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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
修学旅行編

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23/69

金環日食だああああああ!!

 俺はビジネスホテルの狭い個室で一人シコリンピックをしてムラムラを解消してからぐっすり眠った。清純で(うるわ)しい麗ちゃんを妄想してたなんて本人にバレたら大変だ。


 朝7時20分。俺たちの学校の生徒はホテルに近い広い公園に来ていた。曇り空で見れるか心配だったが、太陽がヘンな感じに欠けてるぜ! 金環日食まであと15分くらいだな!


 しかし数分後、太陽はすっぽり雲に覆われた。


「おいおいおい! なんてこった! これじゃ金環日食見れないんじゃね? 俺この日のために毎日『はちみつきんかんのど飴』舐め続けてきたんだぞ!」


「残念だな。18年後のチャンスに賭けるしかないな」


 勇の言う通り、次に日本で金環日食が見られるのは18年後、西暦2030年の札幌市周辺。だがその日だって晴れるとは限らないし生きているとも限らない。


 ちくしょう、こんなんだったら麗ちゃん連れて種子島(たねがしま)行けば良かったな。


 ところがところがなんとななんとなんなんと7時32分、奇跡が起きたぜ!


「うほーいっ! 金環日食だああああああ!!」


 雲の合間にぽっかり開いた隙間から、月の漆黒を囲う金の()がお目見えだ! 確かピークは3分後の7時35分。これは俺や麗ちゃんの日頃の行いが良かったから天が奇跡を起こしてくれたんだな!


 いやいや待て待て、俺が神じゃないか! なら麗ちゃんは女神だな! 神たる俺と麗ちゃんは無敵だぜ!


 神々の力を思い知ったのか、勇、万希葉、静香も今回ばかりは俺の雄叫びに文句を言わず、少し開口して奇跡の空を見上げている。


 神たる俺でも流石に肉眼での観察は疲れたので学校側から配布された観察用グラスを使ってみた。


 おお、視界が緑だぜ。


「金環日食見れて良かったですね! 勇せんぱい!」


「ああ、良かったな」


「良かったな勇。恋人と一緒に金環日食なんて羨ましいぜ」


「って、なんで不入斗(いりやまず)がここに!?  ねっぷもなに違和感なくすんなり受け入れてんだよ!? それに恋人じゃないぞ」


 我らが新聞部のツインテ巨乳ロリータちゃん、水菜ちゃんの突然の登場に驚く勇。そういや水菜ちゃんは一年生だから修学旅行に同行してない筈だよな。


「バケツの水にボウフラが居るように、私の傍には勇せんぱいが居ます! 私を失った勇せんぱいは苦痛に悶えるんです!」


「おいおいそれじゃ俺がボウフラってことか! 俺は不入斗が居なくても苦痛はないぞ」


「いえいえ、今年の4月からは私が居ないと勇せんぱいはダメになりました! 貸切なので私は同乗できなかった飛行機の中での勇せんぱいは激しく苦痛に悶えた筈です!」


 そう言われて返す言葉もなく黙り込む勇。春休み、麗ちゃんに会えなかった俺が悶えたのと同じ現象だな!


「ていうか、学校はどうしたんだ」


 勇が問うた。まったく、そんな事気にすんなよ。愛と学校のどっちが大事なんてわかりきってるじゃねぇか。


「有給休暇です!」


「生徒にそんなもんあるか!」


「無断欠席です!」


「連絡しろよ! まだ始業前だから間に合うぞ!」


「しょうがないなぁ~。勇せんぱいがそう言うなら連絡します」


 水菜ちゃんはスマートフォンを取り出して学校に母方のおじいちゃんが危篤なのでお見舞いに行くと連絡をした。ちなみに母方のおじいちゃんは札幌に住んでいたけれど、10年以上前に亡くなったらしい。


 それにしても立派に夫婦(めおと)漫才が成立してるな! 俺も麗ちゃんと漫才したいぜ!


 水菜ちゃん曰く、家庭の事情で神奈川から北海道へ引っ越したために金環日食を見れなくなるのは不服なので、勇の修学旅行とは無関係に帰郷するつもりだったらしい。きゃぴきゃぴしたロリちゃんだけどなかなか根性あるな。


 ◇◇◇


 金環日食の観察と朝食を終え、俺たちはバスで東京を名乗りながら実は千葉県にある有名な大きい遊園地に移動し、六人で楽しく一日を過ごした。水菜ちゃんも後を追って電車で来たのだ。


 水菜ちゃんは神奈川の友達の家やホテルを転々とし、俺たち同様、金曜日に北海道へ戻るらしい。


 ◇◇◇


 昨日とは違う上野(うえの)のホテルへ向かう貸切バスで、幸運にも俺と麗ちゃんは隣の席になった。飛行機とは逆に、今度は麗ちゃんが窓側だ。


 やべぇ、緊張で口が乾き始めた。


「あぁ、なんか口寂しいな。金環日食の時に持ってた飴十個(じっこ)一気に舐めちまったんだよな~」


 麗ちゃんに緊張を悟られぬよう、俺は話題作りを兼ねた言い訳をした。


 でもさすがに一気に十個含むのはキツかったぜ。


「あの、良かったらどうぞ」


 麗ちゃんは小さな白い革の鞄から飴の入った袋から一個取り出した。


「うおっ、こ、これは!」


 な、なんたる必然だ!! はちみつきんかんのど飴じゃねぇか!!


 麗ちゃんが俺と同じ事を考えていたと周囲に知られたら彼女のプライドを侵してしまいそうなので小声で喋ろう。


「もしかして、う、麗ちゃんも…」


 麗ちゃんって呼ぶのに慣れず、めっちゃ緊張して噛んでしまった。


「うん…。願掛けしてました」


 うおおおおおお!! やっぱりそうだったのか!! うおっ、視界がくらついてきた。嬉しくて気絶しそうだぜ…。


「あぁ、そうかぁ、そうだったのかぁ」


 やっべぇ、ニヤニヤを隠しきれねぇ。麗ちゃんにキモいとか思われたくないけど不意に顔を反らすのは失礼だしな…。


 でもこの修学旅行、なんか良い事ありそうな予感だぜ!!

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 今回は金環日食と千葉県編をお送りしました。千葉県には今回のコンプライアンスの都合上紹介できなかった遊園地の他に、私はいずれも行ったことありませんが、鴨川シーワールドや市原ぞうの国となどの名所があります。

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