表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビビッと解決ヒーロー便利屋  作者: これくれいろは
3/6

第二話 何事も初めてははビビっとくる

俺はあの不思議な出会いの後帰路についていた。

あんなかわいい子と仕事できるんだから俺にとっては最高の青春の一ページ・・・になるのか?

いやいや、あんな毎度からかってくるような奴がかわいいなわけ・・・

俺の顔が少し緩む。

だが俺はそれを許さないように頬を引っ叩く。

騙されるな!!あいつは小型録音機を持っていたんだぞ!

まだ仮就職のようなものだ、もし少しでもやばい仕事だと思ったらすぐに辞退すればいい。


あんな事があった翌日、俺はまたも屋上に呼び出された。

俺だってわかってたよ!こんなポンポン告白の手紙が下駄箱にあるなんて!

そう、今屋上にいるのは柳()()さんだ。

「もしかしたら」の可能性が俺を狂わせたんだ・・・もしかして俺ってギャンブルとかやったら一瞬で沼にはまってしまうようなちょろい男なのか?!

「え~、なに~?また期待しちゃったの?」

柳さんが俺のことをからかうように見てくる。

「期待して悪かったな!というか今日は何で呼び出したんだ?」

「それはねぇ~。はい。今週の日曜、朝にここ集合で!」

え、これ何?と言う前に、柳さんはどこかの住所の書かれた紙を渡して屋上から出て行った。

なんなんだあの女?!俺のスケジュールも目もくれず予定を入れやがった!!

ま、まぁ俺は今週末は何もないし大丈夫だが・・・いや、むしろ何もないようにしているとも言える。

目から何かが零れる。・・・あれ、俺そんな人と休日にどこかに行くことに飢えていたっけ?

俺は指を折りながら友達と遊びに行っていなかった期間を数える。

一、二、・・・二年!!うん?二日じゃなくて?どうりで中学の思い出がほとんどないわけだ。

そんなことを考えながら俺は日曜日まで待つことになった。

そして、その週俺はそわそわして授業もままならないのであった。


当日、今日は久しぶりに友達?仕事仲間?のところに行くんだ。

せっかく行くなら、あいつにからかわれないくらいの格好でいかなきゃな、と思いつつ服を選んでいるところに母が話しかけてきた。

「あんた、どこかへ行くの?」

「え、あ、うん。友達のところに(仕事に)行ってくる。」

そう俺が答えるとと母は血相を変えて少し涙目になりながらこう言う。

「あんた、友達ができたのね!あの時は本当に心配だったんだから。」

「もう、母さん大袈裟だよ。」

「今日は夜ご飯いる?あと、もしものためにお金渡しておくね。」

俺は母から一度に諭吉と栄一を一人づつもらうというような前代未聞の出来事を体験した。

俺は多分仕事に行くだけなんだけど~とは思いつつも、今更言い直すのは気が引けたので開き直って出かけることにした。

家を出ると、初出勤に似合う真っ青な快晴だった。

自転車で行ける距離は助かるな〜と思いつつ、紙に書かれた住所をスマホに打ち込みその場所付近まで漕ぎ続けた。しばらくすると、不思議な看板のある建物を見つける。

そこには『便利屋 ヒーロー』と不格好に書いてあった。

もうちょっといい感じの看板にすればいいのに。いや、これがあじって言う可能性も・・・ないか!多分。

そして、もう一度看板を見るとあることに気づく。あ、なるほど。「緋色」と「ヒーロー」ってことか!ちょっとセンスあるじゃね~か?と思いつつ、インターフォンを押す。

すると、ガチャガチャ鍵の回るをとが聞こえてドアが開いた。そこから出てきたのは綺麗な白いワンピースの格好をした柳さんだった。(このとき一瞬見とれてしまったことは墓場まで持っていくか。)

「この時間で合ってるよな~?柳さん?」

よっかたー、ちょっとすんなり言えるかわからなかったけど呼べたー!柳さんって。

「うん!会ってるよ!とりあえず中に入って~!」

そして、俺は柳さんのいる便利屋という場所に招かれた。

中に入ってお決まりの部屋が汚いということはなく、部屋は普通にきれいで安心した。

(ちょっと期待していた部分があったことは否めないが)

俺が客間のソファーに座っていると、柳さんは今日の依頼を話しながらお茶を入れていた。

「初めてだからまずは慣れてもらうために、今日加賀谷くんには私と一緒に街の散策に出てもらうよ!」

「へぇ~、初めてだからってそんなチュートリアルみたいなことしてくれるんだ──────


────って!それって『デート』なんじゃね?!」


「デートって~、そんなに私と行くのが嬉しい?加賀谷くんってやっぱり初心?いや童貞くんか〜?」

なぜ男がこういう下ネタを言うときもがられるのに、女子が言うとこんなに受けが広い人と認識されるのだろう?・・・いや、これは俺の自意識過剰か?

「ち、ちげぇし!!そんな、デートなんて別に百回や二百回はしてますけど!!」

「い、いや、それはそれで引くんだけど。」

グハッ────!!

どうやら俺は吐血をしてしまったようだ。なんて戦闘力だ・・・。

「それで街の散策って何をするんだ?」

「まぁ具体的には遊園地に行こうかな~って~。」

「やっぱりデートじゃん!!!」

「依頼を一緒に受けるようになるんだから、まずは親睦を深めないといけないかな〜って。」

「べ、別に俺はいいけど・・・どうなの?周りからの目とかって。」

「大丈夫だよ!加賀谷くんって顔だけは学校の中でもトップレベルの顔だから~。」

「俺ってそんなかっこいいのか!?」

俺はちょっと嬉しくなり、喜々としてそう聞いた。しかし、それは不幸にも柳さんからバッサリときられる。

「いや、トップレベルで女の子っぽいってことだよ。」

「え?」

俺は宇宙猫のようになってしまった。そして急に何かをわかったかのように柳さんに問う。

「お前・・・まさか・・・そういう趣味で・・・。」

「ま、一つの理由としてはあるかな~。」

「まじかっ!!こっわ!!」

「大丈夫だって〜。別に変なことをしたりはしないよ。」



そんなわけで今、俺は昼からの遊園地を楽しむことになった。と言っても遊園地に行ったのは小学生くらいの頃で、高校生での楽しみ方なんて全くしたない。つまり・・・


遊園地初心者も同然なのだ!!


誇らしげにこう語るが、絶賛今遊園地の前まで来てとても緊張している。心臓が破裂しそうだ。

どうしよう。どうすれば!!!

「どう?緊張してる?」

そう言う柳さんは白いきれいなワンピースを煽らせながらにっこりと笑う。

カワ(・∀・)イイ!!、、、、ん、ゔん、、違う違う、俺はそんなことで緊張する単純な奴じゃない!!

「別に緊張なんかするわけないじゃん。ほんとのデートでもないんだから。」

「なんかそう言われるとちょっとガッカリするな~。」

そう言いながらも、予約していた遊園地のチケットを見せて園内に入る。

「何に乗ろっか?昼からだし厳選しないとね~。」

「そんなゲームみたいな・・・」

「ゲームだよ!この少ない時間でどれぐらい楽しめて得できるかっていう。」

「得ってそんながめつくないか?」

「そんなことないよ!もう。じゃあ、それを実体験してもらうためにも、まずはこれに乗ってもらうよ!!」

そう言って柳さんが指さすのはこの遊園地の目玉の巨大なジェットコースターだった。

そのジェットコールターとは、日本の中でもトップクラスの高さを誇り県内だけでなく県外からも観光客が来るほどのジェットコースターなのである。(自分の出身地だからって誇らしげ)

俺が何も言わず突っ立っていると柳さんがまたからかいに来る。

「も・し・か・し・て、加賀谷くん。ジェットコースター怖いの?」

「怖いわけじゃない!!ただ、高いとこが怖いだけだ!」

そう、もちろん怖いのである。だって生命の危機を感じるアトラクションだよ!何が楽しいんだよ!!

「いやいや、それってジェットコースター怖いですって言ってるのとおんなじじゃん!」

からかわれながらも半ば強引に、俺の意見には目もくれず列に並ばされた。

列は意外にも空いていて、なんと六十分待ち。

小学生に行ってた頃は百分待ちは結構普通だったはずなんだが、今日は空いているほうで助かったとも思った。

しかし、緊張すると時間が長く感じるようで、俺はだんだんスマホを確認する回数が増える。

それに気づいたのか柳さんは、それを咎めるようにこう言う。

「せっかくのデートなのにスマホなんてひどくない?!」

思ったより声が響いているようだ。周囲の人が俺のことを最低!というような目で野次を飛ばして来る。

視線が痛い!

「勘違いすること言うなよ!!周りの注目すごいし!」

それを逆手に取るようにニヤリと柳さんは続ける。

「スマホなんて止めてもっと私のことを見てよ!!」

演技派かよ!柳さんの言葉はまるで本当の彼女だったかのように周囲に思わせた。

さらに視線が痛くなる。

もうやめてくれ!!そう懇願するように俺は土下座する。

「も、もうスマホなんて見ません!!ずっと柳さんのことだけ見ますから!一生見ていますから!!」

これも思ったより声が響いたようだ。なんだか周囲の目が暖かくなった気がする。

俺はほっとして柳さんのことを見る。

すると、柳さんの顔がすごく赤く染まっていた。

「ちょ、ちょっと!そこまで言わなくてもいいよ~!」

え、え・・・俺なんかやらかしたか?もしかして声がうるさかったとか??

その後、気まずくなった柳さんと無言のまま待ち続け、やっとジェットコースターの乗り場が見えてきた。

しかし、まだ顔を赤く染めた柳さんは無言で俺の隣に立っていた。

俺はなんとかこの気まずい状況を乗り過ごそうとこう言う。

「速く行こ!柳さん」

そう言って俺は柳さんの手を取ってジェットコースターへ向かう。

「う、うん///」

なぜか俺はこの時ちょっと勝った感があって嬉しくなった。

(これが俗に言う優越感か・・・)

そのジェットコースターは、一列に四人が乗るタイプで俺と柳さん、他に二人が乗る形となった。

ゲートの前まで行くとそこは、願わくば乗りたくなかったジェットコースターの一番前の席だった。

「ラッキーだね!加賀谷くん!」

隣ではしゃぐ柳さんを横目に俺は心の中で絶望していた。

よ、よりにもよってまさかの地面からの高さが一番見えやすい特等席、一番前ナイトメアとは。

オワッタ…。

ジェットコースターに座るとき、俺は気をなんとか紛らわそうと俺は柳さんがほかの人と隣にならないように端に誘導した。

なんて気づかいができるんだ、そう頭の中で棒読みするように考えながら席に座ると、隣に大柄の男性2人が乗ってきた。

多分外国人観光客なんだろうと思っていると、スタッフさんが「安全バーをお下げください」という言葉があったので、安全バーを下げようとする。

すると、なかなか安全バーが俺のお腹を締め付けてくれない。

隣を見ると少し腹の膨れた外国人の腹ところで安全バーが止まっている。

どうやら俺は完全にやばい席に連れてこられてしまったようだ。

ってことは、柳さんはもっとやばいのでは?と隣を見ると、柳さんは下半身だけを鉄にしていた。

「おい、柳さんや。柳さんはその重さで飛ばないかもしれんが、俺普通にこれじゃあ死ぬぞ。」

「ま、まぁ大丈夫でしょ!男の子なんだから、しがみつくぐらいはできるでしょ!は、はは。」

「おいそれやばいって!!今絶対振り落とされるフラグったったよな?!」

俺があたふたしているとアナウンスが聞こえてくる。

『では、皆さん楽しんでください!それでは行ってらっしゃーい!』

「えぇぇぇーー!!!!」

ジェットコースターが発進する。俺はまだ心の安全バーすら降りてないのに!

ジェットコースターが頂上に上がっていくにつれて、俺の緊迫感はみるみる増す。

隣を見ると、柳さんが座席の安全バーと繋がって一緒に固まっていた。そんなこともできんのかよ!!

じゃあ自分はどうするんだ!とあたふたとしていると、さっきまでガタガタと鳴っていたジェットコースターはいつの間にか鳴りやんでいた。

え?

俺の視線は斜め上から水平方向になり、そして斜め下へと向かう。

「いやああぁぁぁぁ!!!!!」

俺は絶叫しながら目に力を込めて閉じる。

内臓が浮く感じがとても気持ち悪い・・・うん?

俺はしがみついている安全バーの方に目を少し開ける?すると俺は体が浮いていた。

体が?どうやらおしりが浮いているようだ。

座席についていないことに気づいた瞬間、今までにない以上に俺はもう死に物狂いで安全バーを掴む。

さすがにこの時ばかりは一生分の握力を使ったと思った。


ジェットコースターから降りて、俺は初めて案外ジェットコースターから飛ばされることはないのだということを知る。どうやら俺は隣の二人が引くくらいには叫んでいたらしい。

ちょっと恥ずかしい!

ジェットコースターに乗り終わり、俺は近くのベンチにへたり込む。

どうやら少し頭がクラクラしているようだ。

「加賀谷くんほんとビビってたよね~。あんなにしがみついちゃって~。か〜わいい〜。」

「仕方ないだろ!ほんとに落とされると思ったんだから!っていうか!柳さんもビビってたよね?!?!なんか安全バーと腕同化してた気がするし!ってかそんな能力もあるのかよ!って思ったわ!!」

「それは私加賀谷くんよりもウエスト細いんだから仕方ないでしょ!もっと落ちそうだったんだから!普通に怖かったし!私も落ちそうで・・・というかあの能力は私も知らなかったっていうか・・・なんか気づいたらできたんだよ!」

「柳さんも怖がってるならお互い様じゃん!そんなのなのになんで煽ろうと思ったの!?」

「いや、女の子は怖がってもカワイイってなるだけだから~。」

「それはずるくないか?」

ともかく俺は少しはぐらかすように話題を変える。

「ちょっと、このままぐったりしててもいいか?」

「え~!このまま気分転換であっちのジェットコースターに乗ろうと思てたのに~。」

「いや殺す気か!!」

「じゃあじゃあ!一番近くにあるメリーゴーランドでも乗ろうよ!」

「まぁそれくらいなら~、いいよ。」

「よし!ドア・イン・ザ・フェイスがこんなにも簡単に通じるとは!!心理学もなかなか奥深いもんですな~。」

「え?何それ?どあ?ざふぇんす?」

「気にしなくていいから!それじゃあ行こ行こ!!」

俺の手を取りメリーゴーランドへ連れていく。本当なら素晴らしい青春の一ページになるのにも関わらず、俺はジェットコースターの影響をがっつり受けて何も考えられなかった。

意識がはっきりすると俺はメリーゴーランドの馬車に乗っていた。

俺はなぜか横たわっていた。体を起き上がらせようとして、柳さんに抑えられる。

うん?よく考えれば何かふかふかの枕に寝転がっているのはなぜ?

ふと俺は横を見る。すると、眼の前に白い布地が広がっている。

そして俺は急に自分がおかれている状況に気づき、俺は驚愕する。


俺!まさかの膝枕されてるんですけどーーーー!!!!!


そう意識してしまうと顔が熱くなっていく。

なんか太もも柔らかすぎないか?ここは楽園か?

その感想を遮るように柳さんが俺に話しかけてくる

「どうしたの?加賀谷くん。顔がどんどん赤くなって・・・ってもしかして照れちゃった?」

「そうだよ・・・悪かったな。」

俺がそういうと柳さんも少し恥ずかしがりながらこう言う。

「どう?気持ちいい?男の人はこれをすれば喜ぶって書いていたから。」

「そんなことどこで知ったの?!っていうかほんとに俺の乗ってるとこだけほんとの枕みたいになってるし!!いや、なんか損なんですけど!!」

そう、ワンピースが枕カバーのようになり、太ももが綿なので本当に枕みたいな状態になっていたのである。

本当にフカフカする。そして・・・うん、無臭。いやいや別に嗅ごうとしてたわけじゃないよ!!じゃないよ?じゃないから!!!

「いいでしょ!この能力〜。もっとフカフカにしてあげるよ〜!」

柳さんは調子に乗って太ももを羽毛のようにする。俺の頭は更に沈み込む。

うん?

俺はふと思い込む。

なんかこれ、沈み込みすぎじゃね?・・・・怖い怖い怖い怖い!!!

俺は急いで体を起こす。いくらなんでもそれはそれで違和感しかなくて怖い!

「どうしたの?ちょっと首に負担かけすぎちゃった?」

「いや、違う違う。ちょっと沈み込みすぎて柳さんが心配になって。」

「あ〜、なるほど。実は・・・」

そう言って柳さんは少し苦しそうな顔をする。俺は恐る恐る聞く。

「実は?」

「全然痛くありませーん!!びっくりしちゃった?か〜わいい〜。」

「いや、それでも心配だわ!一瞬ほんとにヒヤッとしたんだからね?!?!まじでできることはあらかじめ言ってほしいぐらいだわ。こういうこと起きると心配になるから・・・。」

「あっそうですか・・・それは、ごめんね。」

引き伸ばして薄くなっていく俺の言葉に少し興が冷めたような柳さんを横目に俺はあることが疑問に浮かぶ。


あれ?柳さんってこんな顔だっけ?


起き上がった際に一瞬見えた柳さんの顔はいつもとは少し違う顔だった気がする。なぜだろう?

俺は確認しようともう一度柳さんの顔を見る。しかし、今見る柳さんにはさっきの違和感はなくなっていた。

そんなことをしている間にメリーゴランドは減速し始めた。

俺は柳さんにさっきの疑問を聞こうとも一瞬思ったが、どう聞けばよいかわからなくなりとうとう聞くことはできなかった。

メリーゴランドから降りるともう日が暮れだしていた。夏が終ったというのにまだ少し暑いなぁとも思うし、少し前までは今の時間も昼だったのにと思う。やっと十月になるのかとしみじみに思う。

(本当ならここであの日は楽しかったな、とかがあるのだろうがあいにく俺にはほんの少ししか無いようだ)

だからこそ一瞬のように過ぎ去るのに思い出のようなものがたくさんあることにに俺は今日という日が内容の濃かったものなんだろうと思った。

俺はそのことへの感謝を柳さんに伝えようとして・・・なかなか恥ずかしさと緊張で言えなかったのだ。

「もうそろそろ帰る時間だよね〜、明日は普通に学校あるし。」

「そうだな。もう遅くなるしな。」

「ラスト一個乗ってこ!」

そう言ってラストに選ばれたのは観覧車だった。え?

「せっかく楽しかったのになんでラスト怖い思いしないといけないの!!てかジェットコースターのときに高いとこ怖いって言ったよね?!」

「いいじゃん、最後くらい〜。ケチだな〜。観覧車といえばデートの最後に乗るものでしょ。」

「いや、気を使ってくれてたと思ってたのに!」

ていうかやっぱりデートなのか?!?!

「怖かったら、手〜繋いどいてあげるから。」

どうせこのままこのくだりを続けてもジェットコースターの時と同じことになるんだろうなと思い、俺は妥協するようにこう言うのであった。

「わかったよ。」




観覧車はイルミネーションのライトアップ前に並んだのでので意外と早くに乗ることができた。

「私観覧車乗るのこう見えて初めてなんだ〜。」

「え、まじで?!乗ることなんてたくさんありそうなのに?!意外すぎだろ!!」

「あんまり、中学じゃあ遊びに行ってなかったからね〜。いわゆる高校デビューってやつ?そんな感じなんだ〜。」

「そ、そうなんだ〜。」

俺はそれに少し嬉しくなったのか高校では言わないでいようと思っていたことを言ってしまうのであった。

「お、俺も高校デビューしたんだ!意外だろ!こんなに陽キャなのに!」

「それは知ってる。」

柳さんはそう一蹴した。

「そっか。」

「そうだよ。学校で無理やりテンション上げたような感じで色んな人に話しかけていってるのにそう思わない人なんていないよ。」

「でも、そんな俺なのに誘ってくれたんだよな。なんかありがとう。」

「ま、まぁ加賀谷くんが能力者っていうのもあるんだけどね〜。」

柳さんははぐらかすようにそう言う。

「それでも、ありがとな。」

柳さんは何も言わなくなってしまった。

半分くらいの高さまで登った頃には運よくあたりは次々とライトアップし始めていた。

それと同時に意識から外していたことが思い起こされる。そういやどんどん高くなっていってる!!

説明しよう!(誰目線3)俺がなぜ観覧車がこんなにも怖いかって?

なぜなら揺れるからである。揺れというものは恐ろしいものでジェットコースターよりも不安定感が増す。

そう、落ちるところを用意にシュミレーションさせてくれるのである。

と毎度のこと持論を心のうちに語っていると、反対側に乗っていた柳さんがこっちに来る。

そのはずみで観覧車が揺れ、傾く。

「うわっ!」

「加賀谷くん怖がりすぎ!もっとリラックスして、景色を楽しむもんだよ、観覧車は。」

「外見たらもっと怖いって!もうおろしてくれよ〜〜!!」

隣に座った柳さんが突然手を重ねてくる。

「へ?」

「何その間抜けな顔、おかしいんだ。」

そのときの笑顔は本当にかわいい女の子なのだと思わせるような笑顔だった。

「やっとリラックスできたか。ほんとこれでいいんだよ、これで。」

俺もどうやらつられて顔が綻んでいたようだった。

「なんかおっさんみたいなこと言うな〜。」

「別にいいでしょっ!そんなこと気にしてたらきりないじゃん!」

「女子高生がこんなこと言っていいのか・・・?」

「いいの!というかそれで言ったら男子高校生なのに加賀谷くんは青春を謳歌できてなかったじゃん。」

「うっ!!」

何も言えなかったのでそのまま黙り込む。そうしていると柳さんが突然こう言う。

「ありがとう。今日一緒に遊んでくれて。私こう見えて友達とこんなに遊んだの初めてなんだ〜。」

「あ、あぁ、まあこっちも楽しかったし・・・ありがとう。」

「こちらこそ。」

いつの間にか高所への恐怖は意識から薄れていき、そろそろ観覧車は頂上に達そうとしていた。

箱の中には俺と柳さんしかいない。

俺は自然とさっき思っていたことを口にする。

「改めて言わせてくれ。ありがとう。俺高校入って変にテンション高くしてあんまり自分の素を見られないようにしてた。だって、自分の素を見せる勇気がなかったから。高校デビューって言っても失敗してたし・・・。でも、今日違うんだろうなって思った。柳さんと遊んでてそう思えた。自分の素を見せても柳さんは楽しんでくれた。そ、そう!だから、せめて感謝だけはしとかないとって思って・・・。」

「そっか・・・じゃあありがたくその感謝もらっとかないとね!!」

俺は急に照れ恥ずかしくなり、足元を見る。すると、柳さんは重ねていた手を俺の手の下に滑り込ませて指を絡ませてくる。

「私も、ありがとうって、ことで・・・。」

恥ずかしそうに言う柳さんを見て更に恥ずかしくなった俺は蒸発する。

そう、『恥ずか死』である!!

俺も柳さんも恥ずかしさのあまり固まっていると、気づけば観覧車の扉が開いた。

いつの間にかもう観覧車は降りてきていたのである。

微笑ましそうに見るスタッフさんが入ってきた。

「ありがとうございましたー!!」

おれは降りようとして・・・ふと気がつく。


いつ手を離せばいいのかと。


それは俺にとって最大の難関だった。

このまま手を俺が手を離してしまうのは・・・なんかヤダ。でも、離さなければこれは帰るまでずっとこの状態なのである。(それはそれでいいのだが、周りの目が気になって死んでしまう気がする)

その一瞬とも思える最中、俺が繰り出した手段は


柳さんに任せると言うことだ。


なんとも他人任せな選択、しかしどちらに転んだとしても誰も傷つかないやり方だと俺は自負する。

そして今、俺も柳さんも離すタイミングを失い、遊園地の帰りのゲートの方までぎこちなく歩いている。

周りからは妙な温かい視線が・・・。

そんなに初々しいか?と思っている暇もなく、俺は自分の手から感じる柳さんの体温を感じていた。

俺の鼓動感じられていないかな?手汗大丈夫かな?

そんな不安を抱えながら歩いていく。ゲートを通り、振り返ると遊園地のライトアップもあいまって楽しい時間が過ぎ去ったことを感じさせる。

ちなみにゲートを通るときも、電車に乗っているときも手を繋いだままという謎な展開になったのは言うまでもなく。

これに関しては俺も悪いと思うが、柳さんも悪いだろう。

いまだ柳さんは俺の手をつなぎながらモジモジしている。時刻は夜7時。こんな時間まで外にいたのは初めてだ。夜遅いって親に怒られないかな〜。そんなことを思っていると、とうとうあの謎事務所についてしまった。

「ここ柳さんが住んでる場所で合ってる?」

「うん。ありがとう!家まで送ってくれて。デートしたの初めてだったし、楽しかったよ!。」

「お、おう。」

俺は少し照れ隠しをしながら手を離す。意外と自然に離すことができた。それはそれでなんか寂しい。

「じゃあここらへんで俺は帰るわ。」

「遅くになってごめんね〜。もし、親が怒ってきたら私が話に行くよ〜。」

「余計なお世話です〜。」

軽口を叩いてから俺はこう言った。

「おやすみ、柳さん。」

「加賀谷くんおやすみ〜。」

こうして俺にとっては初めての最高の1日が過ぎ去った。

皆さんこんにちは。これくれいろはです。

まずは最初に申し訳ございませんでした!期限を過ぎてしまって・・・。

インフルになるという失態を犯してしまいました。

しかし・・・宣言させていただきます!

次こそは、次こそは!!期限に間に合わせます!!

次回は冬休みに入るので今回もまた1週間後に出します!頑張ります!

ということでこの話が面白いと感じてくれると幸いです。

最後に読んでいただきありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ