表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
醜い私にサヨウナラ〜捨てられ公主は深淵の谷で幸せになります〜  作者: 春乃紅葉@コミック版『妹の~』配信中
第一章 私は醜い公主でした

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

7/12

006 白兎の舞姫

 私は母の力と容姿を引き継いで生まれた。銀髪で赤い瞳の母は、美しい雨乞いの舞を踊り、銀狐の舞姫と呼ばれていた。

 小さい頃は母の雨乞いの舞を見ているだけだった。しかし母が亡くなってから、また母に会える気がして舞を踊ると、龍神の池が光り輝き舞姫と認められたのだ。

 小さな私が踊ると、白兎が跳ねるかのような舞いだったことから、白兎の舞姫と呼ばれ、みんなから必要とされ、大切に育てられてきた。


 身体の成長が止まってしまう奇病にかかってから、人は遠のいていったけれど、民からの贈り物は絶えずに続いた。

 贈り物をもらう度に、民の為になっているのだと希望が持てた。たとえ周りの人達から避けられても、必要としてくれる人がいるのだと思えたから。


「雨を呼ぶ舞姫ということか。それならば稀有な存在であり、帰国しても大丈夫なのだな。失礼なことを言って申し訳なかった」

「いえ。いいのです。心配してくださりありがとうございます」


 泰然(タイラン)様は納得してくれたけれど、リウリーは不満そうだ。


『でも、もう一つの方の問題は誰の仕業なのよ。まだ分かってないじゃない』

「それは、身体が成長しなかった呪いのこと? それなら、宮殿へ戻ってから父と義母に話すわ。きっと病だと思っていたから治らなかっただけだもの」

「確かに、呪いに精通する者がいなければ、気付くことは難しいかもしれないな。だが、誰かが君に呪いをかけたことは間違いない。それだけは忘れないように」

「はい」


 誰かが私に……。でも、命を奪うような怖い呪いではない。理由は分からないけれど、父にお願いすれば、きっとすぐに解決するだろう。


『でも……。まぁいいわ。宮殿に戻ったら異母妹を成敗しちゃいなさいね』


 リウリーはまだ納得のいかない顔だったが、急に笑顔になったかと思うと物騒なことを言い出した。確かに異母妹には反省してもらいたいけれど、罰を与えたいわけではない。

 

「そんな事しないわ。私は異母妹を許そうと思っているの。髪色は変わってしまったけれど、今まで失っていた本来の私に戻れたのだから、もう何の憂いもないの」


 見方を変えれば、異母妹の毒のおかげでここに辿り着けたと言っても過言ではない。きっと異母妹は義母を取られた寂しさから、こんなことをしてしまっただけなのだから。


『へぇー。面白い子ね。私も宮殿について行っていい? 異母妹がどんな子か見てみたいし、雪燕(シュウエン)が舞う姿も見てみたいの』

「ええ。いいわよ。そう言えば、あれから一週間経ったということは、今日は満月だわ。──あの、外に出たいのですが……」


 満ち溢れる満月の夜は、舞を踊る日だった。

 しかし、泰然(タイラン)様は外を見ると、首を横に振った。遠くから狼の遠吠えも聞こえた。


「夜はやめておいた方がいい。昼間も危険だが、夜は更に濃い毒霧に覆われている。それに、山の動物は毒に慣れているから、夜は狼だって出る」

「そうですか……。では、ここで雨乞いの舞を踊っても良いですか?」

「駄目ではないが、目覚めたばかりだ。無理はするなよ」 

「はい!」


 私は荷物の中から小瓶と翡翠の腕輪を取り出した。

 母の形見の翡翠の腕輪を右腕に通し、小瓶を窓辺の机に置いた。小瓶の中には龍神の池の水が入っている。

 どこにいても龍神の加護があるようにと、小さい頃、母がくれたものだ。


 窓の簾を上げると、ちょうど真ん丸の月がよく見えた。

 いつもは庭で舞っていた。こんなに近くに誰かが見ている前で舞うのは初めてだからか、少し緊張する。


 雨乞いの舞は、本来なら龍神の池の前で舞うのだけれど、龍神はどこからでも舞姫を見ていると母は言っていた。

 だからきっと、ここで舞っても届くはず。


 私は碧砂(ビーシャ)国の繁栄を祈りながら舞った。


 ****


 時を同じくして、碧砂(ビーシャ)国では、雪燕(シュウエン)と同様に雨乞いの舞を踊ろうとする者がいた。 


「お父様。お母様。どうか見ていてください」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ