺をスカウトってか!? ところで静香よ、女子だったらぶっちゃけ万希葉のほうがモデルみたいでシャレ乙な気がするが…。麗ちゃんは清楚系アイドルって感じだし、水菜ちゃんはグラドル向きっぽいし。あぁ、これは6人全員をスカウトしてるんだな! いやぁ困るなぁ! 去年、万希葉が渋谷のハチ公前でスカウトされたらしいがまさかこの俺がスカウトされるとはな!
「ソウネ! オニサンオネサン、ソラトンダブタマンホシイアル!?」
空飛んだ豚まん? 飛べる豚を豚まんにしたのか! 食ったらアイキャンフライ出来そうな気がするぜ! 飛べる豚はタダの豚じゃねぇぜ!
「「欲しいアルー!!」」
「ちょっと2人とも!? 空飛ぶ豚とか胡散臭過ぎでしょ!? この人、店構えてる訳じゃなさそうだし、腐った豚肉使ってるかもしれないわよ!?」
確かに万希葉の言う事は一理あるな。
「ごめんオッサン! やっぱやめとくわ!」
「わりぃな!」
言うと、オッサンはニコニコしながらササササササササッ!! と擦り足で俺と静香の耳元に駆け寄って肩をガッチリ捕まれてしまった。ヒソヒソ話をするつもりらしいが、凄い力で捕まれて肩が痛い。
「カワナイトテメェラノタマシイソラトブアル」
ひいいいいいいっ!?
なんだなんだなんなんだー!? 買わないと殺すってかー!? 相手は中国人っぽい。神たる俺でも少林寺拳法に対抗する自信はねぇ!!
バサッ!
ところが、たった今まで俺たちを捕まえていたオッサンが急に倒れ込んだ。急性心筋梗塞か? 救急車呼んでやろうか? ついでに警察も。
見回すと、何か物凄いものを見たかのように呆気に取られた様子の勇と万希葉に水菜ちゃん。それに何故か澄まし顔の麗ちゃん。
俺と静香は状況を理解出来ず、頭の上に『?』マークを浮かべていると、麗ちゃんがオッサンが居た建物と建物の間の薄暗い所へ入り、豚まんらしきものを1個拾ってきた。え? まさか万引き? 麗ちゃん、清楚な見かけと控えめな性格によらず大胆な犯行だぜ…。
麗ちゃんは豚まんを半分に割り、肉をよく見たりニオイを嗅いだりして中味を観察した。
「麗ちゃん、ニオイ嗅がない方が…」
俺は心配になって麗ちゃんに声を掛けた。もし毒でも入ってたら危険だ。
「これ、カラスの肉…」
「え? カラス? カラスってあの、ゴミ漁ったり空から奇襲してくるあの…」
「うん」
マジかよ!! オッサン、カラス食わせようとしてたのか!!
「F〇ーck!! このジジィ、アタシにカラス食わせようとしたってか!? イイ度胸じゃねぇか。昇天するか!? あぁ!?」
ナメたマネをされた静香はガチギレ。原因不明の気絶をして口から泡を噴いたオッサンの胸倉を掴んで前後に激しく揺さぶり始めた。
「オラオラオラー!! 早く土下座しねぇとテメェの魂ブッ飛ばすぞコラー!!」
おいおいガチでオッサンの魂ブッ飛ぶぞ。
「ちょっと静香!? やり過ぎると補導されちゃうわよ!?」
おいおい万希葉、やりすぎると補導じゃなくて殺人罪で逮捕だぞ!
「チッ…。今回は万希葉に免じてこんくらいでカンベンしてやんよ」
俺たちは静香の犯行を隠蔽するためにオッサンを建物と建物の間に引き摺り込み、生存確認をして逃亡した。
都会はデンジャラスだぜ…。
ご覧いただき本当にありがとうございます!
オッサンが倒れた経緯は『麗編』にてご確認いただけます。




