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さつこい! 神威編  作者: おじぃ
修学旅行編

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22/69

東京上陸! 神威編

「はねっ、だあああ!!」


「生きてて良かっ、たあああ…」


 20時30分頃、一行は羽田空港のロビーに到着。これから東京モノレールとJRを乗り継いで今宵の宿を目指す。


「おう勇! 俺のノリに付き合ってくれるとはどういう風の吹き回しだ!?」


「ノッてるんじゃない。生きている喜びを噛み締めているだけさ…」


 担任とクラス委員長が全員の集合を確認したところでモノレール乗り場へ移動。すると列車はすぐに入線してきた。


「おおっ! 電車がコンクリートを跨いでるぜ!」


 神威が言うように、東京モノレールは一本のコンクリートで出来たレールを跳び箱に失敗した人のような格好で跨ぎながら走行する。


 一本の列車に学年全員が一度に乗ると混み合うため、クラス毎に分譲して乗車する。


 モノレールに乗り込んだ神威は、ニヤニヤしながら少し強く横に振られる乗り心地を楽しんでいる。


「モノレールが楽しいなんて安上がりな男よね~」


 麗ちゃんと静香と一緒にガールズトークをしている万希葉が俺やモノレールファンを敵に回す発言をした。


「なんだと!?」


 万希葉のヤツ、俺の悪口言ってるっぽいぞ。せっかくモノレールを楽しんでたのに気分ブチ壊しだ。


「ねっぷ話聞いてたの?」


「聞いてねぇけど万希葉が悪口言うのは大体俺のことだ!」


「言われてみれば確かにそうかもね~」


「ほらみろ。まあ万希葉には何言われようと仕方ないけどな」


「どういう意味よ」


「いや、ほら、去年の夏とか」


 去年の夏合宿で露天風呂を覗いた時に色々ヤバイ事しちまったのは反省してる。あれが万希葉への片想いを砕く決定打になったんだろうからな。


「はぁ? 別にそんな昔のこと気にしてないわよ」


「えっ? あんな事したのに?」


 あの時俺は興奮し過ぎて覗くだけじゃなくて触っちまった。なのに、時間が経ったからって気にしてないのか?


 俺は別に好きでもない女に触られたからって大して気にしないけど、女子はそうもいかんだろ。


「私が気にしてないって言ってるんだから気にしてないの!」


 とは言いつつも、万希葉は当時を思い出したのか、少し恥ずかしそうに頬を染めていた。


「あの時は本当に悪かった。本当にスマン」


 覗きは若気の至りだとしても、お触りは許されない行為だ。ここはしっかりスジ通して謝らなきゃいけない。


 俺は隣で眠る勇に当たらないように気をつけながら万希葉に頭を下げた。


 ちなみに特に恋心を抱いていなかった静香には触っていない。


「な、なによ改まって。本当にもういいから、その、顔、上げて?」


 俺は万希葉に言われてから数秒間俯き続け、頃合いを見計らってピンと顔を上げた。


「そうか。万希葉が許すって言うならもう悩む必要ないな!」


 さすが天下の万希葉さま! 心が広いぜ!


「立ち直り早っ!」


「許して貰ったらすぐに立ち直る。それが俺の生き方さ!」


 ◇◇◇


 モノレールの終点、浜松町(はままつちょう)で再び生徒の集合を確認し、モノレール同様に何本かに分譲してJRに乗り換え、上野(うえの)を目指す。


 浜松町駅のJR内回り及び北行(ほっこう)ホーム後ろ寄り。神威が電車を見てときめき始めたので、他の四人も他の生徒による混雑の回避を兼ねてそれに付き合う形で何本か電車を見送ることにした。


 カタン! カタンカタン!


 ホームに着くとすぐに黄緑色の帯を纏った11両編成の電車が入ってきた。


「おっ、これがあの有名な山手(やまのて)線か! なんか前から2両目だけ形が違ったぞ」


 山手線とは、品川(しながわ)を起点とし、渋谷(しぶや)原宿(はらじゅく)新宿(しんじゅく)池袋(いけぶくろ)などを経由して田端(たばた)まで東京の山の手をぐるっと回る東京の大動脈。一般的に上り、下りではなく、外側の線路が外回り、内側の線路を内回りと呼ぶ。


 電車は田端から東京間は東北(とうほく)本線、東京から品川間は東海道(とうかいどう)本線を経由して循環しているが、これらの区間を区分するとややこしいので便宜上山手線と呼んでいる。神威たちが居る浜松町駅は東海道本線のエリアなので、厳密には山手線ではない。


「よく見てるわね。私が前に乗った時はドアだらけで座席がないのがあったわよ」


「座席がない!? さすが東京だぜ! ラッシュ対策だな!」


 万希葉の言う通り、山手線はかつて片側6ドアで尚且つ平日の午前10時までは座席を折り畳んで誰も座れない車両が7号車と10号車に連結されていたが、転落防止用ホームドアの設置に伴い全て4ドアの車両に組み換えられた。


 7号車は他の車両と同仕様となったが、神威の言う通り内回り電車の前から2両目、10号車は他の車両と異なるプロトタイプ仕様となっている。


 ガシャン! ガシャンガシャン!


 山手線の電車が発車する前に、向かい側の乗り場に水色の帯を纏った10両編成の電車が入ってきた。京浜東北(けいひんとうほく)線と呼ばれる、神奈川県の大船(おおふな)から埼玉県の大宮(おおみや)を約1時間45分かけて結ぶ通勤路線だ。


 京浜東北線という路線名は正式名称ではなく、大船から横浜(よこはま)間が根岸(ねぎし)線、横浜から東京間が東海道本線、東京から大宮間が東北本線となる。


 上り、下りの基準となる東京駅を貫くため、大船方面を『南行(なんこう)』、大宮方面を『北行(ほっこう)』と呼ぶ。


 ちなみに横浜より一つ南の桜木町(さくらぎちょう)から浜松町より一つ北の新橋(しんばし)間は日本最古の鉄道路線だ。


 神威たちが泊まるホテルのある上野へは山手線と京浜東北線のどちらに乗っても行ける。


「うおっ! こっちのは行先のヤツがカラフルだな!」


 京浜東北線はJR東日本の最新型車両、E233系で運転されており、フルカラーLEDの行先表示器が採用されているほか、各ドア上に2台ずつ設置されている液晶モニターが山手線用E231系の4対3より大きい16対9のタイプが搭載されているなど、大きく仕様が異なる。


 ヒュースコンスコン!


「うおおおおおお!! 向こうのアレ、新幹線じゃねぇか!!」


 反対側の外回り、南行(なんこう)ホームと更に通過駅のためホームのない東海道(とうかいどう)本線の横浜、名古屋、、京都、大阪、神戸方面の線路、計4本の線路を隔てた向こうには東海道新幹線が走っている。北海道にはまだ新幹線が開通していないので、神威は大興奮だ。


 五人は山手線と京浜東北線を一本ずつ見送り、次に来た山手線に乗って上野へ向かった。


 ホテルは完全個室なので誰とも一緒に寝れないし、金環日食を見逃したら旅程を変更した意味がないので、神威たちは大人しく早寝した。

 ご覧いただき本当にありがとうございます!


 今回、神威と麗は同行しておりますが、両作でシーンが異なる箇所がございます。


 次回は金環日食と千葉県編を予定しております。

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