俺の彼女を紹介します(※挿絵)
執筆開始日:2009/04/02
小説家になろう初公開日:2010/06/30
ゆうなと付き合ってからの三ヶ月はあっという間だった。
俺から告白したのが六月、梅雨もあけて夏を感じ始めたころ。
交際を開始してからデートを重ね、俺の部屋に呼んだり、ゆうなの家に遊びに行ったり。
定番の映画館や遊園地、夏だからプールにも海にも連れて行って、ラブホにだって行った。
思い返せば止まらないほど色んなことをしてきたのに、あれだけ緊張した告白が三ヶ月も前のことだなんて思えない。
楽しいことというのは、やっぱりそういうことなんだ。
ゆうなのことを思うだけで、俺の心はぬくもりに溢れる。
百六十に満たない身長に、程よく締まった体。
肩まで伸びた茶髪はふわふわで、撫でるとこちらの指まで綺麗になったような錯覚さえ起きる。
整った顔は綺麗で、柔らかい雰囲気をまとっているのに強い芯を持っているよう。
どこからどう見ても可愛い、俺の自慢の彼女だ。
ゆうなの隣を歩くだけで誇りに思い、負けないようしゃんと胸を張れる。
そんな俺を「あきらは、いじらしくて可愛いね」なんて言われてしまって、少しばかり恥ずかしい。
でも、釣り合わないなんて思われたくないから、俺はいつだって姿勢を良くするんだ。
同じ大学に通っている俺たちは、学科こそ違えど、学年は同じ。
互いの空き時間で会うこともあるし、週に二回は遊べるように工面もしている。
付き合って三ヶ月が危ないとはよく聞くけど、今の俺たちにそれはなかった。
順風満帆。
いくら顔を突き合わせも笑顔は絶えず、冗談混じりでも結婚の話が上がるのは悪いことじゃないと思う。
――だから、俺は疑いもしなかった。
俺たちが歩く道は明るいと信じていたし、蹴躓いたって手を取り合えば平気なんだって。
喧嘩もしたことなくって、いつも笑い合える関係が続くんだって。
そう思っていた。
九月十二日、俺の誕生日。
その日もいつものように、いつも以上に楽しくなるって。
……今思えば、疑えるはずなんてない。
俺の誕生日に、俺が女に成ってしまうなんて予想できるわけないんだから。
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挿絵:COⅡさん