第三話 ビビたる変化は気付けない
俺は自転車に乗って家に帰った。家の扉を開けると、なんと玄関に母が立っていた。そこで俺は母にものすごく怒られてしまったのである。次から遅くなるなら連絡しなさいと。
夜遅くで怒られたんじゃなくてよかったー!報告すればいいんだ!
翌朝、俺が学校に自転車で登校していると幼馴染の唐木龍平と会った。
もともと家が近いのでちょくちょく会ったりするのだが、サッカー部の朝練がない日はこうして一緒に登校することがあるのだ。
「おう!」
「よっす!」
「最近なにかいいことでも会ったのか?」
こういう偶然会ってもすぐに話しかけられる才能俺もほしいな〜って本当に思うな〜。
「いや、まぁちょっとあったかな〜。」
「まじで!?彼女でもできたのか?!」
「いや、俺にできるわけ無いだろ?そんなお前はサッカー部の部長やってんだからモテてんじゃね〜の?それこそ彼女の一人や二人くらい・・・。」
「いや、二人はだめだろ。まぁ俺がモテてるかって?そりゃ告白は何回か受けたことはあるけど、今はサッカーが俺の本命だからな〜。全部断ってるよ。」
「まじかよ。その半分くらい俺によこせよ。」
「お前はそのままでもモテるだろ、顔がいいんだから。噂聞いてるぞ、なんかかわいい顔してんのにテンション変に高くて危ないやつがいるって。」
「え?俺、そんな感じに思われてんの?」
「今まであんなことがあったから・・・それで無理やりテンションが上げてるのかなぁって思って、あんまり言わないようにそっとしてたけど、今はほんとに頭のおかしいやつと思われてるからちょっと気をつけたほうがいいと思うぜ〜。」
そんなわけ・・!と思ったが、ここは素直にこう言った。
「そっか。ありがとう。」
そんなことを言っているうちに、俺と龍平は学校に着いた。俺はロッカーを開け上履きを取ろうとすると今日も手紙が落ちてくる。
「爽〜。やっぱお前モテてんじゃね〜か〜。やっぱりお前のいいとこ知ってるやつはいてくれるんだよな〜。よかったじゃね〜か。」
そんなんじゃねぇけどな〜。そんなことを思いながら適当に返して教室まで行くのであった。
「んじゃ。」
「あぁ、頑張れよ!」
「余計なお世話だ。」
そう言って、俺と龍平はそれぞれ違う教室に入っていった。今日は早くに着いてしまったのか朝に勉強する真面目な女子しかいない静かな教室に俺はぽつんと座っていた。
俺は別に勉強したりしないんだがな〜(別に頭が良いというわけではない。むしろ毎回平均点の前後を取るくらいである。)と思いながら、今日俺のロッカーに入っていた手紙を読む。
そこに書いていたのは今日の昼休みに校舎裏に来てほしいというような内容が書かれていた。
いつもの柳さんの字でもなく、紙の種類も違う。
こ、これはもしかして!本当の本当にモテ期が到来したのではないか!
そんなことを思っていると何故か柳さんのことを思い出す。
もしかして、いつもの芸風を少し変えてからかいに来ているのか?
そうとも思える・・・、少し警戒はしておかないとと思った。
言うまでもなく、期待の方が大きいのは確かである。
そんな中受ける授業はなかなかに長く感じるようで、俺は架空のAさんを作り、頭の中で告白のシュミレーションを繰り返していた。
時間は過ぎ、お昼休み。俺は学食でパンを買うことなく、一直線に校舎裏へ向かう。そのおかげかまだ校舎裏には誰もいなかった。これはこれはもしかして、前のパターンか?と思うのもつかの間、ここにやってきたのは黒い髪をしたかっこいいお姉さんキャラっぽい女の子だった。
俺は目を疑った。
柳さんじゃ・・・ない?!
俺は半分くらいは柳さんなのだろうなと思っていた。いや、これで心を落ち着かせていた。だが、ここに来たのは、俺の予想に反したお姉さんだった。
「今日は忙しいところここに来てくれてありがとう。」
わお、喋り方までお姉さんっぽい!お姉さんキャラなんてあんまり知らないけど!
「あ、あぁ。と、ところで・・・なんでここに呼んだんだ?」
ちょっと緊張してぶっきらぼうだったかな〜?大丈夫かな?
そのお姉さんは少し俯いてこう言うのであった。
「好きです。私と死んでくれますか?」
次の瞬間俺は胸部を刺された。
一瞬何が起きたのかわからなかった。
刺された場所を俺が見ようとした瞬間唐突に強烈な痛みに襲われ俺はその場に倒れる。
血が滲み出ると同時に痛みと熱さが体中を支配する。
胸を手で抑えようとしたが、その女は俺の胸に刺さったものを抜いた。その瞬間血がドバドバと俺の胸から出た。息が荒くなったせいか、体がゴロゴロと鳴って咳き込むと口からも血を吐いた。
なんとかしようとしてどうにもならない中、俺の眼の前に何かが倒れる。
痛みにもがきながらその倒れたものと目が合う。
そこには虚ろな目しているさっき女がいた。
理解が追いつかないまま俺は授業中にの教室にいた。
突然のことで胸を押さえながら教室に倒れ込んだ。俺はそのまま意識を失った。
気がつくと俺は保健室のベッドの上にいた。
「やっと起きたか!心配させんなよ〜。」
「龍平?」
「なんだ?鳩が大砲に当たったような顔をして。」
「いや、それ鳩ごと逝ってるだろ。」
「元気そうで何よりだ。」
「俺ってどんぐらい寝てた?」
「う〜ん・・・10分くらい?」
「俺タフだな!・・・ってかだったら大丈夫なのか?授業抜けてきて。」
「いや〜。だって公民って退屈じゃ〜ん。」
「サボりに来たのかよ!」
「それは言い方が悪いぜ〜爽。急に倒れたって聞いたから休み時間にいち早く駆けつけてきたんだからよ〜。」
どうやら今は6限目の途中のようだ。
「それはありがとうだけど・・・。」
俺が言葉を詰まらせていると、龍平がこう聞いてきた。
「んで、死んだのか?お前。」
そう、龍平は俺の能力を理解しようとしてくれている唯一の友達なのだ。今は2人になっているが。
「え、いや・・・まぁ・・・。」
「ほんと今でも信じらんねぇけどな・・・。表情ガチだし。まぁ本当なんだろう。気を悪くさせるかもしれねぇけど、なんで死んだんだ?」
「・・・・刺されて死んだ。」
龍平が少し考えて、唐突に俺にこう聞いた。
「おま、もしかして朝もらった手紙の人なのか?!」
「・・・うん。」
「まじかよ。お前結構変なやつに好かれやすいよな〜。」
「もう、どうしよ・・・。」
「てか思ったんだけど、死んだって割には案外冷静なのな。」
「まぁ、それは何回も経験してるからね〜。」
「それはそれでなんか複雑だな。んで、今日の告白、行くのか?告白?ま、まぁとりあえず告白ってことにしておくか。」
「う〜ん。それをどうしようか迷ってるんだよ。また刺されても痛い思いするだけだし。」
「行くなら今日は俺もついて行ってやるよ。」
「いやでも、部活は大丈夫なのか?」
「今日はオフだからな!」
なんか聞いて損した〜・・・って俺はメンヘラか?
「あ、そうなんだ。う〜ん、じゃあ、一緒に来てもらおうかな〜。」
「おうよ!なんかあったらお前を立てにするからそこは勘弁してくれよな〜。だって、お前ほぼ不死身じゃん。」
「わかってはいるけどなんかそう言われると悲しいわ。そこは嘘でもいいから守るって言ってほしかったけどな〜。そっちのほうが運動神経はいいんだし。」
龍平は少し拍を開けて聞いてきた。
「そういや、結局告白だったのか?それとも恨まれたりしてたのか?」
「いや、なんか好きですとは言われたんだがそこから私と死んでくださいって言われて・・・。」
そこで俺は急にあの光景を思い出す。あの生気の失われた目を。
俺はベッドで吐きそうになったが、公共の場で吐きたくない気持ちのおかげでなんとか抑え込めた。
胃液がせり上がって、喉が少しピリピリするが。
「大丈夫か!?思い出したくないもの思い出させてしまったか?まじすまん。」
「いや、俺も急にごめん。ちょっとその告白してきたその女子が俺を刺したあと自殺したダケノコトダカラーー。」
「いやそれ結構グロすぎだろ!?!?・・・ともかくまぁ俺も行くから、お前は自分の身のことを気にしとけよ。」
「ありがとう。やっぱ持つべきは親友だな!」
「お前は俺が親友って思ってくれてると思っているのか?」
「え?ま、ま、ま、まさか!え、そんなわけ・・ない・・よね?」
「冗談だよ冗談。お前本気にしすぎ!そもそもそんなこと思ってなかったらここに来てないし。」
「そっか〜。よかった〜。」
「まぁ、行くと決まったんなら、今は休んどけよ。お前刺される予定なんだから。」
「なんかそれはそれで、言い方がもやもやするけどな〜。」
その後、俺と龍平はその放課後に向けて少し休むのであった。
龍平に限ってはズル休みではあるが・・・。
こんにちは。これくれいろはです!
奮闘中のときも言ってましたが今回も2週間ギリギリに出すこととなってしまい、本当に申し訳ない限りです。ですが、これからは1週間と言っておくことによって2週間目までには出せることに気がついたので、これからもこの虚偽報告を続けていきたいと思います!(全力開き直り)
ということで今回の話は少し短めのものですが、楽しんでいただけたら幸いです。今まで1話にちょこっとでてきただけだった唐木龍平が出てきましたねぇ!割と遅めな登場ですが、主人公とつながりの深い登場人物です。・・・っとこれ以上書くとネタバレになってしまいそうなので、ここで終わっておきましょう。
改めてこの物語を読んで頂きありがとうございます。
次回の出す日は今日の1週間後です!(苦笑い)
では、さようなら。




