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俺はレズになりたくなかった  作者: ぴーせる
問答は茶番のように
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ゆたかの反省


「さあ今度こそ始めてもいいかい?」


 言葉と共に俺の頷き、ゆうなの無言を認め、ゆたかは横に佇む菊地原先生に許可を取るように首を向ける。


 主催が認めないはずもなく、菊地原先生の返答にゆたかは満足げに微笑んだ。


 そのゆたかが最初に視線を合わせたのは俺で、どうやら俺に話していく形で進めるらしい意図が伝わる。


「どうして話したらいいのか迷うところだけど……まずは、私が反省会に挑もうと思った理由から聞いてもらおうか。その方がわかりやすいと思うからね」

「ゆたかが反省会に挑もうと思った理由?」

「ああ、私は自ら反省の場に立とうとしたんだ。それにはもちろん理由がある」


 ゆたかは俺が元の世界に戻るための方法を探すのに協力してくれるから、という理由ではやや薄っぺらい気がする。


 参加してくれるだけでも自らの悪かった点を晒け出さなければならないのに、ゆたかはゆうなに対して「聞いてほしい」とまで言っていたのだ。

 その理由を改めて話すには充分な動機だろう。


 少し間をためたゆたかは、


「私は今の今まで、あきらやゆうなに謝りたかったことがあったんだ。失していた機を今ここに得られたと言ってもいいね」

「謝りたかったこと……?」


 今日あったゆたかとの絡みを思案し、それは思い付かない。


 いや、振り返ればゆたかの暴走する失態はいくつも見てきたのだが、いずれもその場で謝って済んだことだし、ここで改めて言うことでもないだろう。


 しかしゆたかは目を閉じて息を吸い込んだかと思うと、俊敏な動作で頭を下げてきた。

 曲げられた腰の角度は直角に近く、相当に深い。

 耳に掛かっていたゆたかの髪が垂れて揺れる。


 俺がそれに驚くが早いか、


「私はあきらを、あかりの体を抱きたいあまり自分勝手な行動をし続けてしまった。本当に申しわけない、この通りだ」

「え……ちょ……」


 謝罪の意しか込められていない純粋すぎるそれに、理解に至らない俺は惑うしか能がない。


「な、何で今更そんなこと謝るのさ? それは散々大学で怒ったことだし……」

「それも、なんだよ、あきら」


 すっと頭を上げたゆたかは、衣擦れの小さな音だけ残し、まるで前の行動などなかったように真っ直ぐな直立の姿勢に。


 そこから唇に引っかかった髪の房を右手の人差し指で払い、耳に掛ける。


 流し目になったゆたかには、強い憂いを感じた。


「恥ずかしながら、私は自分の欲望が暴走してしまうと見境がなくなってしまう癖があってね、本当にバカなことをしてしまうんだ」

「それは知ってるよ。あれだけ俺を襲おうとしたんだから」

「済まないね、あきら。あの時も謝ったが、今もまた謝らせてもらうよ。本当にごめん」


 今度のは少しだが羞恥の色を含んだ小さな礼だった。


「だけど私は先ほど「それも」と言ったね。そう、私が暴走してしまったのはそれだけじゃなかった。ゆうなは知らないだろうし、その様子だとあきらもわからなかったんだろうけど、私は静かに、そして醜い暴走をしていたんだよ」


 口調は終始変わらずとも、その雰囲気から重くなっていくのがわかる。


 一息の間が空けられた。


 それが絶対的な無音を作り上げる。


「私は大学にいたころから、ゆうなと鉢合わせする可能性を考慮していたんだ」


 響いたのは、またしても瞬時には理解に至れない語の羅列だった。


「もう少し噛み砕こう。菊地原先生に私とあきらがセックスするように提言された瞬間から、この部屋の浴室でシャワーを浴び終えるまで、私はゆうなと鉢合わせしてしまうという最悪のケースを考慮しながらも、その最悪に巡り着かせてしまった愚行を犯してしまったんだよ」


「ゆたか……それってどういう……?」

「具体的に何をしてきたか、それを話せばわかるかい?」

「う、うん……」


 短いやり取りだが、その間にゆたかの話していたことが染み込むようにわかってくる。


 だが今の俺にはそれが嘘かどうかも判別できず――いやゆたかがそう言うからには真実なのだろうが、しかし説得力には乏しい。


 俺の中のゆたかの印象から、最悪の事態を見過ごすような失態を犯すとは思えないのだ。


 具体的に説明してもらえるなら納得に後押しできるだろうが、果たしてそれはどういうことなのか。


 一番に言いたいことを言い終えたからか細かい説明に移るからか、ゆたかは少し肩をほぐすように動かしてから話し出す。


「具体的と言ってもあまり細かくあげてはキリがないから、少し大雑把にいくよ。――最初に私が工作したのは、先生からあの提言が出た直後だった」

「そんな、いきなり?」

「そう、まさにいきなりだ。まさか菊地原先生からそんな提言されるとは思っていなかったから度肝を抜かれたんだけれど、それは同時に私の心を絶大にくすぐるものだった。私があかりを好きなことはあきらはもちろん、ゆうなも知っているね?」


 うん、と返事をした俺の後に続く声はないが、ゆたかはそれも認めたように頷く。


「だから私はあの提言をチャンスと捉え、確実に得ようとすぐさま行動を――あきらに迫るという工作をしたんだ」


 俺に迫る、と言うのは、


「本来ならセックスをするかしないか選べ、なおかつその相手を私かゆうなで選べたはずだ。三通りの選択肢。でも、実際は違っただろう? それは私があきらに考える間を与えず、すぐに答えを迫ったからだ。だからあきらは、私とセックスするかしないかという少ない二択から選ぶことになったんだよ」


 ゆたかは続ける。


「人は焦りを感じたとき、大抵の場合において正常時よりも思考能力が落ちるのが常だ。単純に、焦ると判断ミスに陥りやすいという現象だね。私はそれを利用した」


 ゆたかは横に垂らしていた左手を肘から上だけ上げ、人差し指を立てる。


「つまり、あきらに「私とセックスしよう」と急激に迫ることであきらに焦りを覚えさせ、思考能力を鈍らせたんだ。私がそう迫ることによって、あきらはすぐに「私とセックスするかどうか」についての選択をしなくてはならないからね。あきらがそれを選んでくれたとき、さもそれが最終選択を終えたように振る舞えば、他の選択肢を潰すことができるのは成り行きだろう?」


 一息。


「賭けと言えば賭けだったね。だけどあきらに深く考え込む癖があるのを思えば、かなり成功率の高いものだった。ほら、大学で先生と別れてからもオカ研の部室で少しの間、あきらは私とするかどうかについて考えていただろう? 私が缶コーヒーを買って二人で飲んだあのとき、と言えばわかるかな。そのときにはもう、私の目論見は成功していたんだ。だろう?」

「た、たしかに……」


 あのとき、俺が必死に頭を悩ませて考えていたことは、ゆたかの言ったそのままのことだった。


「だからあのときにはもう、あきらに思考してもらってもそんなに障害ではなかったんだ。もちろんあまり長い間考えられては、せっかく狭めた選択肢が復活しかねないから、ある程度のところで口を挟ませてもらったけどね」


 俺が思い出すのはそのときの情景。


 たしかあのとき、俺は部室の椅子に座りながら、少しでも時間を伸ばそうとチビチビ缶コーヒーを飲みながら思考に耽っていて……。


 そう、ゆたかの言うとおりだった。


 内容は「嫌なら構わない」といったものだったと思うが、それでも俺はそこで思考を中断させたのはその通り。


 その後に自分の気持ちの整理――友達とすることへの葛藤と戦い、決めたんだ。


 ゆたかとセックスするって。


「今話したことは私の一番大きな罪だけど、先に話した最悪の結果を見過ごしたということとは異なるね。そう、私の罪はまだあるんだ」


 立てていたゆたかの左手の指が二本に増える。


「あきらが私とすることを決めてくれた後、当初の予定では同性で入室可能なラブホテルに行く予定だったね。大学からは少し遠いが、同性で入れるラブホテルはそこしかないから仕方ないと。けど、そこであきらはこう言ってくれた。それなら俺の部屋に来ない? って」

「うん、言ったよ」


 それは、その次の予定としてゆうなと会うことを決めていたから。


 当時、喧嘩の最中だった俺とゆうなが確実に会う手段と言ったら直接会う他なく、予想としてゆうなはその時間には自宅にいるだろうと考えていた。


 ならばゆうなの家に近いことに越したことはなく、俺は俺の部屋に場所を変えようとゆたかに進言した。


「実は、私はそれに反対だったんだ」

「……え?」

「驚くのも無理ないよ、あきら。だって私はあのとき、自らの欲望に負けてあかりの部屋に押し入ろうとしか考えていなかったんだ。その私が、そのとき既に懸念を抱えていたなどわかるはずもないよ」


 そうだ、あのときのゆたかはかなりの暴走をしていたはず。


 そのときに懸念――ゆうなと鉢合わせするかもしれない可能性を危惧していたとは思えないのだが……。


「少し話が飛ぶけど、それからしばらくしてここの部屋、私がシャワーを浴びている最中にあきらとゆうなが鉢合わせしてしまったね? そのすぐ後、私がシャワーを浴び終え、私も対面した。そのときに私がそれを誤魔化そうとついた嘘を覚えているかい?」

「うん、覚えてるよ」


 簡単に言えば、ゆたかがシャワーを浴びていたのはゆたかの家の風呂が壊れたからで、俺はそのゆたかのために風呂を提供しただけ、というものだったはず。


「あれはね、あらかじめゆうなと鉢合わせする可能性を危惧していたからつけた嘘なんだ」


「あらかじめ、と言うと……」

「この部屋ですることをあきらに勧められたときだよ。いや、具体的にいつからかは問題じゃないね。あきらに誘われてからこの部屋に着てシャワーを浴び終えるまでの間、私はずっとゆうなと鉢合わせするかもしれない懸念を抱きつつ行動していたのだから」


 俺の心の内の疑問符を受け取ったのか、ゆたかは表情を少し和らいだものにする。


「これからは仮に、私がゆうなと鉢合わせするかもしれない危険を考慮しながら動いていたとして、順を追って話そう。まず私がこの部屋に着いてした行動は何だったか、あきらは覚えているかい?」

「最初に……?」


 額に手を当て、頭の中を探るように思考を巡らせる。

 ええと、あのときのゆたかは玄関先で家の中をキョロキョロ見回した後――


「あ……鍵を確認した」

「そう、そういうことだよ、あきら」


 ゆたかは体を横に向け、先ほどから腕を組みながら黙って聞いている菊地原先生を挟み、ここからも見える玄関に向かって指を差す。


「私は最初に家の戸締まりを確認した。ただの戸締まりではないよ。おそらく合い鍵を持っているだろうゆうなでも簡単に開けられないように、チェーンロックを確認したんだ。もっともその考えは、チェーンロックが壊れていたことで無意味なものになってしまったけどね」


 だからあのとき、ゆたかは真っ先にうちの壊れたチェーンロックを発見して……。


「そしたらその後、私はシャワーを浴びる行動に移る。その間に考えられることは山ほどだ。普段あかりが使っているお風呂はこれなのかと思ったり、これからするであろうあきらとの行為を想像もした。そしてゆうなと鉢合わせする危険性を見ていた私は、こうも考えた」


 ゆたかは向き直り、俺と視線をぶつける。


「もしも今、ゆうながこの部屋に来たらどうしよう、とね」


 ゆたかは自身の両手を体の横に、腰の位置まで上げて少し開く。


「あきら、いきなりだけど私についてどう思う? いや、何も好きか嫌いかということについてではない。私の性格についてどんな印象を持っているのかを聞きたいんだ。正直にね」


 ゆたかの性格……?


 本当にいきなり聞かれて戸惑うが、しかしあまり迷うような質問でもないと答える。


「はっきり言えるほど俺はゆたかと付き合い長くないけど、ゆたかは堂々としてる印象があるかな。喋り方も、なんか立派だし」

「ありがとう、あきら。誉めてもらうようで嬉しいんだけど、実際の私の性格は正反対でね。私は、すごく臆病者なんだ」


 臆病者という言葉にゆたかを組み合わせたとき、強烈な違和感を覚える。


 それはまさしく正反対と称するのがもっともで、ゆたかがそんな性格をしているとはとても思えないのだが……。


「とても信じられない、といった顔をしているね、あきらは」


 はっとして自分の頬に両手を当てると、ゆたかに小さく吹き出されてしまう。


「いや、あきらはわかりやすくて助かるよ。皮肉でも何でもなく、純粋にね。この場には、私も含めて本心の読めない人ばかり集まっているからね」


 見ればゆたかは軽い笑みを浮かべ、菊地原先生は寡黙を貫きながらも柔和な表情から同意を受け取れる。


 俺の右に視線を向けてゆうなも見たのだが、やはりそちらから見えるのはゆうなの背中のみだったのだけど。


 さて、と言うゆたかの声が聞こえ、視線をゆたかに戻す。


「話を戻そう。例えばその信じられない気持ちも、こういった事情になれば信じてくれると思うよ。――今日、あきらと一緒にいた私の行動を思い返してくれれば、私がいかに臆病なのかがわかる、とね」


 しばらく続いているように思うゆたかの語りは、まだ止まることを知らず続いていく。


「まず思い出してほしいのは、私から告白したのに、あかりには私があかりを好いていることを知られていない事実だ」

「えっと、ゆたかが酔った勢いで「好きだ」って言ったのに、友達としてとしか取られなかったってやつだよね?」

「な、なかなか私に恥ずかしいエピソードを持ち出してくるね……。まあそれの方がゆうなにもわかりやすいだろう。あきらが言ってくれたように、私は一度あかりに告白している。それもゆうなと付き合う前のあかりにね」


 気になって見たゆうなの様子は変わらない。


「だがそれはたった一度きり。しかも酒に酔った勢いでだ。簡潔に告白したのは、それ以上言葉が長ければ言うに耐えられないからで、友達として取られたことを知った後で告白できていないのは、つまりそういうことなんだ」


 どうやら今でも苦い思い出らしいそれは、ゆたかの表情を歪ませるだけの力があったよう。


 伏し目がちになったゆたかのそれからは自嘲めいたものが伝わってくる。


「もちろん他にもある。例えばこのあかりの盗撮待ち受けだって――」


 自身のジーンズのポケットから取り出したるは、俺も今日見たばかりのゆたかの新しい携帯電話。


 それの画面を開き、見せつけるようにするのは言葉通りの待ち受け画面――あかりを盗撮しただろう写真だった。


「これだって、一度振られたあと私の恋心に気付かれるのを恐れて遠くから撮るしかなかったものなんだ。もちろんあきらに説明したように、その可愛さから思いがけず、という衝動もあったのだけどね」


 大学では頑なに認めなかったそれを自ら「盗撮」と言うとは、きっとゆたかの中でこの話はそれだけ落ちているものなのだろう。


 薄く笑うゆたかの表情に苦みを取れることが、それを雄弁しているようだった。


「これだけ言えばわかってもらえたかな、私がどれだけ臆病者であるかを」

「え、えっと……」

「ああ、済まない。優しいあきらには答えづらい質問だったね。別に答えてなくても構わないよ。心の内で考えておいてもらえばね」


 それこそ答えにくいと思うのだが、先の質問で答えを濁らせたのは事実で……。


「さあ話は戻るよ。それだけ臆病な私のことだ、ゆうなと鉢合わせすることを意識している状況下で、シャワーを浴びながら考えられる時間がある。となれば、臆病な私はリスクを回避するための思考に逃げてしまうのは必然だろう?」


 また返答に困った俺に、ゆたかはくすりと笑う。


「事実、考えてしまったんだ。だから私のような愚鈍な頭でも、ゆうなに対してあの程度の嘘をつくことができた。もし即興で嘘をつかなければならなかったとしたら、あれよりも酷いことになっただろうね」

「……ちょっといいかな?」


 別に挙手の必要などないのだが、それよりも俺は引っかかりの覚えた言葉を忘れないように口にする。


「即興……あれって、ゆたかの即興の嘘じゃなかったの?」


 もし即興でついた嘘でなかったならば、俺には一つ思い当たる事実がある。


 ゆたかの首が横に動き出すのと同時、俺は視線を右に、ゆうなに向けた。


「違うよ、あきら。あれは即興じゃない。私がシャワーを浴びながら、あれでも必死に考えた誤魔化し方だったんだ」


 ぴくり、と見間違いにも思えるゆうなの小さな肩の揺れ。


 ゆたかのあの嘘が即興でないとするなら、一つ、歪むことがある。


 それは今、小さいながらも確実に反応を見せたゆうなの言っていた、ゆたかを犯人と疑う仮説だ。


「あきら、話を続けてもいいかい?」

「あ、うん、大丈夫だよ」


 ゆうなのことを見ていたのを気にしたらしく声を掛けられ、一度この思考は置こうと思う。


「なら続けよう。もはや私のネガティブキャンペーンのようになってしまっているのだが、後少しだけ。今までの話で私がゆうなと鉢合わせしてしまうことを危惧していたとわかってもらえたと思うけど、そこまでは大丈夫かい?」

「うん、わかるよ」


 話題の度に掘り下げられていくので、何となくではあるが。


「ありがとう。なら私の問題点はもう見えるね。そうした危険性を承知していながらもあきらに助言の一つもせず、それどころか流されることに甘んじて、流された上でどうにかしようなどと自らの欲に逆らえなかったことだ」


 具体的に言おう、とゆたか。


「私はこの部屋に来るという魅力のため、最悪のケースを想定していたにも関わらず黙って見過ごしたんだ。私からちゃんと言っておけば、こんなことにならなくて済んだはずなのにね。あまりに愚直で醜い愚行だよ。ほら、」


 言って、ゆたかが取り出すのは先ほどの携帯電話で、あの待ち受け画面が見える。


「これだって私が欲望に流された結果だ。臆病でビクビクしながら撮ったはずなのに、私はいつも見ていたいという気持ちから他人にバレやすい待ち受け画面に設定し、あげ句にあきらに見つかってしまった。本当、バカで考えなしの行為だ」


 考えなし、と言えばそうなんだろう。


 あんな写真を待ち受け画面にしていたら、下手すればあかりに見つかる可能性だってあったのに。


 と、話していたゆたかの口が真一文字に結ばれる。

 背は、元から真っ直ぐだったそれをよりしゃんとさせ、直立に。


「今日のことだって私の考えなしが原因で、またそもそも浮気紛いのことになってしまったのも全て私の責任だ。改めて、本当に申しわけなかった」


 それを締めとするようにゆたかの頭が下げられたのだった。


 俺が一つ息を吐くだけの時間溜め、それからゆたかは顔を上げる。


 見られた表情は苦笑いで、また垂れた髪の房を耳にかけ直していた。


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