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俺はレズになりたくなかった  作者: ぴーせる
オカ研顧問の“再登場”
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優先するべきこと


 さて、菊地原先生への連絡が済んだとあれば、優先すべきことがある。


「部屋、片づけなくちゃな」


 先ほどゆたかを突き飛ばした時の後処理がまだだ。


 ゆたかが菊地原先生に連絡しているときから気にはしていたのだが、こうして見るとあまりに酷い。


 文庫本やハードカバー、ページ数の厚さに様々な差のある本が散乱しているこの状況。

 その数、十数冊。

 ただでさえ狭いオカルト研究部の部室にこれだけのものが散らかされれば、余計に狭く感じて仕方ない。


 だから片付けようと近場に落ちていた「怨霊と守護霊の見分け方~入門編」という表題のついた本を拾い上げて、


「あきら、窓を開けてくれるかい?」


 ……Why?


「何を藪から棒に突拍子もないことを唐突と」

「意味の三段重ねはいいから、とにかく開けてほしいんだ」


 何故そんなに開けてほしいのだろうか。


 俺は今し方、己の口から片付けをすべきであるという意味の言葉を発したはず。

 まさか一メートルに満たないゆたかとの距離間で特殊な言語変換が行われたはずもあるまいし、ゆたかが片付けの有用性を理解できない類の人間ではないだろうと思う。


 それだったら今までゆたかと会話していた事実は? となるし、この部室はゴミ屋敷になって使用不可になっているはずである。


 が、それが現状と相違であることを確認して、


「どうして今、窓を?」


 今一度問うてみたのだが、


「とにかく急いで」


 何故か急かされた。


 もしかして、ゆたかは暑いのだろうか?


 ゆたかはタイトジーンズと、黒地に白文字で「I’m born(私は骨であり、骨は私である)」と斬新な解釈の但し書きまでプリントされたシャツを一枚着ているだけで、とても暑がる要素は見受けられない。


 しかし、一方の俺はワンピース姿。


 ゆたかの服装とワンピース姿を着比べたことはないので正確なところはわからないが、このワンピースの生地は厚いものとは言えないし、屋外では泣きたくなるほどワンピースの裾が短くて、涼を得るのに適しすぎていると言える。


 そんな服装の俺は感じなくても、プリントされたそれ以外は普通の服装をしているゆたかは暑いのかもしれない。


 そう解釈してとりあえず窓を開けたのだが、


「次はファブリーズだ。消臭力は私が持ってくる」


 何故、そこまでひたすら消臭性能を高めようとしているのでしょうか。


 開け放たれた窓から涼しさを感じる風を受けながら、自然とゆたかを見る目まで涼を得る。


 が、ゆたかはそれを察するまでもなく、


「あきら、急いでくれないか? 取り返しのつかないことになっても知らないよ?」


 ものすごく真剣な顔付きで、ものすごく理解しがたいことを述べていた。


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