あーかい部! 〜部室棟 乙女の干物 集まりて 怠惰を極め 綴るは実績 電子の海へ あゝあーかい部〜 61話 人生半分損してる
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
ここは県内でも有名な部活動強豪校、私立 池図女学院。
そんな学院の会議室、現場……いや、部室棟の片隅で日々事件は起こる。
あーかい部に所属するうら若き乙女の干物達は、今日も活動実績を作るべく、部室に集い小説投稿サイトという名の電子の海へ日常を垂れ流すのであった……。
池図女学院部室棟、あーかい部部室。
「フフ……。」
「ふっふっふ……。」
あさぎときはだはそれぞれ風呂敷に包まれた小箱を机の上に出しほくそ笑んでいた。
「あさぎさんやっ、ちゃんと約束のブツは用意したのけぇ。」
「たしかにここに……♪きっときはださんのお気に召すでしょう。」
ちょっと鼻につく言い回しをすると、あさぎは風呂敷を解いてタッパーの蓋を開けた。
「お"ぉ……っ!?こいつぁ見事な握り飯だぁ。米がツヤッツヤだぜ……!」
きはだがタッパーにはいったおにぎりに手を伸ばそうとすると、あさぎがその手を払いのけた。
「な……なにするんでぇ!?」
「いくらお得意さんと言えど、お代を貰わないわけにはいきませんねぇっ。」
「おっと、こいつぁ失敬……、
きはだも持ち寄った風呂敷を解くと、小さめのタッパーの蓋を開けてよりどりみどりの佃煮を露わにした。
「……これで頼むよっ。」
「へぇ……♪これは見事な佃煮だねっ?タラコもしっかり中まで醤油出汁が染み込んでるよ。」
あさぎはお箸でタラコの佃煮を摘むと、宝石を太陽にかざすような仕草で佃煮を見つめうっとりした。
「さすがあさぎさんっ!ぃいやぁ、お目が高ぇっ。」
「いいでしょっ、交渉成立といこうじゃないか♪」
あさぎがタラコの佃煮をタッパーに戻すと、2人は乾いた破裂音を鳴らし手を合わせた。
「「……いただきます。」」
「なにこの茶番。」
2人が風呂敷を解く前から無言で見守っていた白ちゃんがようやく口を開いた。
「「大江戸闇取引ごっこ(です)。」」
「健全な高校生がする遊びじゃないのよ……。」
3人はおにぎりと佃煮に手を伸ばし賞味した。
「じゃあ白ちゃん先生は学生時代どんな遊びしてたんですか?……タラコパサついてないのすごっ。」
「私?」
「メンコとかベーゴマとかぁ?……お米美味しいねぇ?」
「流石にそこまで昔じゃないわよ……。」
「じゃあファラリスの雄牛とかですか?……昆布柔らかいね何かした?」
「うす〜く切れ込み入れといたくらいかなぁ?あんまり煮込む時間なかったし……時代的に三角木馬とかじゃない?」
「拷問器具で遊ぶ高校生がいてたまるか。」
「あ……もしかして白ちゃん先生、遊ぶ相手が
「おおっとこれ以上はいけないよぉあさぎちゃん。」
「ゲーセンとかカラオケ行ってたわよ……!親の目を盗んでだけどね。」
「時代を感じるねぇ〜。」
「ちょっと前のドラマだと門限破って怒られるの定番だったよね。」
「まあそんなところね。」
「時代劇ごっこはしなかったのぉ?」
「一般人は経験せずに人生終えるもんなのよ。」
「「え〜……。」」
「……はずよね?」
「揺らいでて草ァ!」
「人生半分くらい損してません?」
「うわでた……!その『人生半分損してる』〜ってやつ、なんなのかしらほんと。」
「やっっすい人生なんですよきっと。」
「言ったのあさぎちゃんよね……?」
「半分ってなんなんだろうねぇ?」
「寿命とか……かなあ。」
「じゃあさっきのは『時代劇ごっこしないと約半世紀寿命が縮むぞ』って脅されてるってこと……考えてみたらめちゃくちゃね。」
「……半殺し、とか使いますけどそれですかね?」
「おらおらぁ!時代劇ごっこしねぇ奴ぁ半殺しじゃぁあっ!」
「時代劇というより世紀末ごっこね……。」
「じゃあ違うかあ……。」
「こういうときは『全損』から考えてみるかねぇ……?」
「全損って『死』じゃない?」
「なるほど!それを半分にするわけだからつまり……
『今回は見逃すけれど次、時代劇ごっこの誘いを断ったらあなた死にますよ?』
ってことだね。」
「とんだサイコパスね。」
「でもそれだと1回目は半分損してないよねぇ……?」
「う"……ッ!?」
「『死』が全損じゃないとすると……『存在が消える』……とかぁ?」
「『あと1回時代劇ごっこを断るとあなたの存在は抹消されます』的な……ごめん、やり直させて。」
「良いよぉ〜。」
「やり直しとかあるんかい……。」
「……よしっ!
あさぎは息巻くと一呼吸して、
「『おめでとうございます♪時代劇ごっこを断ったので今日からあなたは上半身のみです♪』」
「いや下半身どこ行った!?」
「やった……!スムーズに突っ込みを引き出せたよきはだ!」
「うんうん、よくがんばったねぇ…‥。」
「なんか趣旨変わってない……?」
「じゃあ白ちゃん先生が思う人生の半分ってなんですか?」
「そう聞かれると哲学的ね……。」
「『酒』と『金』以外でねぇ〜。」
「え……?」
「もっと他にあってくださいよ……。」
あーかい部!(4)
きはだ:読まないと人生半分損するよぉ〜?
白ちゃん:それは部活に人生賭け過ぎ……
ひいろ:そうか、とうとうきはだも毎日を全力で生きるようになったのか……
あさぎ:セミかな?
きはだ:セミは人生のほとんどがクールタイムだったりする
白ちゃん:うるさいのは成虫だけよね
あさぎ:そんなマジに突っ込むことないじゃないですか……
きはだ:あ〜、白ちゃんいけないんだぁ〜
ひいろ:生徒泣かせるのはどうかと……
あさぎ:ツクツクホォォオ↑シ
あさぎ:ツクツクホォォオ↑シ
あさぎ:ツクツクホォォオ↑シ
あさぎ:ツクツクホォォオ↑シ
あさぎ:ツクフィー↑ユー
あさぎ:ツクフィー↑ユー
あさぎ:ツクフィー↑ユー
あさぎ:ツクシイィィィ…↓
白ちゃん:その『鳴く』じゃない
ひいろ:何故ツクツクホーシ……
きはだ:妙に解像度高くて草ァ!
あさぎ:じゃあみんな、あとは全力で生きて……ポテッ
ひいろ:青野あさぎ……セミのような生き様だったな
きはだ:享年15かぁ
白ちゃん:死ぬな死ぬな
白ちゃん:人生まだまだでしょうが
きはだ:ああ!?そうだ、今回は人生の半分損してるお話だったのに忘れてた……!?
ひいろ:お、おう……
ひいろ:白ちゃんは時代劇ごっこしないのか?
白ちゃん:ひいろちゃんもそっち側か
ひいろ:おばあちゃんとよく観るぞ
白ちゃん:微笑ましいなぁおい
ひいろ:おばあちゃんが言っていた……『人生楽ありゃ苦もあるさ、涙の後には虹も出る』と。
あさぎ:耳に残るよね〜
白ちゃん:?
きはだ:主題歌口ずさんでるだけで草ァ!
白ちゃん:あ〜、そういう
ひいろ:案外俗なところもあるんだ
白ちゃん:おばあちゃん人生謳歌してるわね
ひいろ:『今まで半分損した』と思うより、『これから人生が倍楽しくなる』と思う方がお得だろう?
あさぎ:結局は心持ちか〜




